< 2020/11/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第59号 ■■
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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭寸言
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
青木 信之(全国都道府県議会議長会事務総長、元消防庁長官)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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「直言」
“コロナ感染対策と市町村”
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
コロナ感染症対策は国や県だけの対策ではありません。各市町村もこの対策に積極的に関与する必要があります。コロナによる感染は全国的な規模であると同時に地域によって感染度が一律ではなく、その被害の規模や範囲も大きく異なるという特徴があります。その特徴は国・都道府県・市町村の役割分担の必要性を明確に表わしています。
そのため、行政も地方議会も果たすべき様々な役割があります。第1は地域内における感染状況の把握(人員や増減・重篤患者数の把握など)です。第2は地域内における市民生活や経済環境の悪化などの実態調査、第3は国の様々な施策(GoToトラベルやイートなど)に対する意見の集約、第4は状況の把握によって、地域で出来る様々な施策の検討と予算化の限界調査など様々な役割を果たさなければなりません。地方議会においても対策委員会等を設置し、議会としての協議を行い、国や住民に向かって提案をする必要があります。
地域内で出来ることは積極的に取組み、国に対しても様々な提言や運動を展開していくことによって、「住民を守る」という基礎的自治体最大の使命を果たすことになります。国の施策を傍観するのではなく、積極的に働きかけることが重要です。コロナ感染対策は分権にとって絶好の機会であり、様々な施策について国と地方の役割分担を明確にして、地方の役割を住民はもとより有識者、マスコミに衆知することによって「地方の重要性」と共に「役割分担の明確化」に十分資することになるでしょう。この作業は地方議員単独(一人)であっても十分に取組むことが出来ます。一人でも多くの地方議員がこの作業に取組んでくれることを期待しています。
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2.リレートーク
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「台風シーズンが終わって」
青木 信之(全国都道府県議会議長会事務総長、元消防庁長官)
11月も半ば過ぎ、北国に雪が降りだす頃になると、6月までは豪雨災害が起きることはないと思い、少しほっとする。
信じられないような規模の豪雨災害が毎年のように起きている。令和2年7月豪雨では、熊本県の球磨川が未明に氾濫するなどにより、熊本県内で死者行方不明者67名となる大災害となった。令和元年10月には、台風15号に続き19号が来襲。阿武隈川、千曲川などが決壊・氾濫し、福島県、宮城県、長野県などに大きな被害をもたらした。平成30年7月豪雨では、西日本を中心に線状降水帯が数多く発生し、広域にわたり被害をもたらした。土砂災害、浸水被害により、死者・行方不明者は119名に及ぶ。広島県での土砂崩れ、岡山県倉敷市真備町地区の浸水の映像を記憶されている方も多いと思う。なくなった方々、被災された方々のことを思うと胸が痛む。
地震と違い、豪雨災害の場合、事前に安全な場所に避難することにより、命を守ることは可能である。それだけに、尊い命が失われるのはつらい。避難勧告や避難指示が遅かったのではないか、行政側の悩みは絶えない。そもそも、避難を促す避難勧告、避難指示といった言葉がわかりにくい、仕組みを見直そうといった取組も、大きな被害が起きるたびになされており、現在も、次期通常国会に向け見直しの議論が進められている。
住民の命を守ることは、行政の最も重要な使命である。しかし、首に縄をつけて避難させることはできない。それどころか、市町村職員が避難を促すため各家庭を訪問して声をかけることもできないし、ある地域に住んでいるAさんには早めの避難を、Bさんには無理に避難しなくてもいいといった個別の指示を事細かにするのも困難である。災害時は、行政も職員総出でも人手が足りない。
そこで、おおまかに地域ごとに避難勧告や避難指示の発令を行い、学校等の避難施設への避難を促すわけであるが、そもそも都市部では、地域全員の人が避難すれば避難施設はすぐ満員になる。令和元年の台風19号の被害があった際、東京都の東南部の地域では、区を超えた長距離避難が検討された。しかし車では避難できないし、電車は動かなくなることを想定しなければならない。長距離避難が危険な場合もある。コロナ禍の現状では、多くの人が集まることにもリスクが伴う。
では、どうするか。マイ避難マニュアルを作ることである。豪雨災害が大規模化しているが、地域のハザードマップをみれば、浸水の程度が想定できる。5メートルまでの浸水なら、マンションの3階より上にいれば安全である。そういうところに住んでいるなら、避難所への避難を選ばず、水道・電気が止まることを前提に、籠城に備える準備をすることもひとつの方法である。トイレが使えなくなることも想定しなければならないが。平屋の木造家屋に住んでいる人は、避難が必要だが、マンションの3階より上に住んでいる親戚、友人宅をマイ避難所にする方法もある。むしろ、そういう人間関係が重要である。
まずは、自分が住んでいる場所の危険度をハザードマップで確認し、避難する必要があるなら、避難場所まで歩いてみることである。アンダーパスがあれば、浸水時は通れない。子供連れで危険な場所はないかどうかの確認も重要である。
その上で気にかけなければいけないことは、自力では避難できない要支援者のことである。要支援者を誰が手助けいかに避難させるか、個々の要支援者ごとの避難計画が必要となる。こうした計画が作られている地域も多いが、相当の地域力が求められる。まずは、地域の皆で話し合っていただきたい。次の豪雨が来る前に。
青木 信之(あおきのぶゆき)全国都道府県議会議長会事務総長、元消防庁長官
昭和57年、東京大学法学部卒業後、自治省(現総務省)入省。その後、霞が関においては、主に総務省自治財政局、自治税務局に勤務。地方では長崎県庁、大分県庁、埼玉県庁に勤務。平成14年から15年まで埼玉県副知事。平成27年総務省自治税務局長、平成28年消防庁長官、平成29年退官。令和2年7月から全国都道府県議会議長会事務総長。
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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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コロナ「第3波」は冬の日本列島を席巻するのか?
先の「第2波」を上回るペースで感染者の増加、そして重症者の増加が続いているコロナ「第3波」。
多くの飲食店がわずかな希望を託してきた忘年会と新年会はどうやらかなり難しくなってきました。
一方で明るい話題としては、同時流行が危惧されていたインフルエンザは今のところ大幅に患者数が少ない模様。
マスクの着用や手洗いの励行などの効果なのかもしれませんが、毎年「仕方ない」と思われていたインフルエンザの流行を抑えることができた成功体験につなぐことができれば、もしかするとコロナの「レガシー」を残すことができるかもしれません。
★コロナ「第3波」医療逼迫も 感染ペース第2波並み
2020年11月12日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66159290S0A111C2EA2000/
★コロナ重症者「第2波」超す 全国、2週間で1.7倍
2020年11月18日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66393130Y0A111C2EA2000/
★忘・新年会 9割「開かない」 6割「参加したくない」 飲食店に倒産連鎖の懸念
2020年11月20日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201120/k00/00m/040/208000c
★インフルエンザ患者数 例年より大幅に少ない状態続く
2020年11月20日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201120/k10012723711000.html
コロナとインフル同時流行時の検査 1日最大54万件確保の見込み
2020年11月12日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201112/k10012707031000.html
★「まずは知事が判断」 GoTo見直し現場まかせの政府 募る知事の不安と批判
2020年11月22日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201122/k00/00m/040/217000c
★札幌・大阪GoTo除外、来月15日まで 一部予約済み分も—解約負担なし
2020年11月24日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020112400862&g=eco
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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
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