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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第74号

< 2022/2/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第74号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  岩渓 寛司(株式会社みんなのごはん 代表取締役)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報
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1.巻頭寸言
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地域を創造する
                       穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
 
 私は市民に首長(市町村長)はシティマネージャーだと言い続けてきた。市民の代理人として、議会という取締役会の議決を基にまちを運営する支配人である。
 しかし、よく考えてみると議会が「単なる議決機関であり、狭小的な提案機関」では議員として面白味がない。議会には自治法上の常任委員会の外、特別委員会が設置できる。そこで特別委員会を活用して、我がまちの未来像を議会でつくりあげ、首長はもとより広く住民に明示したらどうだろうか。さらに、あえて特別委員会で結論づけたまちの将来像を本会議で議決をして、住民に信を問うことも面白いではないだろうか。議会の権能について様々な意見が出ることもあるだろう。しかし、議論を重ねタブーに挑戦することも、地方自治の進展に資することになる。
 出来ればこの発想をもう一歩前進させ、議会費や政務調査費を活用し、住民にボランティアとして参加を頂き、住民もまちの将来像をつくる。議会の計画を下敷きにすれば、住民も容易に策定できる。理想のまちづくりだから財源などは無視すればよい。議会と住民が夢の計画を発表すればシティマネージャー(首長)も必ず計画をつくりあげる。
 まちの未来を担う住民・議会・首長が様々な立場から「地域を創造する」計画が出来上がると、住民参加のまちづくりに一歩近づく。
 議会は議決機関にとどまらず、様々なチャンスを活用して、その存在感を幅広く発揮することを期待している。
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2.リレートーク
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VEG-ICON PROJECTで地域の農産物の魅力を新しい価値として提供する
         岩渓 寛司(株式会社みんなのごはん 代表取締役)

 私は植物性の食品、いわゆるビーガンの事業に携わって15年以上になります。
私が代表を務めさせていただいている株式会社みんなのごはんは2014年に創業ですが、同年に日本航空さんの機内食において動物性食材を使用しないベジタリアンミール(ビーガンミールも含む)のメニュー開発をさせていただくことでキャリアをスタートさせました。
おかげさまで今では大手企業さんを中心に植物性食品の開発のお手伝いをさせていただくことが多くなりました。

 そんな弊社の元へ「余っている野菜をなにかに活用できないか」というご相談をお寄せいただくことがあります。

 小規模や有機などのこだわりの農法を実施している為、販路が限られている野菜が場合によっては廃棄せざるを得なくなるという、このような農家さんが抱える共通した課題が背景にあるご相談だと思います。

 ある千葉県佐倉市の一般社団法人は2019年に千葉県に大規模な被害をもたらした台風の影響で、出荷できなくなった農作物をなんとか救おうと発足されました。
彼らは今もなお地元に根ざして奮闘されていますが、台風の影響で顕在化したが、実は潜在的に台風被害に関わらず何かしらの理由で出荷できない農作物の課題はあったということが解り、2022年の今も活動を続けていらっしゃいます。
またコロナの影響もあり飲食店が営業を縮小する中で当然、農作物も余る、ということも起きています。

 このような千葉に関わらず農業全体で抱える課題がある中、弊社ではVEG-ICON PROJECTという取り組みを実施しています。
これはもともと千葉県と成田空港活用協議会との共同事業で2020年の東京大会を機にインバウンドへのおもてなしとして千葉県の県産品を買って帰ってもらおう、という取り組みとしてスタートしました。
しかし当取り組みも例外なくパンデミックの影響で計画通りには行きませんでしたが、結果として千葉県産品の中で動物性食材を使用していない食品を多く見つけることができ、これらをまとめて道の駅や百貨店などでご紹介することができました。
その中でこの取り組みに価値を感じていただいたいくつかの生産者様は非常に接触的に取り組んで頂いている現状があります。

 生産者は六次化を進めたが、やはり販路の開拓と他の類似商品との差別化(ブランディング)に苦労されているケースが多く、特にそれを認識されている生産者様は当取り組みの価値を理解して頂いている実感があります。

 VEG-ICON PROJECTでは「入り口から出口まで」をモットーに、プロジェクトに参加して終わりではなく、我々が「出口」つまり販売機会まで提供します、というのをポリシーに取り組んでいます。
これはいわばJA(農協)のモデルに近いかもしれません。
生産者が安心して植物性食品へ参入してもらうためにも我々としては売り場までケアしたい、という考えがあります。

 前述したロス野菜からジャムやジュースを作ることはそれほど難しくはありません。
そこに付加価値としてのブランドと売り場がセットになっていれば、ロスした野菜を植物性加工品にすることで生産者様が安心して六次化にも取り組めるのではないでしょうか。

 当プロジェクトは引き続き日本国内の地方を含め、海外にも地域の生産品を紹介できる機会を模索しております。

岩渓 寛司(いわたに かんじ)
株式会社みんなのごはん 代表取締役

2006年に音楽を志して京都より上京。音楽活動中にビーガンになり、その後NPOを設立し音楽活動と並行して精力的に活動するが、2012年に音楽活動を終える。音楽活動で培った先進的な思考やセンス、探究心は株式会社みんなのごはんを設立した今も尚、健在である。

https://www.minnanogohan.com/

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3.ニュース/情報ピックアップ
地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。
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どうしたら優秀な人材に教員になってもらえるのか

学校現場では教員が不足しています。就職氷河期には教員採用試験の倍率が13.3倍に達し、教員免許を持っていても採用されない人が100万人という事態もありましたが、今では採用倍率が過去最低を更新しています。

最近ではすっかり「コロナ対策の人」のイメージがある大阪大学の大竹文雄教授が2008年に出版した『こんなに使える経済学』には、昔は大卒の優秀な女性が一般企業から門戸を閉ざされていたため、しかたなく教職に就いていたので教員の質が高まったが、女性にも企業の雇用機会が開かれるようになると、より条件の良い企業への就職が増えたため教員の質が低下した、という説明があります。国立大学の教育学部から4割は民間企業に流れている現状を考えると、教員の質の低下が深刻な状況にあることがわかります。

優秀な学生に教職を選んでもらうためには、待遇の改善はもちろん必要ですが、単なる大量採用では、採用する教員の資質の低下を招くとともに、採用後の指導が不十分となり、さらなる質の低下とともに、社会的評価が下がってしまうことが危惧されます。いかにやりがいを高め、社会的評価も高めることができるか、難しい課題です。

★公立学校で2000人以上の「教員不足」初の全国調査で明らかに
2022年1月31日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220131/k10013459211000.html

★公立小学教員採用倍率2.6倍 2年連続で過去最低更新
2022年1月31日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20220131/k00/00m/040/088000c

★採用倍率は過去最低、教師不足で授業もできず…混乱を極める教育現場の惨状
2022年2月8日 幻冬舎ゴールドオンライン

https://gentosha-go.com/articles/-/40772

★59.0% 国立教員養成系大学卒業生の教員就職率
毎日新聞 2022/2/7 東京朝刊 有料記事 311文字

https://mainichi.jp/articles/20220207/ddm/013/100/025000c

★教員不足、ハローワークに求人も…授業できない事態に現場悲鳴「毎日電話で頭下げてる」
2022年2月1日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20220131-OYT1T50274/

★教育現場を支える非正規教員 9万8000人
2022年2月24日 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220224/k10013495441000.html

★放課後に消毒、帰宅後も仕事「担任つらい」 教員が大阪府議に訴える
2022年2月15日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQ2G7DHNQ2BPTIL02D.html

★教員免許更新制、7月に廃止 新たな研修制度導入
2022年2月25日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20220225/k00/00m/040/052000c

★特別支援教育「全教員が2年以上の経験を」 文科省検討会議
2022年2月24日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20220224/k00/00m/040/219000c

★教員の負担軽減阻む「聖職者メンタリティー」の罠 内田良「働き方改革は『諦める挑戦』が必要」
2022年1月11日 東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/articles/-/476982

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4.イベント情報
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第14回 2022年度日本自治創造学会研究大会 最新情報

開催日決定:5月19日(木)・20日(金)の2日間

場  所:一橋大学学術総合センター2階 一橋講堂
    (東京都千代田区一ツ橋2−1−2)
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員
東京都千代田区神田佐久間町2−24−301
お問い合わせ: info@jsozo.org
ホームページ: http://jsozo.org
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