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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第49号

< 2020/1/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第49号 ■■

【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  左京 泰明(特定非営利活動法人シブヤ大学代表理事)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
  日本自治創造学会 第12回研究大会開催日決定

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1.巻頭寸言

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「予算査定の大原則」

  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 時代環境の変化は各自治体における事業予算の査定にも大きな影響を与えているが、かつて、深刻な財政赤字を克服したカナダの大蔵省は(1)公益性があるか(不特定多数が受益できるか)(2)住民自身で出来るかどうか、税を預かる行政がやる必要があるのか(3)国・県・市町村のどちらがやるべき仕事か(4)公務員、外部委託、NPOなど、効率性からどこの担当がベストか(5)実施する方法は費用対効果から最良かどうか(6)税金で行うことから、優先順位はどうか(7)負担増を住民は受け入れるだろうか、を予算査定の原則としている。参考にすべきである。

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2.リレートーク

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 左京 泰明(特定非営利活動法人シブヤ大学 代表理事)

 100年に一度と言われる渋谷駅周辺の再開発、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる国立競技場のオープンなど、“いよいよ本番”という感じで迎えた2020年の渋谷。しかし一方で、渋谷区として向き合わなければならない“まだまだこれから”というテーマがある。それは区の基本構想にも掲げられている、「地域コミュニティ」の衰退が著しい都市部におけるソーシャル・インクルージョン。つまり、高齢者や障がい者の見守りや、子育て世帯の孤立防止など、かつて地域コミュニティが担っていた(行政としては地域に任せていた)役割について、現代の都市環境や人々の価値観を前提としながら、いかに新たな仕組みを構築していくか。そして、そのための人々の意識や地域の文化を醸成していくかということだ。

 渋谷区の人口は約23万人。「地域コミュニティ」の状況を表す指標の一つ、町会・自治会の加入率は、平成30年度渋谷区区民意識調査報告書によると、「加入していない」と答えた人は42.6%、「加入している」は40.6%、「分からない」が16.1%。但し、そのうち「マンション・アパート(借家)」に暮らす人では、わずか7.8%、居住年数が「2年未満」では8.9%に留まっている。(この背景としては、戦後以降の就業形態(自営業から会社員へ)や家庭環境(専業主婦から共働きへ)の変化はもとより、人口の50%が20代から40代の若い世代であることや流動性の高さ(5年以内の転入者の割合が約6割)などといった渋谷区ならではの特徴も大きな要因だと考えられる。)

 今日、国全体として人口減少や超高齢化社会といった局面を迎え、政策の方向性として、社会教育分野における「地域づくりの担い手の育成」や福祉分野における「地域共生社会の実現」など、今後の公共を担う主体として、地域コミュニティや一人ひとりの市民に対する期待が一層高まっている。しかし、現在の都市部の地域コミュニティには、今すぐその役割を引き受けることが出来るような受け皿は存在しない。もちろん今後2025年問題など社会保障費の急増が見込まれる中で単純に行政負担を増していくような解決策も現実的ではない。地域コミュニティにも頼れない、一方で行政のリソースも限られている、正に板挟みの状況。

 しかし、そのような危機的状況を突破していくことこそ真のイノベーションであり、いつの時代も、日本中から若い才能、多様なプレイヤーが集い、新しいカルチャーや文化を発信してきた渋谷だからからこそ、必ずや乗り越えられるはず。東京オリンピック・パラリンピックの選手たちに負けぬ情熱を持って取り組みたい。

左京 泰明:特定非営利活動法人シブヤ大学 代表理事

1979年福岡県中間市出身。早稲田大学第二文学部卒業。2006年特定非営利活動法人シブヤ大学を設立。
「シブヤの街がまるごとキャンパス」をコンセプトに、生涯学習事業、まちづくり事業を行う。近年は渋谷区での実践を基に、全国の地域のまちづくりに関するアドバイスや、非営利組織に対する経営指導などにも注力している。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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IRは予定どおり令和3年に整備区域の認定ができるのか?

10年ぶりに現職国会議員が逮捕されるということで、事の先行きが不透明になってきたIR(統合型リゾート)整備ですが、昨年11月にはスケジュール案が示されたものの、今月中にも決定すると言われていた政府の基本方針の決定が先送りになりそうだということで、特に万博の開催時期が決まっている大阪の関係者は気を揉んでいるところではないかと思います。
現在示されているスケジュール案では令和3年7月が認定申請の締切となっていますが、基本方針の決定が1月中であったとしても、手を挙げたい自治体にとって実施方針の策定や事業者公募に要する時間がカツカツになると見込まれていた中、今回の先送りでさらに苦しい状況になるのではないかと思われます。
果たして整備区域の認定は令和3年中に間に合うのでしょうか。

★赤羽国交相、IR基本方針の公表「時間がかかる」
2020年1月21日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/200121/plt2001210017-n1.html

★IR汚職、誘致自治体は影響懸念 反対住民から疑念
2020年1月14日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54391090U0A110C2EA2000/

★IR誘致見送り「十分な時間取ることできず」 千葉市長の会見詳報
2020年1月7日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/200107/plt2001070022-n1.html

★「イメージ悪化」憂慮 IR誘致自治体に衝撃
2019年12月25日 産経新聞

https://www.sankei.com/affairs/news/191225/afr1912250042-n1.html

★IR汚職、誘致自治体「村のイメージダウン」「関わり一切ない」
2019年12月26日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20191226-OYT1T50051/

★大阪IR、開業時期は審査対象外 募集要項で明示へ
2019年12月23日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53715420T21C19A2AC8Z00/

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4.イベント情報

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第12回2020年度日本自治創造学会研究大会 最新情報

開催日決定:5月31日(日)・6月 1日(月)の2日間

場  所:明治大学アカデミーコモン棟3階 アカデミーホール
    (東京都千代田区神田駿河台1−1)

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

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お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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