< 2021/1/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第61号 ■■
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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.リレートーク
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.ニュース/情報ピックアップ
3.イベント情報
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1.リレートーク
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立ち止まって考える
〜戦時における撤退の原則〜
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
コロナ対策における優先順位を誤り、後手後手にまわった政策決定の遅れから感染の拡大を呼び、菅総理の支持率が続落しています。コロナにより疲弊した地方の経済再生を目指したトラベル推進事業や飲食店の救済を目的としたイート事業の使い方と緊急事態法の発令の遅れです。
朝のテレビ番組は、失敗の傷口に塩を塗るように連日に渡って内閣の失政を問題視する方向へと世論をリードしています。国民感情に迎合しなければ視聴率が得られないのかも知れませんが、何もかも「誤りだった」と報道する姿勢に少しの違和感を持つのは私だけでしょうか。トラベルやイート事業の政策は全て誤ったものではありません。事業の決定時を思い起こして下さい。当時の議論は優先順位などの議論はなく、委託先の決定に多くの批判が寄せられていました。テレビのコメンテーターの方々も同様です。しかし、今ではこれらをすっかり忘れ、この事業に凄まじい批判を浴びせています。
トラベル推進事業やイート事業はコロナ感染の抑制とは正反対の施策であり、実施した当時はコロナの感染がやや下火になったとは言え、まだ燃え続けている火災にガソリンをまくような施策であるため事業の撤退が遅きに失したことに批判があるのは当然ですが、誰もが今のようなコロナ感染の拡大を予想しなかったことも事実です。
しかし、多くのマスコミは批判するだけで、当時を振り返ると共に何故こんな事が起こってしまったのかを分析し、原因を見つけ、これからの反省材料にしようとする姿勢はどこにも見えてきません。とても残念です。
この主要な原因は以前にもふれましたが「前例に従って行動する官僚の体質は戦時の政策立案には不向き」であることを見事に物語っています。決して官僚が悪いのではなく、戦時への対応を経験した事がないからです。
コロナという敵の正体を確認しないまま、勝手な推測で感染の動向を無視する官僚の政策決定は、政策の優先順位を「経済再生」に絞ってしまったのです。確かに詳細な指示や背景の説明なしに「コロナ感染の抑制と経済の再生」を指示された官僚は未知であるコロナの正体をつきとめることは諦め命じられたままに事の本質を離れた膨大な説明資料をつけてトラベル等の政策を提案されたのでしょう。本来ならば戦時のため状況によっては施策の撤退すべき時期を明確にすべきでしたが、何ひとつ触れていません。平時ではそのように訓練されているからです。
コロナの感染状況をあらゆる角度から精査し、諸外国の事例などを現実的に捉え、戦時における基本原則を思い起こしたとすれば、政策の優先順位や撤退時期を明示しないなどの誤りは避けることが出来たはずです。
これらの施策の失敗を生かすためには政策の決定にあたって第1に施策の立案時に、既に実行している諸外国におけるロックダウン後の状況などを見定めることでした。コロナの感染の進化は誰にも分かりません。しかし欧米の状況を振り返るとコロナ対策がいかに困難であり、例え抑制をしたとしても、再発・拡大することは一目瞭然です。第2に政策の実施にあたっては国と地方の役割分担を明確にすること。
第3に実施するにあたって法令上における齟齬があるか、整備する必要があるかないかを点検し、事前に解決しておくこと。第4に日本の医療機関におけるコロナ対応や対策における実態をよく把握して、感染拡大にどこまで耐えられるかを見定めること。日本は病床数が欧米に比較し、多いと言われていますが、公的医療機関が少なく、コロナ感染に対応できない私立の医院が多い日本の特殊性を考慮したうえで、コロナの抑制と経済の再生(トラベル推進事業の実施)を考える「普通の感覚」での政策順位決定が求められるからです。第5に感染の拡大状況によって「中止」の条件や時期を明確にすることでした。戦時には確かな政策であっても、向かってくるコロナという敵の状況によって作戦の変更を余儀なくされるからです。
敵の正体も見極めず、迎えうつ我が方の実態や現状もわからないままに闘いを挑んでも勝てるわけがありません。多くの人達、例えば私のように中小企業の単なる経営者であっても勝負に勝つための最低の方策は心得ています。官僚は平時には強くても戦時には不向きです。経済戦争すらも知らない多くの国のリーダーは官僚の体質を再度認識し、一般国民の感覚を取り入れることが欠かさない条件であることを理解しなければなりません。戦時には、複雑で長文の美しい文章の提案よりも「本質をとらえた普通の視点」で考えることがいかに大切であるかは過去の戦争史でも明らかにされています。
政府はオリンピックの開催も含め、もう一度「コロナ対策のシナリオ」を再構築する必要があります。今からでも遅くありません。未知の敵に対して、いち早く間違いに気付き、戦略を見直し、大胆に政策変更をすることが望まれます。
「立ち止まって、市民の視点に戻る」ことがコロナ感染から国民を守る生きた施策に直結します。
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2.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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空前のワクチン接種大作戦 前例もなく課題山積
新型コロナウイルスのワクチン接種に向け、国も自治体も対策を加速させています。
超低温が要求されるワクチンの輸送や保管、医師や会場の確保、接種記録の管理など、過去に例のない大掛かりな作戦にまだまだ課題が山積している状況で、今後も目が離せません。
★新型コロナ ワクチン接種総力戦 超低温庫、小分け、システム構築
2021年1月23日 産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/210123/plt2101230012-n1.html
★<独自>自治体間の情報連携システム構築へ ワクチン接種で政府
2021年1月24日 産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/210124/plt2101240015-n1.html
★接種時の医師確保、8割が懸念 都道府県庁所在地の自治体調査
2021年1月23日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81686?rct=national
★ワクチン接種記録、マイナンバーとひも付け管理…政府が仕組み検討
2021年1月21日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210121-OYT1T50242/
★ワクチン担当「抜てき」河野氏、滑り出し前途多難…試される調整力
2021年1月24日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210124-OYT1T50076/
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3.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
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