地方から未来を真剣に考える。

メールニュース

メールニュース一覧

--

【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第63号

< 2021/3/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第63号 ■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.第13回 日本自治創造学会研究大会 「講師の横顔」
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
  日本自治創造学会 第13回研究大会開催決定  
******************************************************************
1.巻頭寸言
******************************************************************
「分権とコロナと地方議会人の役割」

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 分権はコロナ感染の防止に必要であると、橋下元大阪府知事が幾度となく持論を展開している。その通りである。
 我が国の民主主義政治が機能するためには、国と都道府県と市町村の役割分担の明確化が絶対的に必要なことが、コロナ禍によって明らかにされている。しかし、首相はもとより与野党の国会議員もふれようとはしない。各知事をはじめ市町村長も分権を訴えようとはしない。何故だろうか。
 私自身、市長と県議を経験したが、県議会の議長当時は全国議長会を通じて自治体制度100年なども重なって声高に「地方分権」を国に向かって訴えたが、市長職にあっては真っ向から国に訴える事は躊躇した。ささやかに当時の「構造改革特区制度」を使って25人程度学級や収入役の必置規定の廃止などの実現にとどまってしまった。
 執行権を持つ首長は地方交付税や補助金に頼らざるを得ない現行システム下では、真っ向からの分権改革への訴えは出来なかったのが本音であるが、一方では、地方議会の後押しがなかったことも大きな要因であった。
 25人学級は議会が全会一致で実現を決議したため一気に実現したが、収入役の廃止は議会の反対が強く、2年後に国の発意で「全国一律での廃止」となった。
 首長は議会の支援があってこそ、国に訴える力を持ち、実現にも希望が持てたが、議会の賛同がなければ進まない現実があった。地方議会が分権の主導権を握っているといっても過言ではなかった。
 今こそ、「実効性の高いコロナ感染の防止策実現に向けた地方分権」を国に強力に訴えることが地方議会人の役割ではないだろうか。
******************************************************************
2.第13回 日本自治創造学会研究大会「講師の横顔」

  〜第13回(2021年5月20日〜5月21日)研究大会講師の横顔です〜
******************************************************************
《第1日目・5月20日(木)》

西村 康稔  コロナと闘った1年
 西村さんは、第4次安倍第2次改造内閣・菅義偉内閣における経済再生担当大臣です。通商産業省勤務の後、2003年の衆院選に当選し、現在、6期目の衆議院議員を務められています。2020年3月からは新型コロナ対策担当大臣も兼務され、政府のコロナ対策の陣頭指揮に当たられています。

藤井 比早之  デジタルで新たな日本を創る
 藤井さんは、菅義偉内閣においてデジタル改革などを担当する内閣府副大臣です。総務省勤務の後、2012年の衆院選に当選し、現在、3期目の衆議院議員を務められています。2020年9月から行政改革やデジタル改革などを担当する副大臣として、デジタル庁新設などの政策の指揮を執っています。

山田 啓二  開放型自治
 山田さんは、現在、京都産業大学法学部教授・学長補佐を務められています。自治官僚から、2002年、京都府知事に就任し、4期務められるとともに、2011年からは全国知事会会長を4期務められた後、現在は京都産業大学において後進の育成に携わられています。

○パネルディスカッション「コロナと闘う行政 〜国と地方の役割分担〜」
パネリスト

鈴木 英敬(三重県知事)
 鈴木さんは、経済産業省勤務の後、2011年に三重県知事に就任し、3期務められています。現職知事としては初めて育児休業を取得し、2015年にはイクメンオブザイヤー特別賞を受賞。2016年5月には伊勢志摩サミットを成功させています。

成澤 廣修(文京区長)
 成澤さんは、文京区議会議員を経て、2007年に文京区長に就任し、4期務められています。2010年、地方自治体の首長として初めて育児休業を取得し、2010年には第3回ベストマザー賞自治体部門を受賞。2017年には事業者向け契約書に性的少数者への差別禁止を明記、2020年には「パートナーシップ宣誓制度」を導入されています。

穂坂 邦夫(NPO法人地方自立政策研究所理事長)
 穂坂当学会理事長は、埼玉県職員、足立町(現志木市)職員を経て、志木市議会議長、埼玉県議会議長を歴任した後、2001年7月に志木市長に就任。地方自立計画を策定し、市町村長や教育委員会、収入役の必置規定の見直しなどを特区提案し注目を集め、1期で退任。2005年からNPO法人地方自立政策研究所理事長を務めています。

パネリスト兼コーディネーター:田中 秀明(明治大学教授)
 田中さんは、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科の専任教授です。財務省(旧大蔵省)に勤務され、予算・財政投融資・自由貿易交渉・中央省庁等改革などに携わるとともに、オーストラリア国立大学や一橋大学経済研究所で教育・研究に携わられた後、2012年から明治大学にて多くの首長・議員を輩出されています。

《第2日目・5月21日(金)》
関 治之  コロナとデジタル
 関さんは、一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事を務められている位置情報系シビックハッカーです。東日本震災時の情報ボランティア活動をきっかけに、住民コミュニティとテクノロジーの力による地域課題の解決に可能性を感じ、2013年に一般社団法人コード・フォー・ジャパンを設立されています。

浅野 大介  リモートデジタルへの挑戦
 浅野さんは、現在、経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長を務められています。2016年7月からサービス政策と産業保安政策の部局再編を担当し、教育産業室の発足を企画。「GIGAスクール構想」や「未来の教室」の立案に携わられています。

戸ヶ崎 勤  withコロナ時代の教育改革
 戸ヶ崎さんは、現在、戸田市教育委員会教育長を務められている教育者です。蕨市立第二中学校を振り出しに、埼玉県教育委員会勤務などを経て、2012年に戸田市立笹目中学校校長、2015年から現職にて、非認知能力の育成に向けたアクティブ・ラーニングやICTを活用した教育活動の研究に取り組まれています。

小林 慶一郎  コロナ危機と政策対応
 小林さんは、現在、慶應義塾大学経済学部教授を務められている経済学者です。経済産業省(旧通商産業省)に勤務され、経済産業研究所上席研究員などを務められた後、2010年から一橋大学経済研究所教授、2013年から現職の他、東京財団政策研究所研究主幹、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の委員などを務められています。

金井 利之  一極集中は解消できるか
 金井さんは、当学会の理事であると共に東京大学大学院法学政治学研究科の教授です。専門分野は都市行政学で、関心分野は自治制度、自治体行政、法務管理、財務管理、人事管理、自治体・住民関係、オランダ行政全般等。2019年に『自治体議会の取扱説明書』(第一法規)を出版するなど著書多数。
******************************************************************
3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
******************************************************************
いつ寝ているのか? 長引くコロナ対策が蝕む職員の健康

首都圏の緊急事態宣言は解除されましたが、昨年4月7日の緊急事態宣言からまもなく1年が経とうとしています。
全国民へのワクチン接種という未踏の大プロジェクトが待ち構える中、国も自治体も担当部署の職員は寝る間もなく忙殺されているのですが、最大で400時間近い残業が行われているという実態が明らかになりました。
1ヶ月が30日とすると720時間しかないわけで、ここから週40時間を4週間分で160時間を引くと560時間です。400時間を引いた160時間を30日で割ると1日あたり5.3時間しかありません。つまり、5時間の中で通勤と食事と入浴などの生活をして睡眠を取らなければならないのです。
おそらくほぼ住み込みの状態だろうと思われますし、財務省の地下には「ホテルオークラ」と呼ばれる仮眠室もあるようですが、このレベルになると、映画『シン・ゴジラ』のように椅子を並べたり机に突っ伏して「寝落ち」しているのではないかと思われます。
20代のキャリア官僚の自己都合退職が6年で4倍になったという記事もありますし、国家公務員総合職の合格者に東大生が占める割合も年々減少していることからも、有為な人材確保の面でも公務員の働き方改革は待ったなしです。

★河野氏絶句、官僚も異動恐れるコロナ室 月378時間残業の現実
2021年3月10日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210310/k00/00m/010/132000c

★コロナ対策室職員、1月「時間外」平均124時間 最長は391時間、テレワーク実施ゼロ
2021年3月5日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE0546Q0V00C21A3000000/

★内閣コロナ室、残業改善へ 担当相指示 首相「業務集中を回避」、在宅勤務導入も
2021年3月9日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20210309/ddm/005/040/091000c

★コロナで激務に 〜霞が関の官僚にいま何が〜
2020年12月10日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201210/k10012756281000.html

★20代総合職の3割が「過労死ライン」超え
「テレワーク7割」どころか、紙業務・サービス残業が横行の霞が関官僚 「与野党合意」で民間企業の模範となれるか?
2021年02月10日 ITmedia

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2102/10/news017.html

★茨城県の新型コロナ担当課、残業時間が2倍に 昨年4〜12月
2021年3月17日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/210317/plt2103170053-n1.html

★コロナで残業、計1000時間超えの県職員が36人…今年1月までの10か月間
2021年3月11日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210310-OYT1T50204/

★「財研」記者日記 庁舎地下のホテル「オークラ」 予算編成山場、増す切迫感 財務官僚仮眠、また業務へ
2020年12月8日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20201208/ddm/008/020/098000c

★霞が関、崩壊への危機感 職場を愛した元官僚が語る現実
2021年1月29日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASP1T2PDQP1PULFA01D.html

★若手の志を枯れさせてはならない 官僚の働き方見直しを
2021年2月20日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASP2M6J69P29UTFK01X.html

★この春、霞が関やめました
2019年4月19日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/special/kasumigaseki/article/article_190419.html

★国家公務員に残業代「適切」支給 河野氏が1月に要請
2021年2月18日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE182SP0Y1A210C2000000/

★種類豊富な、霞が関の残業飯(写真でみる永田町)
2019年11月29日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52717110Y9A121C1PE8000/

******************************************************************
4.イベント情報
******************************************************************
第13回 2021年度日本自治創造学会研究大会が開催されます

[大会テーマ]
変革は地方から
〜コロナを超える地方の知恵〜

日時:2021年5月20日(木)・21日(金)

 ※新型コロナウイルスの感染拡大等の事情によりオンライン開催に変更となる場合がございます。

場  所:帝京平成大学 冲永記念ホール
    (東京都豊島区東池袋2−51−4)

▼お申込み・プログラム等の詳細はこちら▼
 http://jsozo.org/

お問い合わせ・事務局TEL03−5846−9227

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

--