地方から未来を真剣に考える。

メールニュース

メールニュース一覧

--

【from JSLD】日本自治創造学会メールマガジン第10号

< 2016/10/15 >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第10号 ■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  中邨  章(日本自治創造学会会長・明治大学名誉教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

************************************************************************

1.巻頭寸言

************************************************************************
「自治体を変える使命」
                       
          穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

限界集落はもとより北海道夕張市など人口減少と高齢化が加速する自治体やその予備軍
は数多い。
しかし各自治体は組織・機構はもとより運営方法に至るまで依然として旧来のシステム
を踏襲している。
地方議会がリーダーシップを発揮して新たな自治運営システムを開発することが時の
使命ではないだろうか。

************************************************************************

2.リレートーク

************************************************************************
「二元代表制と東京都政―いつか来た道」
                        
          中邨 章(日本自治創造学会会長・明治大学名誉教授)

小池都政の登場とフォトジェニック
  
 小池百合子氏が都知事に当選して以来、都政への関心が高まっている。理由の一つは
TV報道が保守系議員を「悪代官」に仕立て、女性知事をいじめる画像を創っているか
らかもしれない。

フォトジェニックという表現がある。「写真写りのよさ」を指す表現である。
テレビキャスターの経験を積んだ知事は、TV報道がどう彼女を捉えるか、十分、熟知
しているように見える。やや大げさに言うと、立ち居振る舞いが計算され写真写りはさ
すがと思わせるほどである。それに女性知事という付加価値が加算される。T
V画像が映える知事に拍手を送る有権者がが多いのは、当然のことかも知れない。

 古い話になるが、アメリカの大学にいたころ、ロッキード事件の起点を作った上院・
証券取引委員会のチャーチ委員長にお目にかかったことがあった。その時、チャーチ上
院議員が顔に化粧を施し、「若い」というイメージを醸し出そうとしていることに驚い
た。

アメリカ政治では若さが決め手になる。ケネディ大統領はワイシャツの腕をまくり、
フットワークの軽さを演出した。残念ながら、日本では政治家にそうした発想はほとん
どない。現状を見る限り、相変わらず、見るからに意地の悪そうな高齢者が議会を牛耳
っているという印象をあたえる。これでは、若い有権者が政治に関心を持つわけがない。
都議会を含め日本の政治家はもっとフォトジェニックの重要性を認識すべきである。

二元代表制のオモテとウラ

 もう一つ、小池都政の始まりは日本の地方制度がウラの部分を抱えることを明らかに
している。
現行の二元代表制は、首長と議会がともに選挙で選ばれ、お互い切磋琢磨しながら
地域社会の発展に尽くす制度と考えられてきた。しかし、日本の制度は首長に強い権限
をあたえる「強首長制」を敷いている。教科書風にいうと、強い権限を持つ首長の下で、
議会は役割が乏しく機能が少ない組織である。首長提案に反対しない議会、政策は作れ
ない議員、それが地方議会の現状という見方が有力であった。

事実、市議会の場合、首長が提案する予算に修正が加えられることはほとんどない。
全国で年平均3件という資料もある。議会の機能不全が指摘される理由である。
 
ところが、予算が「無キズ」で議会を通過するのは首長の弱さという見方もできる。
首長は予算を通すため、定例会の開催に先立ち有力な議会人と事前折衝や事前交渉を繰
り返す。そうしたウラでのやりとりがあるため、予算はほとんど問題なく議会で承認さ
れる。二元制にはオモテに出ない、ウラの部分がある。ウラの場面では、首長は法定さ
れるほど強くはない。議会人にアタマを下げ、妥協を強いられることも多い。

 今回、都議会に力のある有力政治家がいることが明らかになった。これまでの知事も
議会のウラの主役にはアタマが上がらなかったようである。小池知事に変わってはじめ
て、一般の有権者にも都政が隠れた政治力で動くことが分かってきた。この先、そうし
た政治にどう対応するか、新知事の力量が問われる。

築地から豊洲へ―繰り返してならない歴史

 今、移転かどうかで注目を集める築地市場は、1935(昭和10)年に開設された。
関東大震災が発生するまで東京の魚市場は日本橋にあった。その当時、近海で取れた魚
は「平田船」と呼ばれる24隻で市場に運ばれた。陸揚げされた魚は、市場で板の上に
並べて取引されたが、それには「板船権」という名称の営業権が必要であった。この権
利は合わせて870枚、総額700万円に上った。板船権を3,4枚持つと家族4人が
十分、暮らせる額になった。

 市場が日本橋から築地に移転することが決まると、板船権を保有した214名に対す
る補償が問題に上った。東京市は補償費用を総額90万円と決めたが、当時の市会を支
配した政友会や民政党がその配分に深く関わった。やがて板船権補償は、東京市政史で
最悪と呼ばれる疑獄事件に発展した。昭和3(1928)年になると、市会議員50名
近くが逮捕され、その中には戦後、自民党の創設に関わる三木武吉なども含まれた。
結果、内務省は初めて東京市会の解散を命じるほどの大事件に発展した。

 築地市場の豊洲への移転には、なお相当の紆余曲折が予想される。東京オリンピック・
パラリンピックの開催とも絡んで、問題はより一層、政治化するかもしれない。下手を
すると汚職事件が表面化する可能性も否定できない。しかし、板船権のような大疑獄の
再現だけは避けなければならない。そう願うのは筆者ひとりではあるまい。

************************************************************************

3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関する気になるニュースをピックアップします。
************************************************************************
国も地方も、政治は「信頼」が鍵。信頼に足りる政治の条件は色々ありますが、最も
大事なことの一つは「お金」に対してクリーンであること。この点で、政務調査費の
問題への対処は、国民が信頼できる政治への基本中の基本と言えるでしょう。
この問題が地方から国へと広がる様相を見せる中、前号に続いて、ニュースピックア
ップで取り上げます。

■ブログに遺言まで……領収書問題続発で“号泣議員”野々村竜太郎氏に「再評価」の声

http://www.excite.co.jp/News/society_g/20161015/Cyzo_201610_post_20841.html

■白紙領収書 「問題ない」とは何事か【東京新聞】<社説>
■白紙領収書 収支報告の信頼揺らいだ【新潟日報】<社説>
■白紙領収書の常態化 「問題はない」のが問題だ【福井新聞】<論説>

http://www.47news.jp/47topics/e/281909.php

■白紙の領収書 政治家の非常識に驚く【毎日新聞】<社説>

http://mainichi.jp/articles/20161008/ddm/005/070/089000c

■白紙領収書を使い政活費不正 岐阜市議、7万円余を返還【朝日新聞】

http://www.asahi.com/articles/ASJ9Z5QRTJ9ZOHGB00M.html

■大阪府議 白紙領収書に自分で宛名や金額 政務活動費として報告【NHK】

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161016/k10010731781000.html

■政務活動費を考える(武蔵野市議会の取り組み)

http://blogos.com/article/193217/

■議会改革 遅れた富山 政活費不正の「温床」【中日新聞】

http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2016101602100013.html

************************************************************************

4.イベント情報

************************************************************************
※地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。

フォーラムのご案内(主催:一般社団法人次世代社会研究機構)

「児童福祉法改正を受けて~児童の養護と貧困の問題を考える~」

 2016年5月に成立した「児童福祉法改正」を受けて、今後の日本における子供達の
問題を、当事者や行政はもとより、社会全体で受け止め理解と支援を皆様と共に考えてい
きたいと思います。今回の改正は、児童養護施設や乳児院に入所中の子供達の問題だけで
はなく、今日本の子供達が6人に1人が貧困であるという現実を変えていくための重要な
法改正です。ご参加・ご意見をお待ちしております。

日時:2016年11月12日(土)13:00~17:30(開場12:30)
場所:日本財団 2F大会議室(東京都港区赤坂1-2-2日本財団ビル)
   http://www.nippon-foundation.or.jp/who/about/access/ (地図参照)
挨拶:主催者の挨拶
スピーチ:塩崎恭久厚生労働大臣(大臣到着に合わせてスピーチ頂く)
基調講演:藻谷浩介
リレートーク:今井久子(キッズドア)、森臨太郎(成育医療センター政策科学研究部
長)、後藤絵里(朝日新聞記者)、高橋恵里子(日本財団福祉特別事業チームリー
ダー)、藤井康弘(元厚生労働省・障害保健福祉部長)、李ひょんしぎ(Learning for
All代表理事)、宮城治男(NPO法人ETIC代表)、猪飼周平(一橋大学教授)
学生の政策発表「未就学の子供の養育環境デザイン」優勝チーム ほか
コーディネーター:西田陽光(一般社団法人次世代社会研究機構代表理事)
参加費:(キャンペーン協力費として)大人2,000円(学生無料)

お問合わせ先:西田(090-2667-3827)e-mail:yohkoh@lime.ocn.ne.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■このメールの受信の停止を希望される方は、
こちらからどうぞ。

http://jsozo.org/?page_id=6

--