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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第48号

< 2019/12/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第48号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  三木 正夫(長野県須坂市長)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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「直言」

  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 地方自治体の首長は「このまちの経営者」であり、全ての地方議員は「経営者であり、かつ経営執行監視役」です。特に、100年に一度と言われる大変化の時には従来の「まちの経営方策」を大胆に変える「新たな視点」が求められています。
 直面する“人口減少・少子高齢化”は国だけが考えるでなく、現場を熟知する地方自身が「住民の立場」で取組むべき重要な課題です。冷たいフラスコの水が気づかないうちに沸騰し、安楽死を招く「ゆでガエル」にならないよう、厳しい覚悟が首長・議員に求められています。

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2.リレートーク

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「市長は何もやらないという市民の声」

 三木 正夫(長野県須坂市長)

 「市長は何もやらないという市民の声」があります。
 私は、市内小中学校の耐震化工事、大規模改修工事、地域公民館及び保育園の建て替え工事、市役所西館および市民プールの取り壊しと、これにあわせての防災広場兼駐車場整備、市役所庁舎の耐震化等を国・県の支援を活かして行ってきました。

 しかし、これらは既存の施設の整備ですので、大きくて立派な建物を「新たに」建設しない限り、市民の皆さんの印象には残らないのだと思います。これが「市長は何もやらない」という印象になっているのだと思います。

 私は、ソフト(心)も重視しています。例えば、信州すざか農業小学校豊丘校は、地元の農家の方が、農業、伝統料理、伝統文化行事、農山村風景を子どもたち、保護者に教え、一緒に楽しんでいます。さらに、市内各地で市民団体が花づくりをしており、毎年のように国土交通大臣賞を受賞しています。私は、市民、特に子どもたちに懐かしきよき思い出と誇りを持ってほしいと願っています。

 私は主に次の3点に力をいれてきました。 (1)社会的弱者、要支援者の施策。例えば、世界初といわれる多職種連携の「産後うつケア」、市民と共創での県立信州医療センターの産科医師確保、県内初で唯一の市町村立特別支援学校(小学部・中学部)の開校などです。(2)安全、安心、防災。(3)将来への投資。例えば、県立高校の統合に関しての工業科の設置、特産の農産物をいかしたフルーツエール、塩分0のスムージー生産、販売等です。

 施設の整備にあたっては、須坂市は税収が県内他市に比較して低い(市民一人あたりの市税収入は県内19市中17番目)という厳しい財政状況を踏まえ、国・県等の資金を積極的に活用してきました。

 これは、市長の私だけではなく、市職員も財源確保に努力して取り組むように意識が変わってきた結果です。 私は、市職員には、退職時に、市職員として悔いのない公務員生活であったと誇れるようななってほしいと願っています。そのための活躍の舞台をセットしようと考えています。

 持続的な健全市政運営には、持続的な健全財政が基本です。
 ある市長は、就任年度にあった基金が退職時には約12分の1となり、退任にあたって市長は「早めに行財政改革をやるべきだった」と反省したと報道されました。

 ある市では、財政調整基金がほとんど底をついたため、前年度と同規模の予算を組んだ場合、財源が不足する事態になりました。
 私は常に全国の地方公共団体の行財運営に注視しています。
 施設建設など新たに事業をする場合には、国等の支援制度がありますが、維持管理費には通常、支援制度がありません。加えて、既存の道路・橋梁等の公共施設の維持管理経費の増加、高齢化による社会福祉費の増加が避けられません。

 政治家は、有権者からに要望があれば、選挙があるので、それに応えようとしますが、私は、行政の健全な持続発展のために「断る勇気」が必要であると考えています。そして、ほとんどの有権者は、誠意を尽くして説明を行えば理解をしてもらえると信じています。私は、市民を信じて、「『求める』」から『分かち合い(愛)、譲り合い(愛)、与え合い(愛)』へ」を普及したいと考えています。

三木 正夫:長野県須坂市長

1949年4月30日須坂市生まれ。
1973年、中央大学法学部卒業。長野県職員に採用。
長野県総務部秘書課長、社会部厚生課長、行政改革推進室長、下伊那地方事務所長等を歴任。
2004年1月、「徹底した情報公開・改革と市民参画・協働」を理念として、市長に当選。
2008年、「活力、文化、誇りがみなぎる田園環境都市須坂」の「共創」による実現を掲げて再選。
2012年、「田園環境健康都市須坂」の「共創」による創造を掲げて3選。
2016年、「健康長寿発信都市 須坂JAPANの実現に向けて」を掲げて4選。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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「東京一極集中」を本気で是正するつもりがある人はいるのか?

第2期の地方創生戦略の案が政府から示されました。
これまで5年間、地方創生の旗印の下に傍から見ても怪しげな施策を含めて税金を投入してきましたが、やはりというか、当然ながら東京一極集中を是正する結果などが出るはずがありません。
これまでも「交流人口」というご都合主義的な概念は重宝されてきたところですが、新たに「関係人口」という看板の掛替も行なわれ、今後も引き続き東京に集まったお金が再分配される見込みです。
これから国内の人口全体のパイが縮小する中で、東京をはじめとする都市への人口集中は避けられないのではないかとは思いますが、その中でどうやって地方の農地や里山を維持していくのか、はたまた、適切な管理の下で自然に還していくのか、日本人の知恵が問われることになるのではないかと思います。

★一極集中の是正進まず 地方創生戦略、目標据え置き
2019年12月19日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53540390Z11C19A2PP8000/

★地方の最新技術導入加速化へ目標値 政府の総合戦略骨子案判明 
2019年11月21日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/191121/plt1911210037-n1.html

★東京一極集中24年度に是正 地方創生で政府先送り
2019年10月28日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019102801002436.html

★人材紹介、地銀に報酬 地方創生へ成功なら100万円
2019年12月8日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53093140X01C19A2EA3000/

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4.イベント情報

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地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで御一報
ください。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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