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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第30号

< 2018/6/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第30号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  小黒 一正(元財務省・法政大学教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 激変に対応できる新たな自治体をつくるためには
1.我がまちの5年、15年、25年の人口動態シミュレーションを作成する
2.人口動態の変化によって起こる市民生活への影響を明確にする 
3.影響による市民生活への不利益を解決することの出来る、自治体を創造する
このことに尽きるのではないだろうか。
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2.リレートーク

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「日本再生の起爆剤は地方庁構想」

  小黒一正(元財務省・法政大学教授)

 財政や金融政策、マクロ経済や人口減少の問題などテーマは様々だが、時々、筆者は地方講演の依頼を受ける。その際、各地方の魅力を実感する一方、最も深刻な課題として話を伺うのが、人口減少の問題だ。人口減少で低成長の時代に突入して以降、政治の役割は「正の分配から負の分配」に急速に変わりつつあるが、それに対応できない政治の姿を目にする。

 そもそも、経済の中核を担う市場は「効率性」を得意な領域とするが、政治や行政は「公平性」を得意な領域とする。例えば、人口増の経済では、都市が過密となってスプロール化しても、新たに発生した課題や利害調整を地域経済の果実で局所的に対応することができるが、人口減の経済では、低成長で分配の原資も枯渇しつつあり、そのような部分最適のアプローチでの解決は難しい。

 すなわち、人口増の経済では、政治や行政は「公平性」を優先した政策や解決策を模索できるが、人口減の経済では、部分最適が難しいため、全体最適のアプローチで柔軟な発想とスピード感をもち選択と集中を行いながら、「効率性」に重点を置いた政策や解決策が要求される。
 だが、硬直した「議会制民主主義」にあっては、喫緊の課題が生じても利害調整に手間取り、結局、「改革先送り」となる傾向が強くなってしまう。

 では、我々はどう対処すればよいのか。そのヒントは過去の政策議論の中に既に存在しており、選択と集中を行うための枠組みを構築、すなわち、道州制を含む地方分権を一段と強化するしかないのではないか。

 制度改革を実施すれば全てが上手くいくというのは幻想に過ぎない旨の指摘もあろうが、首相のリーダーシップ機能の強化や選挙制度改革、様々な規制改革等が日本の政治の姿を徐々に変えてきたのも事実であり、急速な人口減少が進む中、集権化と分権化の選別を行い、中央省庁が担う政治的な調整コストの一部を分散化する地方分権が残された大きなテーマであることは事実だ。

 だが、地方分権は常に「総論賛成・各論反対」で中途半端なものになってしまう。
 その理由は、体力の弱い自治体を含め、地方分権の受け皿となる移行スキームや移行組織が存在しないからで、その鍵を握るのが「国土形成計画」や「地方庁」(仮称)等であると信じている。

(論文詳細は、下記をご覧下さい。)
“道州制を含む地方分権に向けた国土形成計画の新たな役割と「地方庁」構想”

http://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20170911_4485.html

またはhttp://www.lij.jp/html/jli/jli_2017/2017autumn_p003.pdf

小黒一正(おぐろ かずまさ)
法政大学経済学部教授
1997年 大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。
財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー、厚生労働省「保健医療2035推進」参与、鹿島平和研究所理事などを兼ねる。
専門は公共経済学。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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―動き出した“統治機構改革”議論―

米朝首脳会談をはじめ、世界の大きな動きがメディアを賑わす昨今、内政問題の議論は(いわゆるモリカケ問題を別にして)些か鳴りを潜めている感があります。
しかし、この先、高齢・人口減少社会をどう乗り越えるかということだけでも課題は山積。
「国(の各府省)が小出しにする政策メニューでは先々の展望が見えない」
「政治主導の抜本改革が必要だ」
というような議論も少し復活の気配を見せてきました。
最近の傾向は、憲法改正議論の中で「統治機構改革」の必要性を訴えるもの。
今回のニューストピックでは、この関係の記事をご紹介します。

★橋下徹氏が90分間語った憲法改正、道州制…その見据える先は?
2017年6月4日 産経ニュース

http://www.sankei.com/premium/news/170604/prm1706040030-n1.html

★道州制や地方自治「改憲の論点に」 小池都知事
2017年12月26日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25112930W7A221C1L83000/

★憲法改正で統治機構改革をどこまで織り込めるか
早川 忠孝 弁護士、元衆議院議員
2018年01月24日 言論プラットフォーム・アゴラ

http://agora-web.jp/archives/2030684.html

★憲法改正議論「地方自治」の論点 
砂原庸介(すなはら・ようすけ) 神戸大学大学院法学研究科教授
2017年10月21日 THE PAGE

https://thepage.jp/detail/20171021-00000005-wordleaf?utm_expid

★なぜ自民党は道州制法案を出せないのか 
山本洋一 元日本経済新聞記者
2014年06月14日BLOGOS 

http://blogos.com/article/88456/

★憲法改正議論「地方自治」の論点 少ない規定、二元代表制のあり方や徴税権
2017年10月21日 THE PAGE

https://thepage.jp/detail/20171021-00000005-wordleaf

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4.イベント情報

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地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで御一報ください。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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