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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第41号

< 2019/5/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第41号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  浅野 大介(経済産業省教育産業室長)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言

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 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 行政改革は社会環境の変化にどのように対応すべきかを考える時に生まれるものです。
 お年寄りも、若者も故郷に住む喜びを少しでも感じられる行政の在り方を模索することに尽きるのかも知れません。
 地方自治にかかわる全ての人々が、改革に向かって様々な知恵を発揮することが、今こそ求められています。

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2.リレートーク

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「未来の教室」とEdTech研究会の意義
  
  浅野 大介(経済産業省教育産業室長)

 経済産業省では、激動に変化していく今日の社会状況に対応した人材を育成するため、日本の「教育」に関する在り方や環境整備について検討すべく、2017年7月に「教育産業室」を発足させ、議論や検証を進めてまいりました。
 「教育」は、社会に出て活躍していく人材を育成する礎です。だからこそ、産業界も含めて、現在の社会の動きを踏まえた視点も組み込んだ「教育」が求められており、経済産業省としても「教育」の在り方に関与していく責務があると考えています。
 まずは、経済産業省教育産業室がどのような取り組みを行っているかを簡単に紹介させていただきます。
 
 これからの第4次産業革命・Society5.0の時代を生き抜くためには、自ら主体的にテーマを設定し、深掘り、解決していく「創造的な課題発見・解決力」が必要になってきます。
 そのため、経済産業省では、昨年1月から「未来の教室」とEdTech研究会を開催し、「創造的な課題発見・解決力」を育むために、どのような学びの形、「未来の教室」が必要かの議論を進め、昨年6月に第1次提言を公表しました。

 「未来の教室」には、1.短い時間で勉強を仕上げて豊かな時間の使い方を可能にするため、EdTech(※1)を用いて一人ひとりの理解度・特性に合わせた「学びの個別最適化」を実現すること、その上で2.現実の社会課題の解決に、教科の枠にとらわれず取り組んでいく、文理融合・課題解決型のSTEAM(※2)教育を実現することが必要であり、「学びと社会の連携促進事業」という予算を活用し、昨年7月から、これらの実現に向けた実証プロジェクトを全国各地の教育現場で展開しています。

 「学びの個別最適化」を目指す実証事業では、小・中・高校の算数・数学・英語の授業で、一斉授業を最小限に抑え、各生徒がEdTechを用いて自分の理解度に合わせた個別学習を進めたところ、一斉授業で見れない各自の意欲や成績の向上・学習時間の短縮という効果がみられました。
 一方で、学校の通信ネットワークなど、ICT環境に関する課題や、一斉授業より短い時間で学習成果をもたらす場合の学習指導要領や、学校教育法の関係法令の解釈(標準授業時数を下回ること、次の学年の学習内容に進むこと)の明確な指針を求める声などが浮き彫りになりました。

 また、「STEAM教育」の実証事業では、高校生向けに「スマート農業」や「未来のモビリティ」をテーマとして、社会課題とIoT・ビッグデータ・AIなどを学ぶプログラムの構築を開始しており、各生徒の学習意欲や課題解決力が高まり、プラス効果が見え始めています。
 一方で、STEAM教育の確立・普及には、学年の単元の内容を超えること、教科同士を組み合わせることに関して、教育現場が参考にできるモデルプランが必要であるとの御意見があったほか、そもそも、コンテンツと指導できる人材の絶対的な不足が課題であり、産業界の協力のもと、コンテンツと指導できる人材の創出に向けた仕組み作りが必要不可欠です。

 今後、「未来の教室」とEdTech研究会では、実証事業の成果や浮き彫りになった課題を踏まえ、今年度実証を進めていくべき事項や、制度改正が必要な事項などの検討を進めており、6月に「第2次提言」を公表する予定です。
 これからの時代の「教育」の在り方を考えるためには、教育の現場を持つ各自治体の皆様との議論が必要不可欠ですので、ぜひ現場のみなさんとのご協力のもと推進致したく思いますので宜しくお願いいたします。

※1 テクノロジーを活用して教育に変革をもたらすサービス・技法や、サービス・技法を構成する要素テクノロジーそのもの
※2 「Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics 等の各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育」と定義されているが、経済産業省の研究会で、「STEAM教育」で何を目指すかの議論を進めている。

〇「未来の教室」とEdTech研究会 会議資料

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/index.html

〇「未来の教室」ポータルサイト(実証事業の詳細等を掲載しています)

https://www.learning-innovation.go.jp/

浅野 大介(あさの だいすけ)

経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長
2001年入省。資源エネルギー(石油・ガス)、流通・物流・危機管理、知的財産、地域経済産業、マクロ経済分析等の業務を経て、2015年6月より資源エネルギー庁資源・燃料部政策課長補佐(部内総括)、2016年7月より商務流通保安グループ参事官補佐(大臣官房政策企画委員)として部局再編を担当し、教育サービス産業室(現:教育産業室)を立ち上げ。2017年7月より大臣官房政策審議室企画官、10月より教育産業室長を兼務。2018年7月よりサービス政策課長に着任。教育産業室長は引き続き兼務。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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統一地方選挙終了 ~議会の多様性は政治参加の原動力になるか~

 平成最後の統一地方選挙が終わりました。今回の統一選では、高知県・大川村における「町村総会」の検討を契機として、特に町村議会における「なり手不足」が注目を集めました。
 一方で、高齢の男性が中心となっている地方議員の構成に疑義を投げかける報道も多く見られ、特に道府県議や市議において女性議員が過去最多になりましたが、いまだその構成比は低く、社会の偏見や中傷、セクハラ等との戦いでもあるとされています。また、障害者やLGBTなどマイノリティの声をきちんと拾い上げる多様性が地方議会にも求められています。
 こうして見ると、「なり手不足」が問題だと言われているのは、専業農家が減りサラリーマンとの兼業が当たり前になるなどの産業構造の変化によって、平日の日中に議会に参加できる中高年男性が見つからないという話であり、「不足」と言っている一方で、これまで「なり手」と想定していなかったサラリーマン男性や女性、マイノリティには門戸を閉ざしていたことの帰結なのかもしれません。
 であれば、地方議会への政治参加を進めていくためには、議会の土日夜間開催や兼業制限の緩和などの制度的な対策とともに、「中高年男性の地域ボスの集まり」というパブリックイメージを変えていくための議会広報(広報紙、ネット配信、出前議会報告会など)の改革が必要となるのではないでしょうか。

★<縮む地方議会>(中)上がらない区部の競争率 なり手不足、都心も
2019年4月10日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201904/CK2019041002000125.html

★統一地方選 見えた課題 議員成り手の確保対策急務 田村秀 長野県立大学教授
2019年5月8日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO44469340X00C19A5KE8000/

★縮むまち、暮らしを結ぶ地方議会にいま問われるもの
2019年4月18日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM4H4Q3GM4HOIPE019.html

★来れ立候補者 担い手確保に苦心 兼業OK、夜間・休日開催…
2019年4月16日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43770910W9A410C1AC1000/

★女性当選が過去最多、でも全体の1割 41道府県議選
2019年4月8日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM484VTZM48UTIL02N.html

★首長は「ガラスの天井」? 女性の立候補に支援者から思わぬ反応
2019年4月13日 毎日新聞

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190413/k00/00m/010/001000c

★女性候補にも深刻セクハラ ネットで中傷/名刺交換時、体を密着
2019年4月17日 毎日新聞

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190417/ddm/012/010/049000c

★<統一地方選>女性議員、100人超える 3市長、19市町議員決定 投票率は軒並みダウン
2019年4月23日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201904/CK2019042302000154.html

★市議選、女性最多の1239人当選 統一地方選後半戦
2019年4月23日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44043840S9A420C1PP8000/

★’19統一地方選 「議会も多様性を」 障害もつ候補者奮闘
2019年4月18日 毎日新聞

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190418/ddm/041/010/046000c

★がん治療で議会欠席は「ポンコツ」か 議員と両立の道は
2019年4月9日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM484401M48ULZU002.html

★性的少数者候補「人の痛みに敏感な社会を」 選挙で訴え
2019年4月18日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM4K6CYQM4KULZU01W.html

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4.イベント情報

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2-24-301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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