地方から未来を真剣に考える。

メールニュース

メールニュース一覧

--

【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第47号

< 2019/11/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第47号 ■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  田中 幹夫(富山県南砺市長)
3.イベント情報
4.ニュース/情報ピックアップ

******************************************************************

1.巻頭寸言

******************************************************************
「責任者がいない地方教育行政」

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 児童・生徒だけでなく、教員内のいじめも浮き彫りになった。これらの問題を誘発する要因のひとつに、多くの執行機関(学校)を運営する地方教育行政の責任者は「人」ではなく教育委員会という「機関」であることを御存知だろうか。
 教育の政治的中立を守るためとはいえ、地方の教育委員会は合議制で、教育委員長は会議の主宰者にとどまり、教育長は委員会が決定したことを忠実に実行する役割しか担っていない。

******************************************************************

2.リレートーク

******************************************************************
「一流の田舎 南砺」を目指す

 田中 幹夫(富山県南砺市長)

 「従来の延長線上ではない施策を成果が出るまでやり抜く」こんな決意のもと全国で始まった地方創生。国の一丁目一番地だった。全国で一斉に総合戦略を策定し、地方から首都圏に集まる人口の流れを止めるべく知恵を出し合った。
あれから5年。地方の人口減少と東京一極集中は止まっていない。

 国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)は、南砺市の人口を2060年には23,554人となると予想し、消滅可能性都市であると想定した。その一方、私たちの人口ビジョンは2060年の目標人口を30,511人としたが、総合戦略最終年度、南砺市の人口は社人研予想よりも下回っている。これが現実だ。

 この間、子育てや移住促進、三世代同居及び婚活事業など手厚く支援してきた。また、保育料や医療費についても減額や無償化など積極的に進めてきた。これらには一定の成果があり民間出版社の「住みたい田舎ランキング」では常に全国トップクラス。北陸では毎年トップとなり、知名度も上がってきており、移住者数も順調に伸びてきている。婚活による成婚者数も多く全国に紹介されるまでになってきた。

 そんな中、私たちが住む地域に、私たちが誇りを持って心豊かに暮らしていくという将来像を掲げ、そのようなまちになるよう今何をすべきかを根本から整理すべきであると思うようになってきた。

 もともと、自然と共生し、人と人が支えあいながら豊かさを実感できる自立した地域を創ろうとエコビレッジ構想などを策定し、循環型社会の構築と地域コミュニティの再整備や地域包括ケアの推進をしてきた。南砺市の将来像を市民のみなさんと共に考え、そこに向かって一丸となって総力戦で取り組んでいく先に人口などの問題解決の糸口が見つかるのだと。

 南砺地方には、その土地、場所がそこに住む人を育てるというチカラ「土徳」があると言われている。お互い様の支え合いの中でさらに多様性を認め合い、地域の課題を地域で解決できる組織づくりこそ必要と、4年ほど前から住民自治組織の見直しを提案した。エネルギーや自然環境と同時に、地域コミュニティに至るまで持続可能な地域づくりに大きく舵を切った。本年4月1日から島根県雲南市で展開されている「小規模多機能自治」を活用した「地域づくり協議会」が市内各地域に立ち上がり、同時に住民自治組織を支援する「一般社団法人の中間支援組織」も立ち上がった。さらに地域課題解決のための市民ファンドも立ち上がり、これまで進めてきたエコビレッジ構想や南砺市型地域包括ケアシステムなどの施策と、住民自治組織の確立などの連携が評価され、国で進める「SDGs未来都市」さらには「SDGsモデル事業」の認定を受けた。

 こうして、ここに暮らす私たちが、豊かさや暮らしの価値を理解できる一流の田舎、誇れる故郷を目指す持続可能なまちづくりの体制が出来上がった。
 現在はまだまだ人口減少に歯止めはかかっていないが、今後、義務教育改革やジェンダーギャップの解消施策を動き出させることで「一流の田舎 南砺」として若者から選ばれるまちづくりに邁進していきたい。

 
田中 幹夫:富山県南砺市長

 1961年、富山県南砺市(旧 東砺波郡利賀村)に生まれる。工学院大学工学部を卒業後、YKK吉田工業株式会社、利賀村役場職員、南砺市議会議員1期を経て、2008年南砺市長に初当選。現在3期目。
 自らも過疎地に生まれ育ち、地域の素材を活かした地域づくりを実践してきたことから、世界遺産五箇山を有する南砺市の歴史、文化、自然などを活かし、「世界に誇れる一流の田舎」を目指して奮闘中。モットーは「知足利他」。

******************************************************************

3.イベント情報

******************************************************************
日本自治創造学会幹事兼研究大会企画委員長・メルマガ編集委員の西田陽光です。お薦め2企画ご紹介です。

1.激動する日本社会の中で社会課題解決への糸口を見出す為に、鋭く本質を突く、私の一押しのゲストを迎えした企画です。日本財団主催「ソーシャルイノベーション・フォーラム」11月30日午後13:00~15:00の分科会(C-2)にご登壇いただきます。開催スタートは11月29日からで、小泉進次郎環境大臣の基調講演です。

分科会C-2・テーマ【今を生きる私たちの「しんか論」~AI時代に問われるヒトの「進化」と「真価」とは~】
日時:11月30日(土)PM13:00 – 15:00
会場:ホールB7(国際フォーラム)
主催:日本財団
★詳細ホームページ

https://www.social-innovation.jp/programs/186/

★参加申し込みはこちらから

https://eventregist.com/e/sif2019

2.11月25日、政策研究の為のリベラルアーツ・ラボ「智門塾」の御案内です。
ブロックチェーン技術は近年さまざまな分野で活用されており、金融取引や物流のほか、食品の追跡などにも利用されています。2019年3月21日に「MeriTalk」が公開した記事では、米国保健社会福祉省(HHS)がこの技術を「保護者のいない子供たち」の情報を管理し、プライバシーを守りながら活用するためにも新たな取り組みを行なっていると報じられています。これからの社会課題解決には、SDGs(誰一人取り残さない社会を目指す)な社会を目指すためにも、社会課題解決や政策に新しい仕組みを取り入れるチャレンジが求められている時代必見のテーマです。

テーマ:新たな社会システムをデザインするブロックチェーン技術
日時:2019年11月25日(月)18:30会場19:00開演
場所:神谷町・光明寺2Fです。東京都港区虎ノ門3-25-1
アクセス:日比谷線神谷町駅徒歩1分

http://www.komyo.net/web/access.html

ゲスト
田本英輔( 株式会社LayerX創業メンバー・東京大学)
参加者
智門塾参加者:高校生、大学生、研究者、企業人、NPO
,地方行政、霞が関官僚等
参加費:大人3,000円・大学生1,000円GEIL・高校生無料
主催:智門塾
企画:(一社)次世代社会研究機構
メール申し込みは:yohkoh@lime.ocn.ne.jp
問い合わせ:090-2667-3827
FBから申し込まれる方はこちらから https://www.facebook.com/events/783983468741204/?active_tab=about
******************************************************************

4.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

******************************************************************
行政の現場でも働き方改革は進むか?

「働き方改革」が官民の職場で進められる中で、「残業が禁止されても仕事のやり方が効率化されなければ仕事は終わらない→自宅やファミレスで持ち帰り残業or管理職が身代わり残業」、「残業手当が削減されて生活が苦しい」など、なかなか目論見通りにはことが運ばないということも報じられています。
今秋に襲来した台風では鉄道の計画運休などで出勤できなくなる事態が生じましたが、鉄道が止まるほどではなくとも、台風が接近した嵐の中で無理に出勤するよりも自宅でできる作業をしながら待機するという働き方が世の中に根付いてくれば、仕事のやり方そのものも変わってくるでしょう。
特に、行政の職場は「とにかく出勤していること」を重視する傾向が強いように思われますので、災害をきっかけにして働き方そのものを変えることができるのか、考えるいい機会なのではないでしょうか。

★中間管理職の7割「残業時間減っていない」 “身代わり残業”で「仕事量増」も3割
2019年9月30日 産経新聞

https://www.sankei.com/economy/news/190930/ecn1909300024-n1.html

★働き方改革 若い世代中心に残業時間減少
2019年7月29日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190729/k10012011971000.html

★家で朝仕事、金曜に午後休 サイボウズ社員の働き方宣言
2019年11月8日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASMBP3CWNMBPULFA009.html

★根付くか「台風テレワーク」 今秋の連続襲来で
2019年11月13日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52106100T11C19A1CE0000/

★厚労省職員、業務量「多い」65%  若手職員が調査 不祥事の温床に
2019年8月26日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48999240W9A820C1EE8000/

★最も働いているのは? 国家公務員残業ランキング
2019年9月25日 産経新聞

https://www.sankei.com/economy/news/190925/ecn1909250013-n1.html

★官僚女子もつらい!
2019年5月30日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190530/k10011934731000.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2-24-301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

--