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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第71号

< 2021/11/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第71号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  蓮見 日向(国際基督教大学教養学部2年・学生団体GEIL2021ケース局長)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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自立する地方・活力ある地域社会を創る

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 コロナ感染が終息しつつある。コロナ後の様々な活動が始まっているが、地方自治体もコロナ対策に目を配りながら、閉塞感を打ち破る新たな時代の「まちづくり」を展望することが求められている。
 「まちづくり」の原点は「弱者と強者の共生」です。この理念を基に自治体は地方の基幹的な市民サービス機関として、その使命を果たさなければならないが、その上で、地域社会が持つ個性を活かした「自立する自治体づくり」を提案したいと思う。
 ややもすると地方自治体は「横並び」になりやすい特長がある。補助金による国の指導と共に、他の自治体と歩調を合わせ、同様の行政サービスを実施することが多いからだ。しかし、地方には地方独自の個性がある。これからはその個性に基づく独自の行政運営が求められているのではないだろうか。
 基本理念を守り、市民の声に耳をすまし、地域の環境をしっかりと受け止めた上で「横並び」を希求することなく、それぞれが「自立するまち・独自のまちづくり・個性ある市民サービス」を目指すことだ。その結果、それぞれの自治体が「自立する、個性ある地方」となって、小さくても「生き生きしたまちをつくり、活き活きとした地域社会」をつくることになるからです。 
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2.リレートーク
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環境問題に取り組んだ感想

                  蓮見 日向(国際基督教大学教養学部2年・学生団体GEIL2021ケース局長)

 私は東京の私立大学生で学生の立場から政策作りにチャレンジする政策コンテスト主催団体に所属し2020年春からこの夏までの一年間準備のために環境問題について学びました。政策コンテスト主催に当たりこの1年間、環境省はじめ環境問題で取り組む現場の方々や各研究機関の方々などから現状の環境問題について多くの学びをいただきました。そして私なりに気づいた点が大きく4点ありました。

 一つ目に、環境問題は重要で急務な政策課題である。環境省で中井事務次官にお目にかかり述べられた言葉が心に刺さりました。「この十年で運命が決まる。人間の活動基盤である地球は、今病気状態で悲鳴をあげている。如何に健康体に戻していくのか。」一般社団法人次世代社会研究機構の勉強会では某保険会社の機関投資担当者のお話を聞いても、金融の動向が環境問題を抜きにはできない世界的な金融業界の実態があった。環境を重視する価値観は、グローバルな立ち位置の組織や企業には敏感に変容している。一部の若い層を中心として変りつつあるし、変わらねばならぬと強く思う。環境問題は今や、将来世代という遠い言葉ではなく、我々の世代の重要な問題だと実感した。

 二つ目は、具体的な問題の所在があまりにも知られていない。例えば、最も取り沙汰される地球温暖化は、直接排出という観点ではエネルギーの上流である転換部門が総排出の約4割と多くを占めるということ、ただし間接利用という点で捉え直すと家庭での利用を無視できないことを知った。私自身もこのような実態を知り得て初めて、何故再生エネルギーなのか、何故節電なのか真剣に考えられると感じた。

 三つ目に、環境問題に取り組むにあたっては特に他の社会問題との連関が考慮されなければならない。環境省の掲げるビジョンに「地域循環共生圏」がある。これは、自立分散的なアプローチで実効性を高めるという目的もあるが、やはりSDGs(持続型社会)に象徴される分野横断的アプローチの必要性を示している。エネルギー利用、交通等のインフラ整備、災害対策のあり方、働き方といったライフスタイルと環境は切っても切り離せない。学んでいくうちに日本の江戸時代には循環型社会の在り方がすでに存在し、モノの流れが確立されていたことを知った。最先端技術追求と同時に日本における先人の知恵を生かす、温故知新の精神は先進技術の活用をより有効にするのだと感じた。

 四つ目に、解決のための行動が不十分である。何よりも個人単位での行動変容が大切だ。学生団体として我々は、環境問題の中で「循環型社会」をテーマに政策立案を行った。大量生産・大量消費・大量廃棄という地球資源をモノにして産業化してきたことで物的豊かさを構築してきたこれまでの在り方は地球全体に大きな問題を残した。そこで、私たちは学生団体としてモノの直線的な流れを問題視し、廃棄物削減と資源の再利用等を通じた環境負荷の低減を目指し、地球の資源を持続可能な取り組みにするための再認識テーマとした。この1年の学びは、速さ・安さ・便利さに価値を見いだす私たちの生活を省み、環境問題は自分ごとであることに気づかされた。

「政策作り」を机上的に考えていて、他者や社会を変えれるかなど大上段に構えていたが、一人一人がまず日常生活で何ができるか?社会課題に取り組むとは遠い問題でなく個人の価値観や生き方に繋がることを実感した。日常生活の中で何からできるか?まずはマイボトルの持ち歩き、食品残渣を出さない、長く丁寧に使う、リユースを楽しむなどやれることは沢山ある。理屈でなく日常の生活行動を、まずは私や私の仲間たちから持続型社会へ向けた生き方を選択していきたいと実感しました。

蓮見 日向(はすみ ひなた)

国際基督教大学教養学部二年。学生団体GEIL2021ケース局長

学生団体GEILでは、毎年夏にオリンピックセンターにて2週間合宿形式で、論文審査で選出されたメンバーが、初対面4人組で政策形成にチャレンジする「学生のための政策立案コンステスト」を運営。2021年は「環境・循環型社会」をテーマに、コロナの為リモートでのコンテスト実施

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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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コロナ収束傾向で「飲みニケーション」は復活するのか 〜職場での宴会に対するジェネレーションギャップ〜

 新型コロナの感染者の減少傾向が続いていることで、年末年始の忘・新年会シーズンの対応に頭を悩まされる方が多いようです。政府は会食人数の制限を撤廃する方向ですが、じゃあ早速忘年会を開こうとする企業はまだ少数で、多くは様子見をしています。
 何よりも影響が大きいのは、これまで必要不可欠だと言われてきた職場関係の飲み会を2年近く行ってなくても「何も困らない」ことに多くの人が気づいてしまったことではないでしょうか。考えてみれば、シーズンには週4だ週5だと毎日のように酒席が催され、毎日のように数千円から一万円を浪費し、深夜遅くに帰宅し、翌朝二日酔いで出勤する、という生活を何十年も当たり前のように送ってきたことの方が明らかに異常です。飲み会がなくなって寂しい人もいますが、誰が考えても得るものよりも失っているものが多いことがわかってしまいました。何よりも、「飲みニケーション」そのものが、既に中年以上の世代特有の文化になっていて、飲酒を楽しみにしている若者自体が減っています。
 今後、コロナが収束した場合にも、忘年会や歓送迎会が完全に途絶えるということは考えにくいですが、おそらくこれまでとは形を変えたものになるのではないでしょうか。例えば、まるで披露宴のような大宴会場で多くが食べ残される豪華料理を並べ、お酌をして回るようなスタイルから、軽食程度の立食パーティー形式に変わることも考えられます。もちろん、参加は強制ではなくなり、職場親睦会の負担ではなく会費制に。深夜遅くまで二次会三次会に行って翌日二日酔いでぐったりしているような人は、「社会人としての自覚に欠ける」と看做されるような社会が来るのかもしれません。
 そしていつの日か「職場での宴会」という風習は、白亜紀の突然の終了を示す「K-Pg境界」で恐竜やアンモナイトが発見されなくなることのように、コロナ前とコロナ後の社会の断絶を象徴するものになるかもしれません。

★会食人数制限の撤廃了承 コロナ分科会 職場の忘年会も可能に
2021年11月16日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211116/k00/00m/010/274000c

★年末年始の食事券の販売抑制 イートで、国と自治体が調整
2021年11月19日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/143778?rct=economics

★「忘年会なし」企業7割 制限撤廃も外食苦境
2021年11月22日 産経新聞

https://www.sankei.com/article/20211122-HB3ZFPR2PJK33I6F3ZGGT236JA/

★忘新年会、7割が開催せず 関西企業、慎重姿勢続く
2021年11月6日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/141291?rct=economics

★2年ぶりの忘年会はある? 悩める企業や官公庁、宴会復活には二の足
2021年11月8日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211108/k00/00m/020/172000c

★忘年会・新年会、「開催しない」企業が81・8%の県…最低は48・5%の沖縄
2021年11月14日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20211112-OYT1T50359/

★繁華街の夜間人口、昨秋の宣言解除後より2割減 「行動様式の変化が定着」東京都モニタリング会議
2021年11月11日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/142299?rct=national

★忘年会、やっぱりためらい 制限緩和1カ月「予約、埋まらない」
2021年11月25日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211125/k00/00m/020/160000c

★コロナ自粛終わっても…居酒屋に戻らぬ客足「リベンジ消費見込めない」 生活変化で景気回復鈍化か
2021年11月15日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/142929

★忘年会少なく、ワタミ会長も「最大の危機」 リベンジ消費どうなる?
2021年11月15日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASPCH64K3PCCULFA01Z.html

★忘年会の予約低調、どうして? 「業務に必要なら」企業は容認
2021年11月24日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20211124/k00/00m/040/159000c

★「各課で忘年会と新年会実施」目標に 山形市が飲酒伴う会合緩和
2021年10月07日 河北新報

https://kahoku.news/articles/20211006khn000037.html

★忘年会費を市が負担 山形・天童 利用額の半分、最大1人3000円
2021年11月22日 河北新報

https://kahoku.news/articles/20211121khn000017.html

★飲みニケーション、「不要」6割 コロナで意識変化
2021年11月24日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2322O0T21C21A1000000/

★忘年会解禁に意欲満々の上司がヤバい理由 「職場の一体感」の裏に透けるもの
2021年11月7日 NEWSポストセブン

https://www.news-postseven.com/archives/20211107_1704470.html

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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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