< 2020/12/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第60号
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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭寸言
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
千田 早苗(非営利活動法人チダラボ理事長、早稲田大学社会安全政策研究所嘱託研究員)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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「直言」
“地方の小さい声を大切にしたい”
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
新型コロナの感染が増加し続けている。ようやく政府は重い腰を上げ、トラベル推進事業を1月11日までの一時停止を決断したが遅きに失したと言われている。当然かも知れない。
その一方で私はある種の危惧感をもっている。過疎を含む地方の経済を支えてきた中心に宿泊業や関連事業体があったが、今や長引くコロナ感染の影響によって倒産の危機さえささやかれている。トラベル推進事業は彼等にとって命綱であり強く継続を望んでいたと思われる。しかしその声は極めて小さく、私達の耳に入ってこない。形成する地方自治体も声を出さない。
大都市に比較し、過疎を含む地方経済の基盤は極めて脆弱で医療環境も悪い中で、小規模事業者は生きることに必死に頑張っている。しかし国民の多数を形成する大都市の声が政策の動向を左右するのは民主主義に違いないが、少数であっても地方が渇望する政策については厳しい批判があっても声を上げる必要がある。小さい声を大切にするのも民主主義と言えるからだ。
この際、彼等に代わって自治体、特に地方議会が先頭に立って「地方から見た政策の是非」を訴え、積極的に発言をすることを心から願っている。
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2.リレートーク
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「公務員の底力を信じ、手を広げてつながっていくことの重要性について」
千田 早苗
(非営利活動法人チダラボ理事長、早稲田大学社会安全政策研究所嘱託研究員)
当職は,平成26年度頃から仙台地方検察庁及び最高検察庁において,検察の刑事政策的取組に関する各種施策(入口支援・被害者支援・児童虐待対応)に携わりました。被災地仙台で試行を始めた当初は,同取組は復興支援の一翼となるべく意義があると大いに気負ったものでした。当時,被災地では虐待やDV等の家庭内の問題に関する事案が大きく顕在化したように感じました。これらは加害者と被害者の関係性が非常に密接であり,結果が本人たちの家庭生活やその後の人生にも深く影響するため,捜査機関による刑事政策的取組として支援できることには限度があると早々に悟ったのも事実でした。双方の円滑な社会復帰には地域社会の支援が必要であり,刑事司法と地方自治体の各担当や医療機関,福祉支援団体等の社会資源との多機関連携が重要となることを試行の中でつくづく思い知りました。このような中,再犯の防止等の推進に関する法律が平成28年12月4日に施行となり,現在,全国の自治体では再犯防止推進計画が進められていますが,その大きな流れを見ることができたのは当職にとって貴重な経験となりました。
中でも,特に社会的耳目を賑わせる児童虐待事案では,関係省庁が協働に関する通知を発出するなど全国的に多機関連携が進んでいますが,現場では地域の自治体や児童相談所が相談窓口となって対応に当たっているところ,多くの関係者から「児童虐待をなくしたい」との切実な声を聞きます。
当職は全国47都道府県の5500人を超える地方公務員・国家公務員等が参加している「よんなな会」において,社会的弱者への福祉支援や子供・家庭の支援の在り方について,各地の現場から意見を伺うという機会をいただいています。前記会では,家族支援や障害,高齢,教育関連,子育て関連を含む種々の分野で,公務員が各自治体における実情や課題を共有し,スキルを伝達するしくみが「オンライン市役所」という形で結実しており,前記会が公務員の能力の底上げに一役買っていることは間違いないように思われます。
このようなつながりの中から,児童虐待予防を目指す母親支援の取組みである「UBA」システム(前記会所属:平塚市役所堤園子氏主宰)が立ち上がり,神奈川県内の児童相談所等が協力するとともに,大学や大企業有志による機器開発等も並行して進んでいるところ,当NPO法人チダラボも学術領域における提携を始めました。縦割り組織の公務員が日本を横割りにしてさまざまな機関と手をつなぎ,日本の未来を考えて日々進んでいけることは渦中にいても心強く,また嬉しい限りです。
よんなな会発起人である脇雅昭氏(総務省官僚・現神奈川県庁)の「日本の公務員338万人の志と能力が1%上がったら世の中は必ず良くなる」との言葉に勇気をいただき,安心安全な社会作りのために,自治体や国の現場が必要な仕組みづくりを実装し,今後も全国の仲間と力を合わせていきたいと思っています。
千田 早苗:法務省 法務総合研究所 主任研究調査官
早稲田大学社会安全政策研究所において再犯防止に関する刑事政策等の研究に携わり,令和元年,NPO法人チダラボを立ち上げ,社会的弱者等への各種支援や調査研究を実施。前記「よんなな会」では,公務員のメンタルヘルス向上に関する活動を行う「オンライン市役所保健室」を主催し,全国公務員の支援に尽力している。
【参考リンク】
・NPO法人チダラボ https://www.facebook.com/chidalabo
連絡先 chida.labo@gmail.com
・「親を孤立させない令和の乳母制度『UBA』-虐待のない未来へ-」
https://1drv.ms/b/s!AkCmK1F2levWgp0ImPsLWLTCHaiFfQ?e=TQAeuN
連絡先 mirai.keiken@gmail.com
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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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コロナ「第3波」襲来! この年末年始で危機を乗り切れるのか?
12月12日に全国で3000人を超える陽性者が出るなど、いよいよ「第3波」が本格的に襲来しました。
11月25日にこれからが「勝負の3週間」だと宣言されましたが、終わってみると確かに「勝負」のタイミングだったと言えるでしょう。結果は惨敗ではありますが。
政府は年末年始のGoToトラベルの全国一律の事業停止を決定し、また、首都圏の1都3県は大晦日の鉄道事業者の終夜運転の中止を要請しました。
菅総理がステーキ店で会食をしたことを批判されたことで自民党内の忘年会が次々中止になっており、世の中のムードとしては忘年会、新年会を開ける雰囲気ではなくなっています。年末年始の帰省も憚られることになるでしょう。
そんなわけで、この年末年始は過去に経験したことのないステイホームな年越しになりそうですが、家族水入らずでゆったり「寝正月」も悪くないかもしれません。
★「全国的な感染拡大懸念」 厚労省のコロナ対策助言組織
2020年12月16日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG16A9A0W0A211C2000000
★「勝負の3週間」で感染者25%増、地方に拡大…歌舞伎町・栄・博多の人出は減らず
2020年12月16日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201216-OYT1T50309/
★「勝負」と言われても 3週間、広がらなかった危機感
2020年12月17日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASNDJ6W09NDJULBJ01C.html
★コロナ、地方でも拡大 助言委分析、3週間「評価できず」
2020年12月17日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201217/ddm/012/040/111000c
★<新型コロナ>「勝負の3週間」は「敗北」 感染拡大、重症者も増加 政府の対策曲がり角
2020年12月17日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/74739?rct=national
★東京、愛知、北海道、大阪…全国の駅や繁華街、6割で人出増 前週比、外出抑制浸透せず
2020年12月13日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/74139?rct=economics
★地方の忘年会・パーティーでクラスター多発…助言機関「最多水準続く」
2020年12月17日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201216-OYT1T50327/
★首相、GoTo再開「状況みて判断」 一時停止巡り陳謝
2020年12月17日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE16BT30W0A211C2000000
★トラベル再開「その時の状況をみて判断」 加藤官房長官
2020年12月15日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASNDH45T2NDHUTFK00H.html
★首都圏の鉄道6社「大みそかの終夜運転中止」を…1都3県知事が要請
2020年12月16日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201216-OYT1T50307/
★自民、夜会合を続々中止 大人数会食批判を考慮か
2020年12月16日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020121601057&g=pol
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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
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