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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第70号

< 2021/10/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第70号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  杉浦 正和(武蔵大学人文学部客員教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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民主主義的中央統制方式を改める

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 コロナ感染が第6波襲来の不安をかかえる中で激減している。しかし我が国の大型災害危険度はコロナだけでなく、地震災害や地球温暖化による風水害の拡大など益々高まっている。これからの日本は様々な大型災害に向かって十分な対策が求められる状況にある。
 国と地方の関係は建前上、対等の関係にあると言われているが実態は全て徹底した「民主主義的中央統制方式」である。国家による財源の分配権と一律的な権限の行使である。
 危機に際して国が行使すべき権限は数多くある。同時に現場を知る地方独自の役割があり、国と地方が連動することによって大きな行政効果を上げることがコロナによって明確になった。
 3.11による被災地の復興もコンクリートの大堤防が林立しているが、その内側には地域に戻ることのない住民の姿が浮き彫りになっている。
 コロナ対策や災害からの復興状況を改めて検証し、国と地方の役割分担を明確にして、お互いの創意を結集することが危機に対応する最大の手段である。今こそ不可解な建前と実態の二重構造を改めることが強く求められる。 
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2.リレートーク
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主権者教育(模擬選挙)と地域問題の探究学習

                  杉浦 正和(武蔵大学人文学部客員教授)

 私は30数年私立高校で公民教育(政治・経済の科目)の教師として、生徒のディベート学習を毎年10回ほど30年間、中学高校で生徒会主催の模擬選挙を10回以上行ってきた。目的は、高校生が現実の社会問題に関心を持ち、その解決策について考察する力をつけることである。

 ディベートでは、例えば「原発廃止」をテーマにして生徒が数名のチームをつくり、肯定側と否定側に分かれて教室の前で論争する。それを他の生徒がメモをとりながら聞いて、最後に説得力がどちらにあったかを審査して勝ち負けを決める。これはある種の討論ゲームであり、大人が行う公的論争を教室の中で模擬的に再現するものである。大半の中高生は、授業で激論を交わすことがまずないし、彼らが討論好きだと思う人もいないだろう。しかし、ディベートという場を設定すると、生徒は決められた立場で準備して懸命に発言し、他の生徒は熱心に論争に耳を傾けるのである。互いの生徒が事前に調べてあり討論の進行にルールがあるので、論争はきちんとかみあうようになっている。こういう場を見てきた私には、いまの若者が政治に関心がないとか、意見を言いたがらないという悪評は、彼らの真の姿に気づかずその力を引き出していないだけとしか思えない。

 2001年、千数百名の高校生に対して社会認識を調査した。そこへ特に意識せずに、「20才になったら投票をしますか」と質問した。その結果を分析して驚いた。高1から高3になるにつれて、投票意欲の下がることがわかったのである。ディベートだけでは、選挙に関心を持つとは限らないと気づいた。大きな政治不信があるからだ。私の解決策は、学校に模擬選挙を普及させることだった。実際の選挙時に、授業内で生徒たちに模擬投票させることはそれまで時々行われていた。しかし、全国的に呼びかけて投票結果をまとめる運動がなかった。NPO法人RIGHTSと協力して模擬選挙推進ネットワークを結成し、2003年衆議院選挙から全国の高校に呼びかけてきた。そして、アメリカでは数百万人の模擬選挙が行われていたので、2004年から16年まで4回訪米して大統領模擬選挙や公民教育の視察を行ってきた。日本ではまだ多くの課題が残っているけれども、18才選挙権導入を契機にして、こうした主権者教育の必要性が広く認識されるようになったと言える。

 来年度から高校では新学習指導要領が施行され、「公共」という科目が高校の1-2年次の必修となり、主権者教育を進める科目とされている。授業をより面白くしようという改革を文科省が呼びかけている。どこまで実現できるのかわからないものの、「公共」の中で様々な探究学習が行われる可能性はある。「公共」で設定されたことと、私たちが提案した地域問題に取り組む授業を紹介しよう。一つは、地域において「持続可能な社会づくり」を調べ構想することである。科目「公共」では、政治・経済分野のあり方を学んだ後に、地域や国家、国際のレベルでの問題解決について探究学習を行うこととされた。街づくりなどをテーマにして、自治体や議会への協力依頼が増えると思われる。そして、私たちの提案は模擬請願である。国民の請願権を確認して、生徒のグループ活動として請願書をつくることを呼びかける。多くの生徒が学校周りの問題や地域の交通問題などを取り上げるだろう。そして、生徒間や教員に対して署名活動をしてもらう。この中で、自治体や議員への働きかけを期待している。ぜひ真剣に応えていただきたい。

杉浦 正和(すぎうら まさかず)

武蔵大学人文学部客員教授

一橋大学卒(社会学部)、筑波大大学院修了(社会科教育)、日立製作所社員、芝浦工業大学柏高等学校教諭・教頭などを経て現職。専門分野は、社会科(公民)教育、人権教育、生徒会研究。主要業績は、『原発、是か非か』(ほるぷ出版)、『生徒が変わるディベート術』『授業が変わるディベート術』(編著、国土社)他

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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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ガソリン、木材、小麦粉、半導体、輸入車、相次ぐ値上げ いよいよ本格的に物価も上がる?

目に見えるところでも「値上げ」の文字を見かける機会が増えてきました。
おそらく一番わかりやすいのがガソリンです。週末に車に乗るたびにガソリンスタンドの表示が上がっているのに気が付きます。
また「ウッドショック」で建築資材も高騰。住宅なんて日頃から購入するものでもありませんが、家具も上がっているようです。
一時期コンビニのお菓子がリニューアルするたびに小さくなって、「底上げ」「ステルス値上げ」とネットで話題になっていましたが、小麦粉に代表される食品の値上がりは今後ダイレクトに商品価格に跳ね返ってくるかもしれません。

★ガソリン、7年ぶり高値続く 全国平均164円台、灯油も値上がり
2021年10月20日 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102000788&g=eco

★ガソリン価格だけじゃない 原油高騰がもたらす打撃
2021年10月22日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20211021.html

★先を見通せぬ「ウッドショック」…住宅の工期遅れ、販売価格も上昇
2021年9月27日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210925-OYT1T50095/

★建築資材など住まい関連商品 相次ぎ値上げ 消費回復への懸念に
2021年10月5日 NKH

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013292751000.html

★コクヨ、文具やオフィス家具値上げ 原料価格高騰で
2021年10月18日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF182N60Y1A011C2000000/

★業務用小麦粉 値上げへ 今後パンなどの値上げにつながる可能性
2021年10月15日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211015/k10013308601000.html

★10月、暮らしこう変わります マーガリンやコーヒーに値上げの波
2021年9月27日 朝日新聞

https://digital.asahi.com/articles/ASP9V6533P9TUCLV00J.html

★これから「食品値上げ」の波が家計を圧迫する 「実質値上げ」ではなく「ダイレクト値上げ」に
2021年9月17日 東洋経済

https://toyokeizai.net/articles/-/455319

★「不足」「値上がり」「台湾頼み」 よく分かる半導体
2021年09月27日 日本経済新聞

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/semiconductor/

★輸入車に値上げの波、半導体不足で
2021年10月15日 アジア経済ニュース

https://www.nna.jp/news/show/2250568

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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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