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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第31号

< 2018/7/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第31号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.リレートーク
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.「改革発表会」の報告とベスト1の掲載
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.リレートーク

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~地方自治体の大転換~
その1 何故、自治体(行政構造システム)を変えなければならないか

  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

○変えなければならない理由-拡大期から縮小期への転換-

高度成長期の地方自治体は人口(住民)が増加し、税収が増えると同時に様々な分野で行政需
要が高まり、職員が増員された。地方の主要な財源である地方交付税も増額され続けた。
現在はどうだろうか。大多数の自治体で住民が減少し、行政需要はその分野を大きく変化しなが
らも、絶対的な需要指数は低下している。地方自治体は拡大期から縮小期に入ったのだ。増加し
ているのは医療・介護とインフラの修繕費だけである。

企業で言えば、高度成長期には製品の売上げが急増し、設備投資と共に職員の増員が図られた
が、その費用は拡大する利益で十分に補うことが出来た。
しかし現在では人口減少によってITやAIなどの新たな事業分野を除いて生活に必要な様々な製
品に対する国民の需要は低下し、国内販売額は減少している。そのため各企業は方向転換や職
員のリストラ、設備の改廃で生き残りを図ると共に、国外に活路を求めている。電化製品や百貨店
の総売上高減少がその象徴である。転換できなかった会社は倒産という終局を迎えている。

○このままでは自治体が消滅する―税収の低下と交付税の削減-

地方自治体は基本特性(強者と弱者の共生)+非営利独占的サービス会社(事業体)とも表現でき
る。であるとすれば自治体も一般企業と同じ様に、時代環境に対応できる事業体として体質の転
換やサービスの提供システムを抜本的に変えることが求められることは必然である。

何故なら住民税の低下と共に、国家財政は超悪化しており、今までのように自治体を支える資金
(地方交付税)を提供し続けることは不可能と言えるからだ。好景気が続く現在でさえ、国のPBは
10兆円の赤字となっている。この先医療・介護費の激増が確実に予測されているうえ、景気には
循環性がある。

私はかねてから市町村と都道府県と国の役割分担を明確にして、補助金の改廃や市町村と同等
の行政経費を費消する都道府県のあり方の改革(例えば広域化・道州制)を強く求めているが、国
は少しも関心を示していない。むしろ権力基盤の弱い基礎的自治体に矛先を向け、合理的な運営
を目的に市町村の強制合併に向かうことが考えられる。平成の大合併は中心地を残すだけで地
域の急激な過疎化を招いている。再度の大合併は市町村の消滅を意味している。

何としても元気な市町村を再生する必要がある。市町村の役割はとてつもなく大切で、生活上の
サービス提供機関だけでなく、人間として生きるために必要なコミュニティをつくり上げるキース
テーションであり、民主主義を学ぶ学校でもある。
~次号は「何をどう変える・大転換への方策」~

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2.「改革発表会」の報告とベスト1の掲載

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当学会は、さる5月10日、11日に研究大会を開催し、初日の夜、改革発表会を行いました。
改革発表会は、自治体改革の実践などの発表の場として2016年度の研究大会から実施している
もので、今回が3回目。3グループ、4個人から中身の濃い発表がありました。
参加者全員の投票でベスト1に選ばれたのは、兵庫県川西市議会の会派「明日のかわにし」によ
る「日本初? マイナスの会派予算提案書」。

以下、その発表内容(骨子)をご紹介します。

日本初?マイナスの会派予算提案
~川西市議会 明日のかわにし~
小山敏明 斯波康晴 多久和桂子 米沢拓哉(いずれも川西市議会議員)

1 改革の主旨
あれもして、これもしての予算要望から、あれをして、これやめての予算提案へ
予算編成の時期に、会派として提出していた「予算要望」をやめ、新たに「予算提案書」を作成して
市長に提出。提案内容は、新規・拡充の項目だけでなく、廃止・縮小・見直しの項目を設け、それ
ぞれに概算金額を掲載。
市の一般財源ベースでの収支均衡を達成させるために、予算提案書における合計の提案金額は
「▲1億6700万円 」とマイナスの金額を提案。従来の要望だけでなく、事業の優先順位付けを徹底
した提案を行い、会派としての覚悟を示した。

2 改革の必要性
各会派が提出している予算要望の内容は、非常に多岐にわたっています。それらを本当に全て実
現するとなると、自治体経営が破綻してしまいます。そのため、会派からの予算要望の在り方改
革の必要性を感じ、予算提案書を作成しました。

3 改革の実績
・会派内の意識改革
提案項目には概算金額も掲載することから、その提案項目が本当に必要かどうか議論を徹底的
に行いました。そのため、今まで深く考えずに要望していた優先順位の低い項目はなくなり、精選
した提案を可能としました
・行政の意識改革
廃止・縮小・見直し項目については、踏襲的に行われているけれども効果が出ていない事業を中
心に提案。行政側は、提案項目に対して全て回答する必要があるため、予算編成の時期に事業
の存続等の方向性について、再考する機会になったと思われる。
・決算・予算委員会審査改革
決算委員会審査過程をもとに、予算提案書を作成。
その提案書をもとに、予算委員会審査を実施。決算審査→予算提案書→予算審査、と一貫性を
もった会派での取り組みを実現。

《参考》
明日のかわにし「マイナスの会派予算提案書」
井上 貴至氏 愛媛県市町村振興課長 
言論プラットフォーム・アゴラ 2018年6月7日

http://agora-web.jp/archives/2033051.html

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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―「地域分権&住民自治」を考える-

地域分権、都市内分権…聞いたことがある方も多いと思います。
シンプルに言い表せば、地方自治を住民自治に近づけるということでしょうか。
2000年4月に地方分権一括法が施行されてから18年。この間、国から地方、また都道府県から
市町村に仕事(事務・事業)がシフトされるとともに、市町村では合併が進むなど広域化が進めら
れてきました。

つまり、市町村は、仕事が増えた一方で、広域化などで住民との距離が広がってしまった面があ
ると見ることもできます。この間に進んだのは地方公共団体という「団体の自治」で、「住民自治」
はむしろ後退しているのではないかということです。

そこで、議論されているのがこの地域分権・都市内分権。
欧米では、全般に自治制度は多様で、地域ごとのやり方で自治を担っているが、
日本の場合は、国が決めた画一的な自治制度のため住民自治が育ちにくいと言われてきました。
このため、国は2005年に「地域自治区」制度の導入を促す規定を地方自治法に盛り込みました。
しかし、導入の拡がりは今一歩で、いったん導入した地域自治区制度を解消する自治体も出てい
るのが実状です。
今回のニューストピックでは、この問題を取り上げます。

★今なぜ、都市内分権か
市民フォーラム21・NPOセンター

http://www.sf21npo.gr.jp/opinion/community.html

★地方自治、住民自治を考える  東京財団週末学校
講師:前田隆夫(西日本新聞社東京支社 報道部次長)
2016年6月26日(日)

http://tkfd-shumatsu-gakko.jp/essence-of-autonomy/8649/

★<奥州市長選>告示まで1週間 地域自治区廃止決定、混迷今も
2018年02月18日 河北新報

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180218_31001.html

★岩手)奥州市、住所の「区」廃止
2018年4月2日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASL3Y4FGHL3YUJUB00C.html

★地域コミュニティの再生と住民、自治体の課題
講師:名和田 是彦(法政大学法学部教授)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacp/8/0/8_0_5/_pdf/-char/ja

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4.イベント情報

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地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。掲
載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで
御一報ください。
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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