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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第52号

< 2020/4/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第52号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.リレートーク
2.ニュース/情報ピックアップ
3.イベント情報
   日本自治創造学会 第12回研究大会開催延期について

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1.リレートーク

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「地方自身が新型コロナウイルスに立向かう」

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの国民が明日への不安を増大させています。一方では、生活を支える企業活動が停滞し、未曾有の経済危機を招いています。
 これらの状況を乗り越えるため、政府は緊急事態宣言を発出し、他人との接触を80%削減するよう国民に要請するなど、戦後最大の危機が我が国に到来しています。
 御承知の通り、緊急事態宣言は法令に基づく国の要請ですが実施主体は地方自治体です。本来は地方の知恵と工夫に託されることになるのですが政策の整合性を目的に、地方の具体的な活動には、国と協議するよう法令に盛り込んでいます。諸外国と比較し、分権が未成熟であり、やむを得ないことですが東京都と国の意見の相違を生み出し、国と実施主体との政策の不一致が浮き彫りになり、大切な時間をムダにしてしまう結果を生んでいます。これらの問題は事務・事業の役割分担が明確でないところから起因していますが、今後の解決すべき大きな課題として後日様々な角度から検証しなければなりません。

<コロナ対策の大転換>

 現在の我が国のコロナ感染状況はボヤから大火へと移行中で、当面は国と地方が一体となってこの難局に挑まなければならない状況にあります。政府はもとより地方に課せられた責任は重大です。なかでも急務と考える第一の課題はウイルスに感染した軽症者の入院先や医療従事者を守る防護服の確保など後方支援体制の強化や整備が必要ですが、検査体制の大転換です。水際作戦と共に医療崩壊を懸念する必要性から、現行の検査体制は海外からの帰国者やクラスターの拡大防止を中心に、発症者や濃厚接触者に検査対象者をしぼったPCR検査を中心に行ってきましたがこの方針を大きく転換し、検査対象を拡大する方式に変える必要があります。そうしなければ拡散する感染者を止めることは不可能であるからです。現場を知る有志のドクターからの提案もあります。ボヤが燃え上がり大火災となりかねない現状から、国と地方が連携し直ちに実行すべき重要な課題であり一刻の猶予もありません。

<国の補償責任>

 第二は接触制限などの効果や感染防止3原則を守るために必要な飲食業界等への休業や時短の要請に対する補償の問題です。東京都は様々な業界に対する要請の補償として要請協力金を支給することになっていますが、財源が少ない他の自治体とは足並みがそろわず、不協和音が聞こえています。事業者への補償は本来国が行うべきですが、不公平感があることや莫大な財源を要する事から、後ろ向きと言われています。感染拡大を阻止する大きな目的を達成するためには、中小事業者に対する家賃支払いの猶予処置や助成など、国の思い切った施策の断行が求められています。そうでなければ拡大阻止目的はもとより、小規模事業者の倒産を防ぐことは出来ません。国家間では異なる様々な習慣や法制度がありますが、ドイツ、フランス、イタリアなどの欧州ではすでに幅広く実施されています。

<地方から国への提言>

 第三はコロナの感染防止対策の基本方針は医療技官と言われる官僚がつくっています。官僚特有の欠点は、手間のかかる新法よりも現行法制のもとに計画をつくり、失敗を回避する安全策にこだわると共に、環境が変化しても一度決めた方策を転換出来ない硬直的な体質を持っています。初期の対策と様相が変化した中期では思い切った政策の転換が必要ですが、官僚のプライドや自らの政策に固執する体質から現在も抜け出せないでいます。これらを払拭し、新たな施策を断行するためには現場の声を拾いあげ、直接大臣や官邸に届ける必要があります。そのためには実行責任者である地方自治体が政策の大転換を訴えることが不可欠です。実施する主体者であり、現場に近い地方自治体をおいて、国に意見具申出来る者はおりません。
 大火を消しとめるためには、地方自治体が力を合せ、総力をあげて国に働きかけることが急務です。知事会だけでなく市町村会、各議会を含む地方六団体が一致協力して、強い発信力を行使することが求められています。

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2.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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外出自粛はどこまで効果を出せるのか

 4月7日に7都府県に発令された緊急事態宣言が、4月16日には全国に拡大されました。
 休業補償や協力金など課題は山積していますが、「対策ゼロなら40万人死亡」というクラスター対策班の危機感を考えれば、とにかく人と人との接触を8割減らすために何ができるのかを考えなければなりません。もはや「不要不急」ではなく、「要」があっても外出しないための社会の仕組みを作り上げなければ生き残れない事態に直面しているといって過言ではありません。
 例えば、はんこは「しょせんは民・民の話」という大臣の発言が議論を呼びましたが、外出抑制策のために、緊急事態宣言発令中の特例として、押印のない契約書の有効性を認めるような政策も考えられるのではないかと思われます。

★「対策ゼロなら40万人死亡」 厚労省クラスター対策班
2020年4月15日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58067590V10C20A4CE0000/

★安倍首相、全国に緊急事態宣言 7都府県から拡大、5月6日まで
2020年4月16日 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020041601001482.html

★政府「接触8割減」に向け経済3団体に要請 緊急事態宣言1週間
2020年4月14日 産経新聞

https://www.sankei.com/politics/news/200414/plt2004140048-n1.html

★テレワークなのに…「命のリスク冒してハンコもらいに」
2020年4月9日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASN4956TTN43UTIL068.html

★「会社のハンコ」在宅勤務の壁に
2020年4月2日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57566900S0A400C2EE8000/

★はんこ出社、「しょせんは民・民の話」──物議を醸したIT担当相の発言全文
2020年04月16日 ITmedia

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2004/16/news106.html

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3.イベント情報

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≪第12回日本自治創造学会研究大会開催延期について≫

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は4月16日「緊急事態宣言」を全国に発出しました。このような状況に鑑み、本年5月31日〜6月1日、明治大学アカデミーホールにて開催を予定しておりました「第12回日本自治創造学会研究大会」は極めて残念ですが延期することに致しました。
 参加申込みを戴きました皆様をはじめ、御案内を致しました方々に誠にご迷惑をお掛けいたしましたが、何卒ご理解を賜りたくお願い申し上げます。
 尚、現時点では不確定要素が多く、延期後の開催日程は調整中でありますが、年度内を目途に開催をする予定でおりますのでご理解を賜りますよう併せてお願い申し上げます。その際には新たな講演内容を含め改めてご案内をさせて戴きます。

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2−24−301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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