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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第72号

< 2021/12/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第72号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  平尾 禎秀(環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室長)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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住民の「客観的評価力・市民力」に驚愕!
                         穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
 
 市長就任時における最初の課題は「内水による洪水被害の解消」であった。しかも同時に水害が起こる箇所が3ヶ所もあった。
 財源は厳しく、補助金を最大限活用し出来る限りの自己財源を充てても、3ヶ所を同時に着工する事は不可能で、最初と最後の改良箇所の期間差は7年もある。どこから着工すべきか私も職員も悩んでしまった。
 職員に指示し、3ヶ所における危険度の大きさなどの様々な項目を数値化したうえで、3つの地域の住民代表で構成する協議会を設置し、住民自身による「着工順の選択」をお願いした。「利害が錯綜することから住民間では決められず、その上住民間に亀裂が入る」との意見が大半で、役所が決定すべきではないかと言われた。さらに議員からは市長の責任放棄ではないかと批判がでた。私は市民の良識を信じたかった。
 「もし、決定出来なかったら市長が順位を決定する」という条件つきで協議会をスタートさせた。驚いたことに約2ヶ月の短期間で住民自身が着工順位を決定した。しかも、それぞれの地域が納得ずくであった。住民同士が、3ヶ所の現場を視察し、役所が作成した危険度や財政状況を参考にして、譲りあった結果であった。
 私は情報開示の大切さと住民のもつ「客観的評価力・市民力」に驚愕した。市政の運営は住民の持つ良識と自律性を基本に行うことを改めて実感した次第である。
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2.リレートーク
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「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」について
                  平尾 禎秀(環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室長)

 皆様はじめまして。私は環境省で、プラスチック資源循環に関する業務の担当室長をしています。現在は、2021年6月に成立したプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号)を来年4月に施行するための準備を進めています。

 2021年6月に全会一致で成立したプラ新法は、循環型社会形成推進基本法を中心とする我が国の資源循環法体系の中で、初めて素材に着目し、プラスチックのライフサイクル全体を対象とするものです。プラスチックは、安価で、丈夫で、性状が安定し、加工が容易である等、その有用性から生活の中で幅広く利用される一方で、近年、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等により国内資源循環の必要性が高まり、プラスチックについて総合的な対策を行うことが不可欠となり、新法が制定されました。

 具体的には、設計・製造段階において、製造事業者等向けのプラスチック使用製品設計指針を策定し、指針に適合した製品を国が認定する制度を設けることとし、認定した製品については、グリーン購入法を通じて政府調達上十分配慮することとし、事業者・消費者にもその使用の努力義務が課されます。設計指針においては、プラスチック使用製品全般について、構造や材料等に関して、減量化、リサイクルしやすさ、素材代替等の定めを置くほか、製品分野毎に同種の製品と比較して特に優れた製品を認定する基準を別途定めていきます。

 また、販売・提供段階において、特定のプラスチック使用製品(小売店や飲食店等でのカトラリー・マドラー・ストロー、宿泊施設のアメニティ、クリーニング店のハンガー・カバー)のリデュースを促進するため、提供事業者に対して、ポイント還元や代替素材への転換、有料化等の使用の合理化を求めます。具体的な措置の内容は事業者が自ら設定する目標に照らして選択します。

 さらに排出段階でも、リサイクルの質・量ともに拡大するため、市町村が行うプラスチック資源の分別収集・リサイクルについて、容器包装のみならず製品を含めたプラスチック使用製品廃棄物の分別収集及びリサイクルを市町村の努力義務とした上で、
・容器包装リサイクルの仕組みを活用し、容器包装以外のプラスチック製品を含めて容器包装リサイクル協会にリサイクルを委託することができることとし、あるいは、
・リサイクル事業者と連携して、再商品化計画を策定し、国の認定を受けることで、市町村による選別・梱包等を省略してリサイクルを実施することができることとしています。

このほか、製造・販売事業者による自主回収・リサイクルや、排出事業者によるリサイクルを促進するための計画認定制度や、産業廃棄物について排出事業者が取り組むべき判断基準を示し、可能な限りの3Rと、リサイクルできない場合の可能な限り効率の良い熱回収を求めます。

 分別収集の在り方を決めるのはあくまで市区町村になりますが、市区町村が分別収集したプラスチック資源をリサイクルした場合のCO2削減効果は、ごみ発電等による場合の2倍以上と見積もられており、今後電力分野の温暖化対策の進展によって、この差が拡大することも見込まれています。プラ新法に盛り込まれた措置は、どの取組も事業者・消費者・自治体等の関係主体が連携・協力して取り組むことが不可欠なものであり、自治体の積極的な取組を期待しています。国としても、ライフサイクル全体での取組が進むよう、技術・財政的な支援を進めていきます。

平尾 禎秀(ひらお よしひで)
環境省 環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室長

2020年7月から現職。これまで、広報室長、大臣秘書官、欧州連合日本政府代表部一等書記官等を歴任。プラスチック資源循環、循環経済への移行等を担当。
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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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そう言えばこれって何だったっけ? もはや「10万円」としか報じられなくなった給付金のゆくえは?

衆院選後の岸田内閣の目玉政策になるはずだった「子育て世帯への臨時特別給付金」ですが、現金を配っても貯蓄に回されてしまうという昨年の特別定額給付金の反省を踏まえ、半分はクーポンで配ることにしたものの、クーポンのコストが900億円以上かかるということで国民の猛反発を受け、全国の自治体からは「使い勝手が悪い」「現金がいいに決まってる」など、「もらえるもんはもらっとけ」精神に基づく「現金コール」の大合唱が続いています。
去年の10万円で味をしめてしまったせいか、すっかり現金をもらうことに抵抗がなくなってしまった国民は、「子供がいなくても困っている人はたくさんいる」「年収960万円あっても税金が高くて生活は苦しい」など、好き勝手なことを言っていますが、報道機関の方も、「子育て世帯への臨時特別給付金」という名称では通りが悪くなったのか、今では連日「10万円」としか呼称しないようになってしまいました。
給付金の目的が不明瞭だとの批判も多いですが、であればこそ、もう一度原点に立ち返って、誰に対してどんな支援をしたいのか、どんな効果を狙っているのかを改めて議論すべきではないでしょうか。
現金を配っても親の懐に入るだけで子育て支援にならないことも心配されていますので、塾などの教育費や図書・文房具など、現金を渡されても購入しないようなサービス・財に限定したバウチャーを発行するという考えも筋が通っていると思います。まあ、それでは困るという親の声が大きいから今回のような迷走が起こるんですが。

★10万円給付は「3方式選択自由」に 自治体へ通知
2021年12月15日 産経新聞

https://www.sankei.com/article/20211215-3UIZ63Q3XFLOTE7XSSEMTEHSHQ/

★新型コロナ 10万円相当、所得制限なし給付容認 自治体財源で 政府、3通り指針通知
2021年12月15日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211215/ddm/001/040/116000c

★自治体任せで二兎を追い迷走 「10万円」給付、目的曖昧
2021年12月13日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1326C0T11C21A2000000/

★子ども給付の所得制限は不公平? なぜ「世帯収入」ではないのか
2021年12月11日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211211/k00/00m/020/003000c

★クーポン→現金 10万円給付で自治体反旗「政府はピント外れ」
2021年12月9日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211209/k00/00m/020/011000c

★10万円給付巡り、政府が固執 クーポンに地方反旗 来春配布「とても無理」
2021年12月10日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211210/ddm/002/040/044000c

★「春」には間に合わない?5万円分クーポン 7月配布も念頭と政府説明
2021年12月10日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/147928

★5万円クーポンより現金派の自治体続々 印刷や配布が煩雑、商品やサービスの線引き難しく
2021年12月9日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/147687

★5万円クーポン「市民が望んでいない」 市長が現金給付を訴え
2021年12月9日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/147679?rct=politics

★政府与党、クーポン経費の正当化に躍起 967億円「過大でない」「関連業者の経済対策になる」
2021年12月8日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/147419?rct=politics

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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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