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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第18号

< 2017/6/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第18号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  長谷川 明彦(東京都職員)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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 「直言」

           穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 地方自治の本質である住民自治は地方における政治行政を中央政府
ではなく、地方の住民(又は代理者)の意志に基づいて行うことにあり
ます。
 中央政治の一強多弱によって地方に対する中央集権的手法が強まる中、
住民自治が民主主義を担保する原点であることを、私達はもう一度思い
起こすことが重要です。

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2.リレートーク

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「自然災害と観光」

           長谷川 明彦(東京都職員)

観光とは古くは中国古典の四書五経の1 つ「易経」に「観国之光利用賓
干王(国の光を観るは、もって王に賓たるによろし)」とあります。「国
の光」は地域の優れたものを意味し、普段目にしない優れた事象を観察し
に出かけることが観光の語源といわれます。

私たち日本人が旅に出るようになったのは、古くは平安時代にまで遡りま
す。熊野詣などの参詣旅行がその原型とされ、江戸時代には伊勢参りなど
全国から人が押し寄せ、伊勢街道沿いには旅籠(はたご)や茶屋、駕籠屋
(かごや)などが建ち並び、地域経済が潤いました。この様に観光を経済
的側面から捉えると、宿泊業、飲食業、運輸業など多岐に亘り、裾野も広
く、地域に与える影響力は非常に大きいといえます。

しかし、裾野が広い分野である一方で、いずれの業種も他所の土地から
人々が訪れることで初めて商売が成り立つという点で共通項を持ちます。
また、多くが労働集約型の商店であり、地域の雇用を支えています。この
為、旅先の安全が脅かされた時、またその懸念が伝播した際、当該地域の
経済や雇用に深刻な影響を及ぼすことになります。東日本大震災後の旅行
者数や地域経済の落ち込み、人口流出は、その影響の大きさを私達に再認
識させるに十分な出来事でした。

2011年の夏、福島県災害対策本部に支援要員として勤務しておりまし
た。休暇で訪れた温泉地はどこも閑古鳥が鳴く寂しさで、震災の直接的な
被害が無くても大変厳しい状況に追い込まれていることを肌で感じまし
た。被災3県の中でも福島県が最も深刻で、6年が経過した今でも観光客
数は震災以前の水準を回復できずにいます。

2017年3月に公表した帝国データバンクの「東日本大震災関連倒産の動向
調査」によると、震災後6年間の倒産累計は1951件あり、最多はサービス
業の430件、うちホテル・旅館経営が120件と突出しているといいます。
また、同じく大手信用調査会社である東京商工リサーチも同年4月に同種
の調査結果を公表しており、企業倒産累計1795件のうち、最多は宿泊
業・飲食店などを含むサービス業他の478件あると指摘しています。

派遣中に感じたのは、災害後、いち早く直接被害調査が行われ、罹災証明
の発行、復旧工事が進められますが、観光産業の側面から被災地復興を捉
えると、その被害額も推計されず費用対効果も分からないことから、有名
な史跡や建造物の復旧事業を除き、対策が後手に回ってしまう状況にある
ということでした。結果として、観光客も離れ、被災地で働いていた就業
者も新たな職を求めて移住してしまい、一層寂れた地になるといった悪循
環を招いてしまっています。

今後起こり得る自然災害において、この様な事態を防ぐうえで、平素より
発災した場合の観光被害額推計予測や観光マーケティングの手段を確立し
ておき、官民共同の備えと災害時の迅速な対策を練っておくことが、観光
や行政に携わる者の責務ではないかと考えています。
 現在、都の仕事のほか、大学で自治体政策実践論の講座を受け持ってい
ますが、制度や政策に触れるだけではなく、社会状況を客観的に分析でき
る人材を育てることが、今の私が出来る社会貢献だと信じ、授業を進めて
います。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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~加速する「幼児教育無償化」~ 地方はどうする

幼児期の教育・保育ほか子育て支援策の充実をはかるための「子育て3
法」が成立したのが平成24年8月。以降、待機児童対策としての保育所
増設や、保育と幼児教育を統合した認定こども園の設置など、様々な取り
組みが全国各地で行われています。

こうした中で、最近、急浮上している「幼児教育の無償化」。
子育て3法の可決に際して「幼児教育・保育の無償化について検討を加
え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。」との付帯
決議が行われたことに端を発しており、大阪市は、いち早く4歳児までの
保育・幼児教育費の無償化に踏み出しました。国でもこれに必要な財源に
ついての論議が続けられており、実現への動きが加速しそうです。

しかし、幼児教育・保育は市町村の仕事。完全無償化によって保育園や認
定こども園の需要がさらに増えると見込まれるほか、このままでは市町村
の財政負担増も必至。何故なら、この分野は、国の財政負担は一部に過ぎ
ず、地方の財政負担が非常に大きいからです。
全国自治体の大半は財政窮迫状態。特に福祉予算のうち児童福祉費が急増
して財政を圧迫しています。地方から国に、しっかりと主張をする必要が
あります。
★報道発表資料 4歳児からの幼児教育の無償化を図ります(大阪市)

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/seisakukikakushitsu/0000388599.html

★骨太方針:幼児教育無償化を明記、財源に保険-財政健全化目標は堅持

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-01/OQSZ6U6K50YA01

★賛否両論の幼児教育無償化…どうなる?今後の幼児教育

http://www.hoiku-shigoto.com/report/news/gratis/

★橋下徹”こども保険は現役世代への増税だ”

http://president.jp/articles/-/22335

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4.イベント情報

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編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

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