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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第67号

< 2021/7/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第67号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  永沢 映(特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンター代表理事)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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独自の予算化基準を設定する 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 国も地方もコロナ対策によって財政が悪化している。特に国家財政はコロナの完全な終息は期待できず、その対策を続けなければならない。一方ではコロナ後の景気対策が必要であり、その影響は地方にも及ぶかも知れない。地方財政は交付税や補助金に依存しており、国家財政の影響をもろに受ける。
 地方も国と同様にコロナによって疲弊した地域を活性化するために、様々な事業が必要となる。そのため、これからの地方は濃厚な「選択と集中」が財政面から求められる。選択と集中の最大の辛さは、現在まで続けてきた様々な事業のスクラップ化に直結する。私も市長在任時に、財政悪化の状況を職員から説明され、途方に暮れたことがある。
 その時、ふと思い浮かんだのは「財政再建のためのカナダ連邦政府予算編成基準」であった。様々な事業の要求に対して(1)公益性はあるのか(2)住民自身で、できるかどうか・税金を預かる行政がやるべき仕事か(3)国・県・市町村のどこがやるべき仕事か(4)公務員がやる必要があるのか・外部委託はできないか(5)実施方法はベストか(6)負担増を住民は受け入れるのかの6点である。
 これからの市町村は住民に痛みの少ない事業のスクラップをするために「独自の予算化基準」を設定すべきではないだろうか。

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2.リレートーク
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さいたま市から学ぶ施策としてのSDGs

永沢 映(特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンター代表理事)

 SDGsとは2030年までに持続可能でより良い世界を目指すために17のゴール、169のターゲットが具体的に示されている国際指標です。2015年9月に国連サミットで採択されて以降、日本においても広まり、個人として、企業や団体組織として、社会目標として様々にその理念が形として実施されています。エコな取り組みや国際協力、多文化共生社会の実現から働き方改革やボランティア参加など様々な形として広がっております。

 特に行政においては、新たな公共サービスのあり方に関して、SDGsの目標に準えて整備をしているケースもみられています。

 さいたま市では、2021年度より10年間の総合振興計画を「2030さいたま輝く未来と希望(ゆめ)のまちプラン」と称し、各行政分野においての政策や施策の方向性を定めた市政運営の柱となる計画策定を進める中で、SDGsの目標を照らし合わせています。またさいたま市は2019年7月には政府より「SDGs未来都市」に選定され、2021年1月には日経新聞社SDGsの調査を815の全国市区に行ったところ、総合評価で先進度全国1位となりました。環境、子育て、生活支援、協働など様々な分野で評価されました。

 もともとSDGs先進として都市評価されたさいたま市では、平成24年に開始した「CSRチャレンジ企業認証制度」を独自に実施し、106社が認定されています。令和3年度からは「SDGs企業認証制度」として発展的に移行しております。この制度によって、市内企業は経営、顧客、従業員、地域に対して具体的にどのような取り組みを実施、推進することがCSRやSDGsを反映しつつも働きやすい職場づくり、地域に評価される企業、そして事業として発展・継続していけるのかの具体的な行動指針を描くことができるようになりました。

 実際に認証企業からは、企業の価値を改めて取引先や従業員から評価されたり、短期、中期での経営の方向性が具体的に描くきっかけとなったなどの声が上がっています。

 SDGsは義務や責任で実践するものではありません。必ず適切に理解して行動することによって個人にとっては人生を楽しく豊かにしたり、企業としては評価や成長にもつながります。内閣府においては2020年より「地方創生SDGs登録・認証制度」のガイドラインを公開し、自治体ごとで実施することを推進しています。今後は自治体経営においても、また地域運営、企業経営または個人の行動指針の一つとして、SDGsをより日本版、地域版に落とし込んだ形で広がっていくことでしょう。

◆さいたま市SDGs企業認証制度

https://www.city.saitama.jp/005/002/010/013/p080038.html

永沢 映(ながさわ えい)

埼玉県生まれ。日本大学商学部商業学科卒業。大学卒業後に24歳で環境ビジネスの貿易会社を設立。1999年から6年間、会社経営の傍らフリースクールのNPO法人を都内で経営。また2000年より創業支援、人材育成のNPO法人であるコミュニティビジネスサポートセンター(CBS)を設立し、社会起業家や事業者、創業者からNPOまでの支援を行っている。全国で年間100コマ以上の講師、年間200件以上の個別相談を受けている。主な執筆は『コミュニティビジネスの成功法則』(PHP研究所)、『コミュニティビジネスを支援する6つの方法』(地方自治職員研修)など多数。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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ロードプライシングは渋滞緩和の切り札になるか?

東京オリンピックを契機に、ついに国交省はロードプライシングの導入に踏み切りました。
ETCの普及率だとか色々議論はありましたが、やれば効果があることはわかっていたので、「千円上乗せ」という極端な形で効果を示した上で、実際の導入はもっと細かく刻んでくるように思われます。
ETCで時間帯に応じてダイナミックに「値付け」できるようになれば、渋滞緩和には大きな効果が見込まれますが、さらに物流の自動運転化とも組み合わせて道路インフラの高度利用に結びつけてもらいたいところです。
間違っても、中途半端な値付けのせいでトラックドライバーの健康を害する方向に進まないようにしていただきたいものです。

★4連休の首都高交通量、3年前の3割減 東京五輪に伴う交通規制で
2021年7月26日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210726/k00/00m/040/275000c

★高速道有料期限、65年から再延長へ 老朽化で無料遠く 渋滞緩和へ料金変動制
2021年7月26日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2520O0V20C21A7000000/

★高速料金、休日・深夜割引見直し 大都市圏に変動料金を導入
2021年7月26日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/119475?rct=national

★交通規制初日、各地で渋滞多発 しわ寄せは市民生活に
2021年7月21日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASP7N75SQP7MUTIL017.html

★首都高、19日から1千円上乗せ 緊急事態でも五輪対策
2021年7月13日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASP7F5634P7DUTIL00F.html

★高速道路の料金値上げ、国交省が検討—渋滞緩和で
2021年4月27日 レスポンス

https://response.jp/article/2021/04/27/345349.html

★高速道、渋滞緩和へ変動料金制 首都圏などで国交省検討
2021年4月26日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA198SB0Z10C21A4000000/

★高速料金のETC専用化は10年後 「現金派」に配慮した後払い制度も導入
2020年12月18日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20201218/k00/00m/040/020000c

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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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