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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第43号

< 2019/7/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第43号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  関山 健(京都大学大学院総合生存学館准教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

参議院議員選挙が終わったが、“分権はもとより地方と国の仕組み”については誰もふれることはなかった。地方が自立し、効率的な行政システムの実現などには興味を失ってしまったのかも知れない。
 しかし、税の国民負担には限界がある。人口減少と高齢社会を乗り切るためには、国家予算と並ぶ行政経費を費消する地方(都道府県)と国の役割分担を抜本的に改革することが求められる。地方の再生と財政の効率化から必要不可欠な命題である。

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2.リレートーク

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「地方創生SDGs」

 関山 健(京都大学大学院総合生存学館准教授)

 最近、街を歩いていると、虹より多い17色が円状に並んだピンバッチを胸に付けた方と、しばしばすれ違う。国連「持続可能な開発目標」(SDGs)のピンバッチだ。「開発目標」と聞くと、途上国だけのものように聞こえるが、そうではない。SDGsが目指す環境、社会、経済の持続可能性は、先進国、途上国を問わず共通の課題である。

特に日本では、多くの地方で社会と経済の持続可能性が危ぶまれつつあることは、言を俟たない。少子高齢化や人口減少により、域経経済の縮小が起こり、地域経済の縮小が人口減少をさらに加速させる。人口減少や高齢化が進めば、人手不足や後継者不足によって、地域経済の担い手たる「稼げる企業」がますます減っていく。まさに地方衰退の悪循環である。

 そうした地方社会・経済の持続可能性と環境問題を含む地球規模課題の解決とを同時に達成しようとする取り組みが、地方創生SDGsである。環境、社会、経済の課題解決を通じて、地方創生を図ろうという考えだ。今年3月に公表された内閣府報告書「地方創生に向けたSDGs金融の推進のための基本的な考え方」に示されたように、地域におけるSDGs達成の主たる担い手は地域事業者であり、それを地方公共団体や地元の金融機関がサポートしていく体制の構築を目指したい。

ただし、地方創生SDGsや地方創生ESG金融が成功するには、地方発のソーシャル・イノベーションこそ核であり、その担い手たる熱意とアイデアに溢れた社会企業家への支援が重要である。内閣府の報告書には、この視点が欠けていた。

今後は、環境、社会、経済の課題をビジネスで解決したり、その持続可能性に悪影響を生まない商品やサービスを提供したりするソーシャル・イノベーションにこそ、新たなビジネス・チャンスが多く眠っていよう。

こうしたトレンドを捉え、多くの社会起業家を積極的に引き付ける地方は、地域の持続可能性と社会一般の課題解決とを同時に実現するソーシャル・イノベーションの拠点となるだろう。人手不足や少子高齢化が進む地方でも、大胆な優遇措置や集中投資によって、ソーシャル・イノベーションの拠点となることは十分可能である。新規事業や起業によって域経経済の活性化が起これば、人口減少にも歯止めがかかり、「稼げる企業」として地域経済の支えとなろう。地方創生SDGsによる地方活性化の好循環を期待したい。

関山 健(せきやま けん)

博士(国際協力学)東京大学、博士(国際政治学)北京大学、修士(サステナビリティ学)ハーバード大学。財務省および外務省での勤務の後、日米中の大学院で学び、笹川平和財団、東京財団、明治大学、東洋大学等を経て、2019年4月より現職。専門は国際政治経済学、環境政治学。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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自動運転車は高齢ドライバーを免許から解放できるか

 池袋などで起こった高齢ドライバーによる死亡事故の影響のためか、全国で運転免許を返納する高齢者が急増しています。加齢による認知機能の低下などを考えると、いつかは免許を手放さなければならない日が来ることは理屈ではわかっても、公共交通網が充実していない地方では自家用車が欠かすことのできない「生活の足」であることも確かです。
 このため、東京都は急発進防止装置に9割補助することとし(交通網とレンタカーが充実し駐車場代の高い東京こそ、免許や車を手放しても生活できる社会を真っ先に目指すべきではないかとも思いますが)、政府も自動ブレーキ車限定免許の検討を始めたところです。
 しかしながら、いつかは自分で運転ができなくなる日はやってきますし、運転できる家族がいなくなる事態も訪れます。そんな場面で将来を期待されているのが自動運転車です。将来的に無人で運転されることが可能となれば、特に路線バス等の採算が厳しい、地方の「生活の足」として、自動車を運転できない高齢者の生活を支えることができるのではないかと各地で実証実験が進められています。

★6月の免許返納、過去最多の6千人 警視庁
2019年6月26日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46600900W9A620C1CC1000/

★急発進防止装置、都が9割補助 高齢者事故で対策
2019年6月11日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45958360R10C19A6CC1000/

★自動ブレーキ車限定免許を検討へ 政府が高齢事故防止策
2019年6月18日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASM6L4Q7TM6LUTFK013.html

★検証 地域の望み、自動運転車 バス停までミニバン、運転手不足解消 国、実用化急ピッチ
2019年4月17日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20190417/ddm/012/040/107000c

★路線バスで自動運転 政府が実験、中型車で20年度から
2019年4月18日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43904860Y9A410C1EE8000/

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4.イベント情報

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

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お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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