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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第86号

< 2023/2/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第86号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭言
  穂坂 邦夫(財団法人日本自治創造学会 理事長)
2.リレートーク
  鈴木 崇弘(城西国際大学大学院研究科特任教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.お知らせ
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1.巻頭言
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         ふるさと納税と税収の偏在
          〜様々な地方の意志を明確にする〜

                    穂坂 邦夫(財団法人日本自治創造学会理事長)

 ふるさと納税における2021年度の寄付金は過去最高の8,302億円となり、経費(返礼品、送料、仲介サイトへの手数料など)は46%の3,851億円となっています。この制度は今から15年前、過疎などにより税収が減少している地方地域と都市部の地域間格差を是正することを目的に、地方税法を改正して寄付者が税の控除を受けられると共に、国民が好きな自治体を選んで寄付できる制度としてつくられました。しかも寄付金の使い道も寄付者が自由に選択でき、教育や子育て、まちづくり、産業の振興や災害支援など特定することが出来ます。しかし各自治体間における返礼品競争が激化したため、国は返礼品は寄付金の30%、必要経費を寄付金の50%以下と制限したものの、寄付額に対する経費の高止まりと衆知するためのウエイトの高まりから、仲介サイトが活用されていることなど、問題視されています。地方(ふるさと)の政策支援と本来の目的である都市部との税収格差やふるさとの政策を住民自身が判断する新たな視点を活用する目的から、大きく逸脱しているとの指摘です。しかも税負担の恩恵がセットになっていることもあり、
都市部自治体の批判を受けて、真っ向からこの制度の廃止を主張するマスコミもあります。
 一方では、横浜市、名古屋市、大阪市、世田谷区、港区など税収が豊かな都市部から税収の少ない北海道の地方都市などに税が移譲されていることも事実です。さらに地方独自の名産品が見直され、地域の活性化に貢献しています。
 このような様々な現象と改廃に対する多くのマスコミの批判があるにもかかわらず、当事者である自治体はダンマリを決め込んでいると言っても過言ではありません。この際、地域の町村会や市長会は議会を含めて、この制度の検討に自らが取組み、勇気をもって様々な声を上げていくことが求められているのではないでしょうか。国家における法制化ですが、その結果は地方自身に大きな影響がありながら、声を出さないでいる現状がもどかしく感じられてなりません。地方の自立は自治体の大きな目標です。この際、よりよい“ふるさと納税”のあり方について地方自身が「税収の偏在」を含め、責任ある主張をすべきではないでしょうか。
 
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2.リレートーク
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     OISTの成果は、「変わらない」日本を「変える」方策を提示している

                    鈴木 崇弘(城西国際大学大学院研究科特任教授) 

 変われない日本。日本は、社会的発展が当時ある意味で最先進になり、先が見えにくくなった1980年の終わりごろから、次の可能性を求めてさまざまな改革がなされてきた。だが当時以降、バブル経済の崩壊、国際的な経済危機、大震災や原発事故などがあったこともあり、それらの改革は表面的なものに終始し、日本社会の本質的な変革に至らなかった。その結果が、今の日本の社会的低迷と国際的なポジショニングの低下につながった。そして、私たちは、いつしか「日本は変わらない、変えられない」という意識を持つようになった。
 だが、そんな日本でも、大きな変化を生み出している場所がないわけではない。その一つが、「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」だ(注1)。
 OISTは、ノーベル賞受賞者を輩出し、設立後8年で研究機関の国際的ランキングで東大(40位)や京大(60位)をはるかに超えて9位になるなどその高い研究水準で国際的にも注目されている。だが日本社会にとって、OISTが最も重要な部分はそこではない。
 重要かつ注目すべきことは、次に示すように、日本の従来の社会や組織とは大きく異なる多様な仕組みや方策を組み合わせた「実験的」でかつ「総合芸術」のような運営がなされていることだ(注2)。
 まずOISTは、国際的かつ先進的で地域にも配慮したビジョンとミッションが存在し、国際的で多様な人材によるガバナンスや運営、税活用だが私立大学として独自の運営、英語が公用語、分野の壁がなく学際的的で多様な人材による教育研究体制、ハイトラストファンドによる厳選された研究者による柔軟な研究環境、経済支援のある国際的人的構成で学際的な5年一貫の博士課程などを採用・適用している。
 さらにOISTは、従来の日本の大学と異なる教職員以外にその間の中間的役割を果たす人材や機能的で効率的な共有的施設等が存在し(これにより短期で効率的な研究や産学連携の成果の創出を可能にする)、ジョブ型の専門性を重視した雇用体制、多様な人材を活かすサポート体制・設備、環境や文化等にも配慮し知的刺激を生みだす施設や内部レイアウト、沖縄地域への高い貢献意識の存在、首都や県庁所在地から離れて自由度を担保する地理的空間などの独自環境にある(注3)。
 上記からもわかるように、OISTは、日本社会で、令和の「出島(国内にある外国・国際社会への窓的存在)」であり、その本来の意味で唯一成果を生み出し成功してきている「特区(日本の従来のやり方を超えた実験地域)」のような存在だ。
 そして別言すれば、OISTは、日本でも従来とは異なる対応をすれば、成果を生み出せることおよび日本社会の今後の希望や可能性を提示しているといえる。
 OISTは、今もその実験的な取り組みや運営を続けている組織体・場所だ。更なる工夫や改善も必要だが、日本は、その先進性や挑戦性において、その成功と経験から、自国の社会・地域および組織の今後の方向性や可能性について多くを学び、それを活かしていくべきだ。そうすれば、「変わらない」日本を必ず変えていけるだろう。

(注1)筆者は、昨年OISTで滞在研究を行った。その機会を提供していただいた、ピーター・グルース学長(当時)をはじめとしてOISTおよびその教職員の方々に感謝したい。
(注2)総合芸術である映画等では、俳優のみならずプロデューサーや監督、スタッフらが存在して、作品が作られている。OISTも同様に多くの人材や施設等で成り立っているのだ。
(注3)詳しくは、拙論文「OISTの挑戦にみた日本変革のヒント」(Voice2023年2月号)などを参照のこと。

鈴木崇弘 (すずき・たかひろ)
城西国際大学大学院研究科特任教授。設立に関わり東京財団の研究事業部長及び自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」事務局長、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科教授・研究科長、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。主著書は『日本に「民主主義」を起業する』『シチズン・リテラシー』等。専門は公共政策。
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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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「新型コロナ」の扱い変更で世の中はどう変わるか?

3年前からこの国の生活の様相をすっかり変えてきた「新型コロナ」もいよいよ平時の疾病になろうとしています。
国と地方のあらゆる資源を動員した非常時体制も徐々に平時の体制に着陸していくことになりますので、しばらくは諸々の軋轢が生じるものと思われます。
そのうちの一つが卒業式でのマスクの扱いです。今度卒業する学年は入学以来マスクだったことになるので、卒業式くらいマスクを外してほしい、という思いもわかるのですが、ずっとマスクをしている顔しか見せ合っていなかったクラスメイトたちが「せーの」でマスクを外すことになると思うと、抵抗感も想像に難くありません。

★「5類」移行で、東京都の対策こう変わる ワクチン負担は「国次第」
2023年2月15日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASR2G75T8R2GOXIE02J.html

★新型コロナ、5月から定点調査 「5類」移行で全数把握終了
2023年2月9日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0950P0Z00C23A2000000/

★「新型コロナ」改め「コロナ2019」 5類移行で名称変更
2023年2月16日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1630U0W3A210C2000000/

★コロナ「5類」移行 医療・救急現場、行政に入院調整継続求める声
2023年2月17日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20230217/k00/00m/040/226000c

★マスク着用、3月中旬にも「個人の判断」に 5類引き下げより先行
2023年2月9日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASR293SDJR29ULFA00F.html

★卒業式マスク不要、対応悩む学校側 「急な変更」困惑も
2023年2月20日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE092DQ0Z00C23A2000000/

★卒業式どうする? 親は?校歌斉唱は? 「子どもに強制しない」配慮しつつ「マスクなし」が基本線
2023年2月18日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/231961?rct=chiba

★卒業式のマスク「外すのが基本」 方針に不安の声「抵抗ある子も」
2023年2月11日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASR2B6D2KR2BUTIL02G.html

★高校生の4割「卒アル加工したい」 コロナ影響、ノーマスクに抵抗感
2023年2月13日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20230213/k00/00m/040/132000c

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4.お知らせ
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☆Yahoo!ニュース個人オーサー穂坂邦夫理事長の記事掲載ページのご紹介

記事一覧のページはこちら→ https://news.yahoo.co.jp/byline/hosakakunio
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発行:財団法人日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
東京都千代田区神田佐久間町2−24−301
お問い合わせ: info@jsozo.org
ホームページ: http://jsozo.org
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