地方から未来を真剣に考える。

メールニュース

メールニュース一覧

--

【 from JSLD】日本自治創造学会メールマガジン第5号

< 2016/5/15 >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第5号 ■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  金井 利之(東京大学教授・日本自治創造学会理事)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

************************************************************************

1.巻頭寸言

************************************************************************
 “第8回研究大会第一回改革発表会に学ぶ”

              穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 初の発表会は地方議員、シンクタンク、自治体職員の改革への熱意と共に、郷土
を愛する率直な気持ちが伝わり感激でした。
 地方の再生は地方自身が主役でなければ成功しません。
 次回も多数の参加を期待しています。議員力・職員力の再発見です。

************************************************************************

2.リレートーク

************************************************************************
「保育園落ちた」問題と自治体議員                  

        金井 利之(東京大学教授・日本自治創造学会理事)

現在日本は、子ども・子育て環境が厳しく、子育てと仕事の両立する社会ではない。そも
そも、子育てにはカネがかかるが、教育費を初めとして子育てに係る保護者・世帯の負担
を、日本は社会的にほとんど負担していない。唯一、公立学校での義務教育9年間は無償
であるが、実際には、給食費・教材費・部活費・服靴代・修学旅行費など、相当のカネが
かかる。ましてや、私立高校や大学に通えば尚更である。

それでも、かつての日本的終身雇用による年功賃金では、子育て世代になれば給料は増
え、何とか賄えた。しかし、今や、年功賃金は崩れ、非正規・不安定・劣悪雇用が蔓延す
る。特に若年層の雇用条件は厳しく、子育てを安定してできる収入を得られる人は多くな
い。離婚して子どもを引き取りでもすれば、それこそ、立ち行かない。

せめて、保育所を整備して待機児童をなくすことが自治体現場では進められているが、そ
れでも「保活」と言われるように厳しい。基本的には、0~5歳児の全幼児を入所できる
数がなければ、潜在的には常に不足である。

こうした問題は自治体議員も肌で感じ、努力してきただろう。勿論、頭の固い議員のなか
には、「最近の若者は甘えている」「母親が乳幼児を家庭で育てるべきだ」という人もい
ようが、こうして事態を放置した結果、問題が悪化したのである。

ということで、多くの現場感覚のある議員は問題に気付いて、「子育てのしやすいまち」
を掲げる。しかし、こうした自治体議員の声は、「保育園落ちた、ニッポン死ね!」のブ
ログの声の前にほとんど無力であった。

政権与党は「ニッポン死ね!」を最初は黙殺しようとしたが、その反発がネットで拡散す
ると、急にイソイソと対策に乗り出した。必要を感じて対策をすること自体は結構ではあ
るが、それならば、2016年度当初予算から盛り込むべきであった。

それ以上に、政権与党に連なる系列の自治体議員も多くいるにもかかわらず、自治体議員
の声には国の政権はほとんど真摯に耳を傾けないことは、自治体議員にとって死活問題で
ある。かつての自民党政権ならば、ありえなかったことである。

勿論、自治体議員が「ニッポン死ね!」などと発言したら、「暴言」として懲罰にでもな
ろうから、自治体議員としては言葉を選ぶし、その結果、インパクトはなくなるかもしれ
ない。とはいえ、住民の切実な声を現場から発するのは自治体議員である。ところが、一
部保守系議員は、かつての地方議員の声をよく聞いた自民党政権の郷愁と幻想から、いま
だに自分たちの声は国政に届いていると錯覚したままである。

保育問題に限らず、今、なぜ、自治体議員(特に与党系列)の声が国政の政権に届かないの
か、冷静に認識し、その原因を大いに検討して、対策を取ってもらいたいものである。さ
もなければ、ブログで「議員死ね!」と罵詈雑言を書かれるまでもなく、自治体議員は死
滅してしまいかねない。

************************************************************************

3.ニュース/情報ピックアップ

************************************************************************
地方自治に関する気になるニュースをピックアップします。

?保育園建設と近隣住民の理解 

足りない保育園。しかし、近隣住民の合意が得られず建設計画が挫折する例も。
この問題について2件、ご紹介します。

★?子どもの声を嫌う人?と折り合う道はあるか
ジャーナリストの安積明子さんが、都が?子どもの声?を騒音数値規制から除外したことや
ドイツの事例に触れつつ、近隣との折り合いの道を探っています。

http://toyokeizai.net/articles/-/64622?page=3

★保育園の音は「騒音」なのか? 
保育園児の声はそれほど「騒音」なのか。週刊誌「女性セブン」が保育園の近くに住む人
たちの話を取り上げています。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw2182978

?「自分ごと」としての避難所運営

4月に発生した熊本地震では、避難所の運営に必要な人的資源の不足が問題となりました。
市町村職員だけで避難所を運営するのは不可能な場合もあることを踏まえて、地域住民を
巻き込んだ避難所の開設や運営上の課題を提起しています。

★避難所手引、熊本自治体半数が未作成…1月時点

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160515-OYT1T50029.html

★災害時、避難所となる学校 運営の問題と再開の課題

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6682

************************************************************************

4.イベント情報

************************************************************************

2016年度第8回日本自治創造学会研究大会が5月12日、13日に明治大学
アカデミーホールにて開催されました。

地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで御一報
ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■このメールの受信の停止を希望される方は、
こちらからどうぞ。

http://jsozo.org/?page_id=6

--