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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第82号

< 2022/10/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第82号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(財団法人日本自治創造学会 理事長)
2.リレートーク
  杉野 静弘(特定非営利活動法人地域・観光情報総合研究所)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.お知らせ
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1.巻頭寸言
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       いじめを解決する特効薬「教育委員会と行政部局の一体化」

                   穂坂 邦夫(財団法人日本自治創造学会理事長)

 小中学校における「いじめ問題」は古くて、新しい課題として、依然として続いています。「義務教育」はまさに地方行政の中心的な課題と言っても過言ではありません。しかし、首長の関与は一歩ずつ前進しているものの「教育の政治的中立性」から、ややもすると「教育行政は教育委員会の専管事項」として取り扱われているのが現状です。しかし、「義務教育の充実・振興」は単に教育委員会だけで出来るものではありません。特にいじめ問題への対応は行政部局がリーダーシップを発揮しなければ、解決できるものではありません。何故なら公立小中学校における最大のバックボーンは地域です。地域とのつながりは教育委員会よりも行政部局が強く、いじめ問題の解消には地域との連携が重要なポイントになるからです。
 かつて小中学校の先生は「おらがまちの先生」であり、校長は「地域の行事には常に出席するわれらの名士」と位置づけられてきましたが、残念ながら現在では生活環境の変化もあって大きく変貌しています。しかし、地域と教育機関が遠くなった最大の原因は、学校の先生も校長も「都道府県からの派遣先生(職員)」が定着したことです。保護者はこの現実を認識している上で担任や校長と接し、校長や担任は市町村よりも都道府県を見る事が多くなります。このハンディキャップを補うのが「地域」というかけがえのないバックボーンです。
 いじめの辛さは、いじめる子供も、いじめられる子供も、どちらも不幸になることです。しかも学校内では把握出来ないほど、隠蔽されているのが昨今のいじめの特長です。この不幸な子供達を救う特効薬は「地域の住民と学校の一体化」です。一体化を図るには行政部局と教育委員会の連携・共同プレイが不可欠です。何故なら、解決する方法の第1は、学校における情報公開と地域住民に対する学校参加の促進です。第2は、いじめ情報の早期の収集です。学校区内の住民が学校運営に参加することが出来れば、いじめの情報はすぐ住民に伝わります。児童・生徒は保護者や学校の担任の先生にはバリアを張っていますが、一般住民には開放的になるからです。第3は、これらを実現するため、行政部局と教育委員会における連携の仕組みづくりです。ややもすると「学校」は閉鎖的になりがちです。行政部局がリーダーシップをとって地域住民と学校の連携を図ることが重要です。
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2.リレートーク
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      「旅を楽しく、便利にする観光DXのチカラ」

              杉野 静弘(特定非営利活動法人 地域・観光情報総合研究所)

 観光地にやっと観光客の姿が帰ってきました。コロナ前とはいきませんが、多くの方が旅を楽しめる環境が戻ってきて喜ばしいことです。数年来、事前に旅先の情報を知るには、ホームページやSNSを使えば簡単に情報を得ることができるようになりました。だた、一番、困るのが旅先で最新の情報や自分の課題に対しての回答を探す際には、今でもなかなか手古摺り、これといった情報に行きつかないということではないでしょうか。
 みなさんスマートフォンをお持ちでしょうが、この中にはさまざまなセンサーが組み込まれています。持ち主が立っているのか?座っているのか?歩いているのか?走っているのか?今の気温は?などさまざまなデータで今の環境を知ることができます。また、オープンデータ化が進み、天気や時刻表、交通情報など社会的情報も簡単に手に入るようになってきています。もちろん知りたい情報を探すこともできます。でもわざわざ探すのは大変!となったときに以下のような仕組みがICTの技術を使えばできるようになります。
 旅先で、パーソナルデータ×環境データ×コンテンツを掛け合わせると、その個人に最も適した情報を推測し、送り届けることができるようになるのです。
 例えば、
パーソナルデータ:東京都在住、50歳代、男性、普段から居酒屋によく行っている。今、旅先で、10,000歩以上歩いている。
環境データ:8月15日17:30、気温32度、湿度60%、札幌市すすきの近く。
コンテンツ:新鮮な魚介類が食べられるお店がすぐ近くに。生ビール半額セールをやっているお店も反対方向にある。
⇒ 推測「50代のおっさんが、暑い中1万歩も歩いている。きっと汗だくで、喉が渇いているだろう。近くでよく冷えたビールが飲めるので案内してやろうか」
これが自動で推測され、お店の情報がタイミングよく持っているスマホにプッシュ配信してくるのです。おじさんには、この情報が助け船になるかもしれません。お店側もお客が一人増えてラッキーですし、お金を地域に落としてくれるきっかけにもなります(ICT技術やデータが新な価値を産む=DXの簡単な例だと思います)。
普段、美術館に通うことが多い人には、旅先の美術館の情報を(現在やっている企画展の情報も込みで)。蕎麦好きには、旅先の蕎麦屋の情報を……少々おせっかいかもしれませんが、今まで以上に旅が楽しくなるのではないでしょうか。
 最新の情報やコンテンツを誰がどこに入力するかなどの課題は残っていますが、情報を探し出す技術の発展やオープンデータの広がりにより、観光分野でもDX化が進むことが予測されます。

杉野 静弘 (すぎの しずひろ)
特定非営利活動法人 地域・観光情報総合研究所
地方のタウン誌発行会社で、ポケベルやケータイ電話に地域コンテンツを配信する事業を担当。その流れで、2017年に特定非営利活動法人地域・観光情報総合研究所を設立。観光客と提供コンテンツの関係性を実証したり、観光情報を配信するアプリから観光客の動向を調査し、そのデータ結果を活用し、より効果的な観光施策の提案を行っている。
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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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マイナンバーカード、国民の半数超を取得 行政の効率化に向けて抵抗勢力を突破できるか?

今年度中に全国民に行き渡らせようとしているマイナンバーカードは、ようやく国民の半数を超えることができました。
これまではマイナポイントを餌にして普及率を上げようとしてきたところですが、9月に河野太郎デジタル相はこの方策を「邪道」であるとして、「正道」であるカードの使い道拡大を進めると発言してきました。
そして10月には健康保険証のマイナンバーカードへの「一体化」と運転免許証についても一体化を進めると発表するなど、「正道」方面に突き進む剛腕ぶりを示しています。
システム移行の過渡期にはよくあることとして、当面はデジタルとアナログが併存することになります。これは鉄道で言えば自動改札と有人改札であったり、高速道路ならばETCと有人料金所、スーパーのレジで言えばセルフレジと有人レジの併存と同じようなことで、対面を希望する人が多ければ混雑する分だけデジタルに対応した方が便利になるということです。
その意味では、普及率が半分を超えたということは、行政の効率化が一気に進む「臨界点」になる可能性があります。

★マイナンバーカード交付5割超す 22年度末目標達成遠く
2022年10月19日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA194UQ0Z11C22A0000000/

★マイナ保険証、24年秋の「義務化」決めた河野デジタル相の剛腕
2022年10月17日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20221016/k00/00m/020/186000c

★便利さ実感できぬマイナカード 事実上の義務化の前に必要性の説明を
2022年10月15日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQBG72HDQB7UPQJ01G.html

★運転免許証は廃止しない 「健康保険証との違い」と国家公安委員長
2022年10月14日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQBG6Q74QBGUTIL012.html

★郵便局の行政事務を拡大へ 政府検討、証明書の種類追加
2022年10月12日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/207800?rct=economics

★マイナカード交付率を反映、「デジタル田園都市」交付金で政府方針
2022年9月29日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQ9Q6H8FQ9QULFA02Y.html

★マイナポイント「邪道」 河野デジタル相
2022年9月4日 日本経済新聞

https://www.sankei.com/article/20220904-6IZYLRA6ONKDHE4WD4YIXO6NYU/

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4.お知らせ
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☆Yahoo!ニュース個人オーサー穂坂邦夫理事長の記事掲載ページのご紹介

現在、「地方公務員への提言30」の記事を連載中です。多くの方々に読んで戴き、地方公務員の改革資料にしていただけたら幸いです。

Yahoo!ニュース個人オーサー穂坂邦夫理事長の記事一覧はこちら
 https://news.yahoo.co.jp/byline/hosakakunio

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発行:財団法人日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
東京都千代田区神田佐久間町2−24−301
お問い合わせ: info@jsozo.org
ホームページ: http://jsozo.org
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