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【The JSLD News】日本自治創造学会メールニュース第3号

< 20111/2/28 >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールニュース第3号 ■■

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~もくじ~

(1)自治体と直接参政制度
            東京大学教授 金井 利之

(2)第2回日本自治創造学会研究大会 開催予定

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(1)自治体と直接参政制度
            東京大学教授 金井 利之

 補完性の原理を支えているのは、自治体は住民から近いことに
価値があるということである。広域的自治体より基礎的自治体が
優先されるべきなのも、同様の理由である。住民から近いという
のは、もちろん、市役所や町村役場が、都道府県町役場や霞ヶ関
・永田町より、物理的な距離が近いと言う意味ではない。そうで
はなく、政治的行政的な意味で近いと言うことである。もっとも、
そういう点からすると、国が必ずしも遠いというわけではない。
というのは、国に関してはマスメディアの報道が、個別の自治体
に比べれば圧倒的に多いからである。そうすると、自治体が住民
から近いかどうかは、様々な政治的行政的な制度や実態によって
左右されるのである。

 国と比べて自治体が近いのは、直接参加制度が使いやすいこと
が大きい。基礎的自治体では、住民が総合計画その他の審議会な
どに、公募委員として加わるのは当たり前のことになっている。
条例制定改廃・解職・議会解散の直接請求、解職投票、住民監査
請求・住民投票など、直接参政の制度は国には見られないし、特
に中小規模の基礎的自治体では、これらの制度は実際にも大きな
機能を果たしてきた。しかし、国でも裁判員は検察審査会などの
ように、無作為抽出の住民が意思決定に関わる制度改革が為され
ている。パブリックコメントも、国の方が自治体よりも先行して
進められた。無条件に、国に比べて自治体が住民に近いとはいえ
ないのである。また、大規模自治体や広域的自治体は、直接参加
や直接参政制度は実際には巧く機能しておらず、この点でも、必
ずしも国に比べて都道府県を優先されるべきとはいえないのであ
る。

 こうしてみると、自治体は不断に住民から近いものであり続け
るために、運用を改善するとともに、制度の見直しを行わなけれ
ばならない。その点で、現在、国において、直接請求の対象に地
方税も含めることや、解職・解散の直接請求の署名要件を緩和し
て実際に使いやすくすること、住民投票制度の導入を行うことが
検討されていることは、非常に重要なことである。自治体為政者
は、ともすれば、こうした直接参政制度が充実すると、自身の自
由な意思決定がしにくくなるので、消極的になりがちである。し
かし、住民から近いことに自信があれば、必ずしも直接参政制度
を恐れることはない。また、自治体を優先するためには、国に比
べても住民から近いことを確保し続けなければならない。もちろ
ん、衆愚政治やポピュリズムになってはいけないから、何でもか
んでも直接参政がいいというわけではない。率直に大いに議論を
展開し、望ましい制度設計を行うことが期待される。

(2)第2回日本自治創造学会研究大会 開催予定

 日 時:2011年5月12日(木)10:00~17:00
          13日(金) 9:30~16:30
 場 所:日本都市センターホテル コスモスホール
     東京都千代田区平河町2-4-1
 定 員:500名

  ※詳細は決まり次第お知らせいたします。

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発行:財団法人日本自治創造学会

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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