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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第44号

< 2019/8/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第44号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  木下 斉(一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言

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「直言」
 “地方分権と運転免許制度”

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

高齢者の自動車事故が多発し、法改正を求める声が高まっている。しかし、公共交通が無くなった過疎地では自動車による移動手段は住民にとって生活を維持するための必需品である。
 免許制度は全国一律が望ましいが、都会と地方では生活環境が大きく異なる。このように住民の生活を守るための必要な手段が「地方分権であり、条例の活用」ではないだろうか。私たちはもう一度分権や条例の意義を論じる必要がある。
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2.リレートーク

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「地方における開発の成功の鍵は「逆算開発」」

 木下 斉(一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事)

 地方活性化における開発で重要なのは、従来とはプロセスを逆に回すことにあります。
従来であれば、予算を確保して計画をたて、開発予算を確保、入札して工事、さらに管理運営事業者を募集し、最後にテナントを集めるといったようなやり方ですが、この流れでは縮退社会では失敗確率が飛躍的に高くなります。

拡大社会では計画段階と実施段階との間でプラスの経済格差が発生するのでよいのですが、縮退社会では計画段階よりも実施段階のほうがより経済状況は厳しくなってしまいます。テナントが予定どおり入らない、家賃を下げないといけないといった状況に陥ることは多々あります。もうひとつは人手不足、資材不足の背景で開発予算、管理運営にかかるコストも高くなってしまいます。結局のところ計画段階よりも収入は減り、経費は増えるというものが多くあるのです。各種事業の入札不調は計画段階で実情を踏まえていない失敗なわけですが、それは過去のやり方を現代に続けているからです。地方に開発機会がないわけではなく、やり方が間違っているわけです。

それでは縮退社会において地方で開発を成功させるためには、どうするか。拡大社会の時とは逆のことを徹底します。

まず計画、開発、運営までを統括する主体を決めます。計画はコンサル、開発は建設業者、運営は運営会社といった具合に個別外注で回すのは絶対に駄目です計画、開発、運営まで責任を持つ会社、人物を最初に決める必要があります。でないと、計画も開発も結局責任持つ必要はないために適当な内容になり、最終的な運営で「赤字」となるのが判明することが多くあるからです。運営責任を持つ人が計画も開発も統括する必要があります。

その上で、最初の仕事は「テナント募集」です。住宅でも商業施設でも工場団地であっても、最初に借りてくれる企業、買ってくれる企業を決めます。市場調査とか統計的なものではなく、実際の営業をするのが基本です。統計的な市場調査、相場での家賃シミュレーションとかは全く役に立ちません。実営業をした上で必要な実契約数をもとにして事業計画を組み立て直しを続けます。その収入をもとに、開発事業と返済計画を組み立てます。また、直営事業であれば集客を最初に行います。例えば、飲食店や宿泊施設であれば開業前に前売りをインターネットを通じて行い、集客を行うなどが可能です。もしこの段階で望ましくない結果となれば、計画を見直し、規模を妥当なレベルに落とすなどして事業性を優先させます。

計画を見直しを書けた上で、テナントのキャンセルや入れ替えなども開発段階でも発生するので幾度となく調整を行いながら、適切な規模と予算を実数を定めていきます。

さらに、もしより地域にとって「儲け」を大きくしたいならばやり方があります。まずこれらの事業を最初は税金なしで計画、融資交渉することです。銀行融資をもとにして資金調達し、返済計画を組み立てる。つまりは開発から運営までトータルで黒字化するようにするわけです。黒字化できないものであれば、金融機関は融資できません。プロジェクトファイナンスが不可能な金融機関しか地元になければ、可能な金融機関と越境で交渉すべきです。この時に自治体などの与信などは一切与えてはいけません。あくまで事業審査で融資を決めてもらうことが、事業を筋肉質にし、強くするからです。

その上で、最終的に国からの予算を活用することです。こうすれば、ただでも儲かる事業に、さらに交付金や補助金が入り、利益率が高くなるわけです。結果、出資する自治体や地元企業などはより多くの配当を得られるようになるでしょう。不採算事業化し、毎年膨大な税金が必要になるような自体ではなく、むしろ稼いで配当をだしてくれれば、第二、第三の事業に投資が可能になります。

縮退時代にあわせた開発をぜひ徹底しましょう。

木下 斉(きのした ひとし)

1982年東京都生まれ。早稲田大学高等学院在学中の2000年に全国商店街合同出資会社の社長就任。札幌、愛知、熊本など全国各地の事業型まちづくり会社に出資、経営参画する傍ら、09年一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立。都市経営プロフェッショナル・スクールを開校し、既に250人以上の受講生が卒業、現在50都市以上のサポートを行う。
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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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ロスジェネ世代は日本の雇用慣行を変えるインパクトになりうるか

 骨太の方針などで、就職氷河期世代(ロスジェネ)が注目を集めています。政府は、今後3年間を「集中支援期間」として就職氷河期世代の就職を支援するとしていますが、20年の時を経てこれから終身雇用を前提としたヒエラルキーの最底辺に充当されるということでは当事者の納得も得られないのではないかと思います。
 必要なのは、これまで暗黙の前提としていた長期間にわたる文脈を重視したキャリア形成ではなく、必要なスキルをレゴブロックのように積み上げていくタイプのキャリア形成への支援ではないかと思います。
 その意味ではついに300万人を超えたフリーランス的な働き方を選択するロスジェネ世代が、わが国の労働市場に大きなインパクトを与えることで、「ティッピング・ポイント」を越えることができるのではないかと期待しています。

★ロスジェネは「人手不足の穴埋め」 救済策に透ける打算
2019年6月17日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM6D5WMZM6DULZU00F.html

★「孤立無業者」どう救う? 人間関係も職もない中年増加
2019年5月19日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM4T742HM4TULZU016.html

★支え手拡大へ雇用改革 年功・終身の「日本型」に限界 社会保障維持へ骨太素案
2019年6月12日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45961540R10C19A6EE8000/

★あなたの参院選 氷河期世代の人生再設計は ロスジェネの逆襲も?
2019年7月15日 毎日新聞

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190715/k00/00m/010/035000c

★フリーランス300万人超 内閣府初推計 就業者の5%
2019年7月24日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47729060U9A720C1EE8000/

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4.イベント情報

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

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お問い合わせ: info@jsozo.org

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