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【from JSLD】日本自治創造学会メールマガジン第12号

< 2016/12/15 >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第12号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  佐々木 信夫(中央大学教授・日本自治創造学会理事)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.その他

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1.巻頭寸言

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  「直言」
                       
          穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

大都市一極集中による保育所や特老の不足、変わらないいじめの多発、地方の過疎化、
忘れられた国家財政の立て直しなど様々な課題が山積しています。
どれひとつ取っても国家だけの力では解決できず地方の知恵と協力が不可欠です。
市民の地方自治に対する関心を高め、地方の大切さを取り戻すことが必要です。

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2.リレートーク

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【年末特別論考】 
  議会改革の切り札、「議会法制局」の設置を
                        
          佐々木 信夫(中央大学教授・日本自治創造学会理事)

◇議会事務局の人材強化が不可欠

 ここ2年間、政府の地方制度調査会委員だったので、地方議会改革についてもいろいろ
発言する機会があった。そのなかで、首長と議会を対等な政治機関と実質位置付けるに
は、「議会事務局長」を特別職に法的に位置づけたらどうか、と提言してみた。
全国市議会議長会のある市の議長が「カネがかかる」とヒアリングで発言されたので、今
のところ日の目をみていないが、私は、副市長と同格の議会事務局長をつくるべきと思っ
ている。

 昨今、各地で地方議員の研修会が盛んである。
 特に夏から秋にかけて様々なセミナーが東京、地方と行われている。10月には静岡市
で全国市議会議長会主催の研修大会が2日間行われ、全国から2600名の議員が参加し
ていた。私は2日目の議員の政策発表のコーディネーターを務めるのが役目だったが、「
地方議員は元気印であれ!」と2時間半の全体会を締めくくって散会した。集まった議員
らが少しでも覚醒するなら、地域が元気になると思っている。

 一方、意外に日が当らないが、議会事務局職員の研修会やネットワークづくりも大事だ
と考える。
 たまたま先日、長崎県で珍しい研修会に呼ばれた。それは筆者が知らないだけなのかも
しれないが、長崎県では議会職員間の交流が活発とのこと。県内の議会事務局の職員同士
の研修会で「長崎県市議会事務局職員協議会」主催となっていた。ホテルに泊まりがけで
講師の話を聞く講演会だけでなく、いろいろな検討すべきテーマについて討議する機会ま
でセットされており、驚いた。

 さらに驚いたのは、普通この種の研修会は議員がメインで、多くの議員が座っている後
ろにオブザーバー的に事務局職員が若干名座って聞くのだが、長崎県諫早市を会場に行わ
れた同研修会では、メインの席は13市の議会事務局の職員で、その後ろにオブザーバー
的に開催地の地元市議会の議長、副議長はじめ諫早市議(30名中、半数の希望者とか)
が取り巻くように座っていたのである。

 何も形を問題にしている訳ではないが、普段、縁の下の力持ちに徹しがちな議会事務局
の職員が堂々と「議会改革のあり方」をテーマに研修会を行っているのに、筆者はさすが
日本の夜明けとなった長崎だな、と感じた。しかも、毎年度、持ち回りでこの種の研修会
を開いているそうだ。議長らも挨拶の中で、「この種のネットワークの活動を誇りに思っ
ている」と賛辞を送っていたのには感心した。

 比較的若い議会事務局職員の目の輝きにつられるまま、筆者は議会改革のあり方につい
て自説を展開した。ひとつは議会事務局の地位を高めるには、事務局長を副市長と同格の
特別職にすべきだ、また議長に議会招集権を与えるべきだ、それに伴い予算編成、執行権
も認めるべきだ、そして職員と議員の連携強化、さらに議員立法を支える広域の法制局を
つくるべきだとボルテージを上げた。

◇各地で議会法制局をつくれ―これが改革の切り札

 議員の身近な行政の専門家は自治体の職員だ。
 ただ、職員(公務員)は、よく「議会は鬼門」だとし、“さわらぬ神に祟りなし”、
“できれば議員とあまり深い関係を持ちたくない”と思っている職員が多い。議員の質問
攻めにあい、管理職として失格の烙印でも押されたら大変だ、ということかもしれない。
 一方、議員からは、どの部署にどのような情報があり、どんな職員がいるかも知らな
い。結果として政策情報が少なく、スタッフもいないので「条例の提案」などは出来ない
という声になる。

 同じ屋根の下で仕事をしながら、議員と職員が疎遠な関係では、よい政策などできる筈
がない。地方分権は自己決定・自己責任で自ら政策をつくること。そこで政治家である議
員と専門家である職員が連係プレーの中でよい政策を作ればよいものができるはず。議員
と職員はよきパートナーである、政治と行政が連携プレーを行うことが期待されている。

 市民が何を求め、地域が何で困っているか直感的に判っているのは議員だ。外から民意
を吸収してくる役割は政治家が得意な分野である。しかし、議員は専門知識に乏しいのが
一般的。他方、議員の様々な要求や提案を加工し、政策に仕上げる技術は職員の方が知識
も経験も豊富であろう。議員は素人でもよいが職員は専門家でなければならない。

 そこで、政治家の運んでくる様々な民意を、専門家としての職員集団が政策として加工
する。それをアウトプットとして住民サービスに反映する。そうした自治体内での連携プ
レーが行われてこそ、地域にとって望ましい政策が生まれるという訳である。

 そうしたことの集大成だが、地方議会が広域で法制局を持つ時代ではないかと思う。
「○○広域圏法制局」だ。
 この法制局で雇う人材は、法科大学院卒(法務博士(専門職))の若者たち。彼ら彼女
らを専門委員(非常勤)として組織的に雇えばよい。ふだん議員は条例提案の「問題意識
をレポート」すればよい。それを他の法令や条例との整合性も見ながら条文化してくれる
のが法制局メンバーだ。

 もちろん、議員立法だけでなく、執行機関提案の条例審議や予算についても一定の専門
知識を生かしてサポートしてもらえる可能性が高い。その費用を政務活動費から半分投入
したらどうか。すると富山市議に代表される杜撰な支出問題などは起こらなくなる。そう
すれば、結果、議会の質も高まっていく。種々批判の多い地方議会のあり方も変わる。そ
の基礎を長崎県のような事務局職員のヨコの連携が変えるのでは。
 各地の奮起を期待したい。まさに「地方議員の逆襲」の時だ。ご入用なら、同名の拙著
を読んで戴きたい。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関する気になるニュースをピックアップします。
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 電通の過労自殺事件以来、日本社会も長時間労働を前提とした働き方の見直しに
重い腰を上げたかのように見えますが、管理職の意識改革や一斉消灯などは
付け焼き刃の対策でしかありません。
 問題の本質は、長時間労働にあるのではなく、日本企業、特にホワイトカラーの
労働生産性が低いことにあるのです。
 これを改善するためには、意思決定プロセスや人事評価制度など、「働き方」では
なく「経営」そのものの改革が必要です。
 照明消して解決するような問題ではありません。

長時間労働「是正に着手」8割弱 社長100人アンケート【日本経済新聞】

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ06I3V_X01C16A2MM8000/

国内サービス産業の生産性、米国の5割 日本生産性本部【日本経済新聞】

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H3Q_S6A211C1EE8000/

在宅勤務定着へ制度充実 味の素、管理職に義務付け【日本経済新聞】

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ27H0T_X21C16A1MM8000/

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4.その他

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※地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで御一報
ください。

※今後、みなさんからのメルマガへの寄稿などを掲載していく予定です。
掲載希望の方は、編集委員(info@jsozo.org)まで原稿をお送りください。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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