< 2022/5/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第77号 ■■
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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭寸言
穂坂 邦夫(日本自治創造学会 理事長)
2.リレートーク
亀田 慎也(株式会社有花園 代表取締役)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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新しい時代が始まる
穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
コロナによる感染が依然として続いているが、世界の潮流はコロナ以前に戻ろうとしている。しかし、全ての社会システムが、コロナ以前に戻ることはないだろう。あらゆる分野に渡って住民の関心や政治に対する期待が大きく変わってきている。
首長も地方議員も職員もコロナ後にくる変化を、今こそ適格につかみとらなければならない。例えば、地震の頻発や大雨、真夏を思わせる高気温は、多くの住民の関心を呼んで、余り振り返ることのなかった地域に対する防災意識が目に見えて高くなってきている。ロシアのウクライナへの軍事侵攻は忘れかけていた国防についても、身近なものとして考える事となった。シェルターへの関心もそのひとつである。
これらの変化は、国家の領域だけでなく「地方の役割」について形を変えて求められてくる。一般生活にも影響するITの導入は、地方行政におけるシステムの在り方について、様々な改革が求められる。老朽化した上下水道によって引き起こされる道路の陥没や漏水は「安全意識」の高まりから、主要な行政課題になるかもしれない。オンデマンドやリモート授業の経験は、教育のあり方にも影響する。習熟度別の授業形式は「落ちこぼれ」を出さない教育のあり方として、再考されることになるかも知れない。
私たちを取りまく生活環境は、コロナ前とコロナ後では多方面に渡って様々な変化が出ており、地方行政もこれらに呼応することが求められる。前例を踏襲するだけでなく、社会環境の変化に対応した、新しい行政の在り方を考える必要がある。
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2.リレートーク
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ちいきづくりと自治
亀田 慎也(株式会社有花園代表取締役)
地元の高崎青年会議所(JC)に入会したのが28歳の時。
父の勧めもあり、何もわからぬまま入会説明会に参加してみたところ、5人の参加者のうち幼馴染が一人、高校の同級生が一人、先輩が一人という偶然。すぐに会にも馴染み、以来13年間お世話になった。
父も30代の頃、JCでまちづくりに汗を流し、地元を含む日本中に友人がいることは私も知っていた。今では夏の風物詩となっている「高崎まつり」がスタートしたのが1975年のことで、当時父やJCの仲間たちが、臨時の実施本部となっている、移転取り壊し予定の郵便局の中を、嬉々として動き回っていたのが今でも目に浮かんでくる。
この時の大人たちの姿は、私の「まちづくりの原風景」として、その後の人生に大きな塊となって胸に残るようになっていた。
自らもJCの一員として、まちに対する情熱を抱き、時には大きな事業を立ち上げ、政治にも口を出し、憲法や経済を論じ合うなど、いささか生意気とも取れる青臭い時を40歳まで過ごさせてもらった。
青年会議所は全国どこに行っても40歳で卒業となる。
卒業後は現役時代に培った人脈と経験を頼りに、地元社会に貢献すべきだというのが私の信条で、卒業後はそれを実践に移すこととなった。
自営業であるから声がかかりやすいのか、保育園では保護者会長を、小学校ではPTA会長、高校では部活の保護者会長、PTA会長をそれぞれ務めることとなる。妻も地域活動は嫌いではなく、町内の子ども会会長、育成会副会長などを精力的にこなしていた。
子どもたちが大きくなると、自治会の役員にも名を連ねている。
まちづくりとしては、大手音楽教室が使用していた空きビルを居ぬきで借り受け、音楽を中心としたコミュニティスペースを運営し、また、私自身は経営にこそ参画していないが、.JC時代の後輩たちが『高崎田町屋台通り』という場所を仕掛け、そこを応援するメンバーとして「旦那衆の会」を組織した。
この屋台通りが私にとっても大きな気づきのきっかけとなった。
この高崎田町は元禄時代に絹市場が置かれ、以降浮き沈みがありながらも商都高崎の核として栄えた町である。明治から昭和初期にかけては、広く北陸や関東信越にかけて往来があり、「お江戸見たけりゃ高崎田町 紺の暖簾がひらひらと」と都々逸に歌われるほどの賑わいがあったといわれている。
当初、屋台通り構想が立ち上がった際には、駅前周辺の繁華街で場所を検討していたが、ふとしたことでこの田町が候補に浮上し、私自身も見に行ってみると、白い工事現場の塀で囲われたまっさらな更地でありながら、場所の記憶を留める場であることが感じ取れた。
結果としてこの屋台通りは老若男女問わず人が訪れるコミュニティスペースとして機能する事となった。
こうして地域の時間軸を意識しながら場所作りをする中で、教科書や郷土史には載ってない、市井の「人」にフォーカスした記録を残しておきたいと考えるようになった。
「高崎をよく知り、高崎をこよなく愛する人と まちの記憶を訪ね歩く」をキャッチコピーとした『高崎わたしばなし』をYouTubeで配信し、高崎に住む先輩方からの話をアーカイブしたものがそれである。
まちの記憶を残すのは「人と場所」である。80代90代の人の両親や祖父母の話となれば、100年前の話ともつながってくるわけで、歴史の教科書が俄かにリアルな映像として蘇る。
これを後世に留めておくことで、まちに時間的な奥行きを作り出す。他所から持ってきた流行りの商業施設では創出できない、どっしりと根を張ったまちの風格を作り出したいと考えている。
さて、表題の「自治」との関わりであるが、関東大震災後の東京復興を指揮した後藤新平は「自治の精神こそは、国家の土台石、社会の柱であり、その土台石と柱とがしっかりして初めて健全なる文明が建立される」との言葉を残している。
私は、身の回りで顔の見える一番の自治区は小学校区であると考えている。
地域の歴史はそこに住まう人々に共通するアイデンティティを形作る。
小学校区では町名や街道の道筋などに地域の歴史が色濃く残っていることがあり、こうしたコミュニティを土台として社会を見渡すことにより、下腹に力の入った地域づくりができると考えている。
身近な自治から物事を考え、その延長線上に、より広いまちや市域、あるいは国家、世界というものに視界を広げていかねば、上滑りな議論になってしまうだろう。
「Think Globally Act Locally」
青年会議所に所属していた頃、よく口にしていた言葉ではあるが、卒業から10年以上たった今も、実践の志として胸に刻んでいる言葉である。
そんな背中を次世代にも責任を持って見せながら生きていきたいと思っている。
亀田 慎也(かめだ しんや)
株式会社有花園 代表取締役
早稲田大学教育学部卒業。元高崎JC理事長、日本JC群馬ブロック会長
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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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訪日外国人観光客、受け入れ再開 コロナ後の新しいインバウンド客に選ばれる地域とは
コロナの流行で2年間続いた「コロナ鎖国」が緩和されようとしています。
コロナ前には、「訪日客数2020年4,000万人、2030年6,000万人」という目標を掲げ、2019年には3200万人に近づくなど倍々ゲームでインバウンド特需に沸いていましたが、この2年間の経験は、アフターコロナの観光のあり方を大きく変えてしまうはずです。コロナ前のような、バスツアーで団体行動して“爆買い”というような観光客は戻って来ないかもしれないですが、自然の中で文化やスポーツを体験しつつワーケーションしながら長期滞在というスタイルの観光は広がっていくでしょう。何しろ、通信環境さえあれば働く場所は選ばない生活スタイルが世界中で確立されてきましたので、治安が良く清潔で便利な“日本の田舎”は外国人にも魅力的に映ると思われます。
幸い、日本のインフラや文化は観光地として世界でも高く評価されています。コロナ後の新しい生活スタイルに対応できる観光地づくりが求められます。
★観光入国を再開、円安生かす 段階的に「平時並み」へ
2022年5月26日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2669P0W2A520C2000000/
★訪日客受け入れへ実証事業、第1陣が米国から到着…添乗員が行動管理・体調を確認
2022年5月24日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220524-OYT1T50183/
★訪日外国人観光客、受け入れ再開へ 政府検討 6月にも
2022年5月25日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220525/k00/00m/010/328000c
★日本、観光ランク世界首位 インフラや文化に高評価
2022年5月24日 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20220524-M5IUJIK65RNAJFYVY2Y4KMXUMA/
★外国人観光客とは 安倍政権で成長戦略の柱に
2022年5月7日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA051NK0V00C22A5000000/
★コロナ後も定着か オンライン観光の意外なメリット
2022年5月26日 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20220526-RR7FKH4KKVIL3NCNXS2BPPREV4/
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4.イベント情報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
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