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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第58号

< 2020/10/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第58号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  松尾 崇(鎌倉市長)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
  会員限定・オンラインセミナー開催中
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1.巻頭寸言

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「コロナ災禍対策と地方議会の存在意義」

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 コロナ災禍対策については都道府県レベルの首長から様々な対応策が発信されていますが、地方議会の動きがいまひとつ伝わってこない。とても気がかりです。
 地方議会は議決機能だけでなく政策立案機能を持っていることは申し上げるまでもありません。住民の声をしっかりと受け止め、国・都道府県・市町村の役割分担に応じて様々な住民の意見を集約し、あらゆる手段を使って、政策の実現を図る必要があります。
 特に市町村は個別的地域環境を持ち、コロナ被害も様々でやるべき課題も山積しています。国の各種GoTo事業についても、地域環境に応じて様々な付加的処置が必要です。
 新型コロナの災禍は一朝一夕に解決できるものではありません。地方議会はこの際、会派、党派を超えて住民に対する徹底したアンケート調査を行ったらいかがでしょうか。その結果を基に住民を守る多様な政策を立案して下さい。地方議会の存在意義を住民に発揮する絶好の機会となるでしょう。

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2.リレートーク

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「コロナ禍の体制づくり」

 松尾 崇(鎌倉市長)

 9月の4連休、鎌倉駅周辺は多くの人で賑わいました。しかし、国の緊急事態宣言が発出された時期(4月〜5月当時)の鎌倉は、今まで見たことのないほど閑散とした状況でした。パンデミック、クラスター、オーバーシュートなど、聞きなれない言葉がメディアで報道される中、特に高齢化が進む本市においては、市内での感染拡大を危惧する市民の不安も高まり、市、観光協会、商工会議所がともに、今は来訪を自粛してくださいとの発信を行うという苦渋の決断をしました。飲食店や観光事業主の方々もこのような状況を受け、自主的に営業を自粛するなど、市民・事業者・行政、各々ができることに取組むことで、感染拡大を食い止めようという体制が次第に整っていき ました。

 市では、感染症拡大を防止するための施策等を状況に応じ迅速に実施するため、私を中心とし、副市長、部長からなる「新型コロナウイルス対策本部会議」を設置しました。この会議は、コロナウイルス感染拡大防止に関するあらゆる事案の全庁横断的な調整及び、意思決定を行う会議と位置づけました。また、若手職員(10名程度)によるプロジェクトチーム「新型コロナ対応専用チーム」を設け、会議で決定した対策や感染症拡大防止に必要な施策等の立案とともに、経済・福祉など各分野からの要望(地域のニーズ)を受け、担当部署の施策立案を 支援する体制を整えました。

 これまでの取組みとして、感染拡大期に第1弾(4月〜6月)として、「市民のいのちと暮らし」、「経済」、「こどもの未来」をまもる、の3つを柱に、感染や地域経済など、本市を取り巻く状況を踏まえ、必要な 25の施策に取組みました。

 具体的には、市民の不安を解消するために新型コロナウイルスのワンストップ窓口の設置や高齢者を対象とした健康相談窓口の開設、市内での感染拡大を防止するために観光などによる本市への訪問の自粛の呼びかけ、福祉施設等へ次亜塩素酸ナトリウム溶液の配布、また、 国の施策に先立ち、外出自粛により経営に苦しむ市内の中小企業を支援するための中小企業家賃支援給付金の創設などを行いました。さらに、これらの財源として「鎌倉市みんなで支え合う新型コロナウイルス感染症対策基金」の創設を行い、ガバメント・クラウドファンディングなどにより、財源の確保にも取組みました。

 感染拡大防止と地域経済の回復が求められた夏からは、第2弾として、コロナ禍における複合災害対策、健康不安やフレイル対策、新たな生活様式への対応、市内経済の活性化などに取り組んでいます。

 特に長引くコロナ禍への対応として、感染予防により面会等が制限されている福祉施設や病床のある医療施設等を中心に、入居者等が家族とオンラインで面談が出来る環境づくりへの支援、市への相談業務のオンライン化に加え、GIGAスクール構想の、タブレット導入計画を前倒しするなど、 積極的に取組んでいます。

 また、国の特別定額給付金の対象とならなかった、新生児とおなかの中の赤ちゃんのための特別給付金を創設し、国の基準日の翌日以降に生まれた赤ちゃんや新しい命を宿した方に一人10万円の給付金の支給、全市民に5,000円の電子商品券配布(12月実施予定)など、地域経済と地域活力の回復、子育て応援にも取組んでいます。

 これからも暫く、私たちはこの環境下で生活していかなければなりません。油断することなく、しかし、おそれすぎることもなく、感染症を正しく理解し、withコロナの新しい生活様式を受け入れていくことが必要です。市民のいのち・暮しを守るため、これからも市役所一丸となり、総力を挙げてコロナ禍に立ち向かっていく所存です。

松尾 崇(まつおたかし)鎌倉市長

平成8年に日本大学経済学部卒業後、日本通運株式会社に入社し、平成11年に退社。平成13年に鎌倉市議会議員に初当選し、平成17年に鎌倉市議会議員に再選。平成19年に神奈川県議会議員に初当選。平成21年11月に第21代鎌倉市長に就任。現在に至る。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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 脱ハンコは行政デジタル化の一里塚になるか?

 菅新内閣発足後1ヶ月が過ぎました。
連日のように報じられているのは、「デジタル庁」設立関連のニュースと河野行革担当相が繰り出す矢継ぎ早の改革に関するニュースです。特に、「脱ハンコ」は誰にもイメージしやすいせいか、対官僚、対「はんこ議連」などわかりやすい敵役との対立が、大喜利ネタまで交えたおもしろコンテンツとして人気となっています。

 さて、脱ハンコと聞くと「役所に出す書類にハンコを押す必要がなくなる」ということがイメージされますが、実のところの狙いは「ハンコをなくすこと」ではなく、「ハンコを押す書類をなくすこと」の方だと考えられます。つまり、対住民の手続においては「オンライン申請」、役所内部の手続では「電子決裁(ペーパーレス化)」こそが脱ハンコの狙いなのです。ハンコを押す必要がなくなっただけでこれまで通りに役所の窓口に書類を出さなければいけないのであれば、便利になるのはハンコを押し忘れたときくらいですからね。

 考えてみれば、昔は銀行振込をしようと思えば窓口に並ぶかATMで手続きする必要がありましたが、今はネットバンキングで済んでしまいます。自動車保険の契約更新も、昔は営業の人と待ち合わせたり書類を郵送したりしていましたが、今はネットで簡単に更新可能です。この便利さを一度体験してしまったら、もうネットがない世界には戻れません。

 役所の手続も、窓口に行くことが当たり前だと思っているから「脱ハンコ」のメリットを実感しづらいかもしれませんが、一度でもオンライン申請の便利さを体験してしまえば、「何でわざわざ窓口に行かなければならないのか」ということが大きな不満になり、様々な手続きのオンライン化が一気に進むものと思われます。

「鶏が先か卵が先か」の話ではありますが、こうした環境が整えば、「マイナンバーカードを持たないことのデメリット」が実感されるのかもしれません。

★菅首相「肝煎り」3閣僚、グイグイ動いた1カ月
2020年10月17日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/201017/plt2010170020-n1.html

★行政手続きのハンコ、99%廃止へ 閣議請議の押印も
2020年10月16日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65079520W0A011C2EA3000/

★河野行革相、はんこ廃止“反抗”の二階氏を皮肉る「“座布団1枚”という感じ」
2020年10月10日 スポニチ

https://www.sponichi.co.jp/society/news/2020/10/10/kiji/20201009s00042000553000c.html

★はんこ行政廃止に理解要請 河野氏、業界幹部と面会
2020年9月28日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/200928/plt2009280017-n1.html

★主要自治体の8割、はんこ廃止へ 住民負担と感染リスクの軽減狙う
2020年10月10日 共同通信

https://this.kiji.is/687408015980004449

★ハンコ必要性、820件中35件が「存続」 各省庁が回答
2020年10月1日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/201001/plt2010010015-n1.html

★政府の「脱ハンコ」加速 年末調整や確定申告も廃止検討
2020年10月5日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASNB465HJNB4ULFA00C.html

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4.イベント情報

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≪会員限定・オンラインセミナー開催中≫

当学会では初めて「コロナ時代と地方の役割」をメインテーマに会員限定・オンラインセミナーを開催中です。
会員入会ご希望の方は、ホームページの入会申込みフォームよりお手続き下さい。折り返し、オンラインセミナーをご視聴いただけるURLをご案内いたします。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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