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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第69号

< 2021/9/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第69号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  佐々木 真紀(一般社団法人次世代社会研究機構 研究員)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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予算編成に議員・市民が関与する

                         穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 国も自治体も新型コロナ感染対策に多くの力を傾注してきたが、12月議会が終了すると2022年度の予算編成が始まる。
 私は市長在任時に、予算を市長部局(執行部)・議会・市民の代表がそれぞれ編成して、市民が参加(公開の場)し、議論し、より市民本位の予算を立案したらどうかと提言した。市町村の規模にもよるが、政令指定都市以外は執行部から市民や議会に前年度の予算編成資料や当年度の歳入(収入)予定額、人口などの市政を取り巻く様々な基礎数値を提供すれば、容易に予算編成が可能だと思っていた。
 予想は的中し、市民の有志(市民委員会)は次年度の予算をつくりあげたが、議会は本会議で審議し、可否を決定する権限があるとの理由から「編成は出来ない」との回答があった。しかし、議員の一人は予算の編成に挑戦し、たった一人の力で新年度の予算(案)を作成された。
 市長(案)・市民(案)を中心に、市民参加の中で基本姿勢の「重要施策」などを発表し、多くの市民の意見を求めた。もとより、たった一人で編成した議員の予算(案)も市民に開示したことは言うまでもない。
 私(市長)は市民の声と議員の編成予算を参考に、私達が作成した予算案を修正し、3月議会に上程したが市民の関心は高く、議会への傍聴人も倍増し、市政と市民の距離は限りなく近くなったことを実感した。
 基礎的自治体は市民に近い。コロナ時代の新しい予算編成方法として、様々な挑戦をしてはいかがだろうか。
 
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2.リレートーク
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女性支援の現状と課題

                  佐々木 真紀(一般社団法人次世代社会研究機構 研究員)

 「女性と女の子をコロナ対応の中心に据えることが重要」であると2020年4月9日に国連グテーレス事務総長が各国政府に提言しました。今回のコロナ禍で窮する女性の相談が急増しています。私は東京都内の基礎自治体で婦人相談員として日々忙殺されている現場にいます。この8年間を婦人相談員として感じている現状と課題をお伝えしたいと思います。

 内閣府ではコロナによる生活不安などを背景にDVが増えることを想定し、令和2年4月20日からDV相談+(プラス)を開始しました。これは24時間対応する相談窓口で、外国語による相談や全国各地からの無料電話相談、オンライン・チャット(SNS)での相談を受け付け、被害者の安全確保のための同行支援や緊急一時保護等も行い、最終的に地域の被害者支援につなげるというものです。

・相談窓口を増やし、行政機関につなぐ「つなぎ支援」
DV相談プラスでは、相談員が危険と判断したケースを、コーディネーターが直接行政や民間の支援機関等に確実につなぐことが特徴です。つなぎ先は「主に都道府県・市町村、警察、配暴センター・婦人相談所であった」と報告されています。

・民間支援団体などへの支援の予算は倍増され、このように官民連携強化の掛け声のもと、困難を抱える女性の声をうけとめてつなぐ窓口は強化され増加しました。一方それらの女性たちの丸ごと支援する、受け止める側の基礎自治体の現場の現状はどうでしょうか。相談数増加していますが、公的な社会資源が相変わらず人手不足のままで、当然一件に費やす時間は減少せざるを得ず、一人ひとりに時間をかけた支援をしていると「やりすぎだ」といわれる始末です。

・行政機関で女性支援をしている婦人相談員とは
婦人相談員は1956年に制定された売春防止法第4章により設置されたもので、婦人保護事業の一機関として売春から更生する女性たちの支援者として全国の都道府県に義務設置されました。この60年間に社会は大きく変化し、婦人相談員に求められる業務も変化しました。2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」が施行され、新たに根拠法として追加され、その後「人身取引防止のための人身取引対策行動計画」、「ストーカー行為等の規制に関する法律(ストーカー規制法)」も加えられ最近では、「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する今後の対策の策定等について(平成29年6月22日厚生労働省通知)」が追加され、支援対象者はますます広がっています。

 婦人相談員の現状は人数も少なく、庁内で決定権を持つものが少ない。身分は全国では約8割が非常勤職員で、2020年からは新しく“会計年度任用職員”となり、一年毎の契約更新で任命、5年で雇止めと不安定雇用。

 2018年に、厚労省で“困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会”が開始されました。最終的な意見として中間まとめが出されています。
「中間まとめ」【191011公表版】 (mhlw.go.jp)
現在、国では売春防止法第4章の廃止にともない、法改正が議論されている真最中です。「公的、民間ともにもっと総合的な女性への支援法が必要」という声が上がっています。
よりどころのない、若年女性や妊産婦、高齢女性、単身女性、DVなど暴力被害をうけた女性、母子が急増する中で、相談者の特性と必要に応じた適切な支援ができる総合的な仕組みづくりが望まれています。そして現場で対応する人材確保必須です。
 
佐々木 真紀(ささき まき)

一般社団法人次世代社会研究機構 研究員(女性社会課題グループ)

H5年から女性差別撤廃条約批准に伴う、都道府県行動計画作成、調査、啓発事業等にかかわり、関西の女性支援団体で事務局業務を担う。H10年から東京の女性活躍推進NPOで事業を実施。H23から女性支援の一環としてDV被害者支援にかかわりはじめる。都内民間支援団体連携支援プログラムのコーディネーター就任。H25年、連携事業継続のため一般社団法人ウェルク設立、理事に就任。H26年、特別区の女性相談員に就任。R3年より東京都暴力対策審議会委員を務める。

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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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コロナ「陰謀論」はリテラシーの問題か社会や人間関係に根ざした問題か

コロナ第5波も収束傾向が見えてきたところですが、これから多くの国民がワクチン接種済みとなっていくと、様々なシーンで「ワクチン接種を拒否する人」と世間との間で軋轢が生じてくることが予想されます。
人によってワクチンを打たない理由は様々ではありますが、その理由がデマや陰謀論を信じてしまったからということになると周囲との軋轢は大きくなります。特にこれから受験生への接種が進んでくると、接種を希望する子供や父親と「自然派ママ」との間での家庭内不和が生じそうです。
さらに、自分だけが打たないだけには留まらず、周囲のワクチン接種を本人は全くの善意や使命感で「妨害」するようになると厄介です。似たような例としては、がん患者の周りに代替医療を進めたがる「意識の高い人」が群がってきます。これも気休めで済む分には害はないですが、正規医療を拒否するようになっては余命を縮めることになりかねません。
日本では各種ワクチンに反対する人たちが一定数いて、過去にもHPVワクチンの定期接種を阻止するなどの「成功体験」(その結果2000〜03年度生まれで4千人の死者が予測される)を持っているせいか、コロナワクチンに関しても各紙のスタンスの違いを読み取るがことができますのでぜひ読み比べてみるといいでしょう。

★「PCRは風邪も検出」「5Gがコロナ広めている」…生活・メディアに不満強いと偽情報信じやすく
2021年9月21日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210920-OYT1T50139/

★「ワクチン効果ない」「不妊になる」SNSでデマ拡散、信じて接種しない若者たち
2021年7月19日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210718-OYT1T50103/

★新型コロナ ワクチン巡るデマ、拡散の仕組み
2021年9月15日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210915/ddm/013/040/016000c

★「コロナは茶番」700人デモ、「普通の人」が先鋭化…[虚実のはざま]第4部 深まる断絶<1>
2021年9月9日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210909-OYT1T50063/

★「コロナは富裕層の仕業」投稿に引き寄せられた居酒屋店主…[虚実のはざま]第4部 深まる断絶<2>
2021年9月10日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210910-OYT1T50000/

★温厚だった妻、陰謀論の動画にはまり「まるで別人に」…[虚実のはざま]第4部 深まる断絶<4>
2021年9月14日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210914-OYT1T50051/

★「もて遊ばれている」 反コロナワクチン “陰謀論”信じる理由
2021年9月3日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210902/k00/00m/040/346000c

★陰謀論の思考とは/上 ワクチン反対派集会に参加してみた 自分たちこそ「真実」に覚醒
2021年6月4日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210604/ddm/012/040/077000c

★新型コロナ 「反ワクチン派」は何を考えているのか
2021年7月8日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210707/k00/00m/040/134000c

★感染急増「子ども」にワクチンを受けさせるべきか SNS上のデマ拡散、黒幕は40億円荒稼ぎの実態
2021年8月25日 東洋経済

https://toyokeizai.net/articles/-/450279

★仏、反ワクチンデモに17万人 「打たない自由認めて」
2021年8月25日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASP8T4QJ9P8SUHBI00J.html

★アメリカのワクチン完了率、日本に抜かれG7最低に 背景に根深い政治対立
2021年9月22日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/132487

★米国民に広がる接種の抵抗感、なぜ…? 著名な反ワクチン活動家・ケネディ氏に聞く
2020年12月24日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/76341

★コロナワクチン「打たない自由」はない? 接種は「努力義務」なのに…差別、偏見、同調圧力
2021年6月18日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/111340

★「接種勧奨」議論再開に声明
2021年9月4日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/DA3S15032505.html

★勧奨中止で死亡4000人増か 子宮頸がん予防ワクチン
2020年10月22日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65331980S0A021C2CR8000/

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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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