地方から未来を真剣に考える。

メールニュース

メールニュース一覧

--

【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第28号

< 2018/4/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第28号 ■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  牛山 久仁彦(日本自治創造学会理事・明治大学教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

******************************************************************

1.巻頭寸言

******************************************************************
   穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 人口の減少が加速する。これらに立ち向かうためには、行政が議会・住民に近未来(10年・15年・20年)の人口動態を開示し、三者が一体となって新たな街づくりに取り組むことが求められる。
 さらに首長は人口減少が福祉や医療、交通網、商工業などにもたらす様々な影響と解決すべき課題について、議会と住民に明示する必要がある。
******************************************************************

2.リレートーク

******************************************************************
「地方分権の行方」
   牛山 久仁彦(日本自治創造学会理事・明治大学教授)

 2000年に「分権一括法」が制定され、具体的な地方分権に向けた地方制度改革が実現してから、18年が経過した。近年では、人口減少社会の到来による「地方消滅」が喧伝され、それを解決するための「地方創生」政策が推進されている。いうまでもなく、地方創生は安倍内閣が発足して以降に進められた政策であり、国主導で進められたものに違いない。自治体は、そうした国の政策に翻弄され、地方創生の補助をえるためにKPIに振り回されているといった批判がでてくるのは当然であろう。

 従来から、国と地方の関係においては、国が政策立案し、立法化されたものについて、中央政府の法令解釈に基づいて自治体が執行するというスタイルが常態化しており、自治体発の政策立案は一部自治体でしか行われてこなかった。しかし、そのような国-地方関係では、効果的で効率的な地域政策は実現できず、多様化する地域の課題に迅速に対応することも難しい。そうした状況に対応するためには、自治体の政策形成能力を向上させ、自ら課題に対応する体制づくりが不可欠である。そのためには、地方分権改革を行い、住民本位の政策を自治体自ら立案し、執行するための能力を高める必要があったのである。

 しかし、その一方で、厳しい財政状況を踏まえた自治体行財政改革が求められ、人員や予算の削減が断行された結果、自治体をめぐる状況が厳しくなったのも事実である。近年、目につくのは市町村の分権的な体制づくりについての消極的な姿勢である。法改正によって特例市がなくなり、中核市に移行するかどうかが選択されることとなったことは周知のことであろう。しかし、ここのところ、中核市移行を断念する自治体が目につく。中核市移行にともなう保健所設置など、権限委譲による負担増大が重荷になるというのがその理由であろう。現実的には、財政的な負担の問題や職員配置など、多くの課題があるのも事実である。ただ、原点に還れば地方分権は「身近な行政は、身近な自治体で担う」ということが目指されたのではなかったのか。例えば、保健所設置の検討は、住民の健康を守り、福祉と一体化した体制をつくって基礎的自治体の役割を果たすという姿勢を前提に行うべきものであり、損得勘定でのみ検討されるものではなかろう。

 もちろん、大都市制度の課題や県からの財源移譲など、中核市移行をめぐる課題が多いのは事実である。これを軽視することはできないし、慎重な検討が必要である。ただ、地方分権の原点は、自治の実現である。地域課題に向き合い、自ら解決し、責任を全うする。そうした視点からも、中核市移行は検討されるべきであろう。地方創生の課題などともあわせ、厳しい状況だからこそ問われるべきは自治体の姿勢であると考える。

******************************************************************

3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

******************************************************************
どうする、町村議会

人口減少と高齢化が進み、年金も廃止されて、人材不足気味の地方議員。特に過疎化が進む町村部では、なり手を確保するのに四苦八苦で、議員自体の高齢化が進んでいます。そこで国(総務省)は、学識者による「町村議会のあり方に関する研究会」を設置。先月、町村議員の兼業規制緩和などの提言(報告書)を公表しました。これに対して、蚊帳の外に置かれた当事者、町村議長会などが反発。メディアの報道ぶりも、総じて辛口気味です。
国・都道府県・市区町村の3層で構成されている日本の統治構造。人口373万人の横浜市から175人の青ヶ島村まで、担う事務・事業はさほど変わらず、それぞれ、首長と議員を選挙で選出します。しかし、制度疲労はもはや限界。なり手不足対策という、いわば小手先の対処方法よりも、統治構造そのものの改革が迫られているように感じます。

★(社説)地方議会研究報告/手続きも中身も不可解だ
2018年4月16日 河北新報

https://www.kahoku.co.jp/editorial/20180416_01.html

★(社説)町村議会改革 国のお仕着せが過ぎる
2018年3月27日 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/DA3S13421587.html

★町村議会改革 過疎の自治支える人材確保を
2018年3月27日 読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180326-OYT1T50108.html

★「町村総会困難」 現場分かっているのか-高知・大川村議長は批判
2018年3月27日 毎日新聞

http://mainichi.jp/articles/20180327/ddm/012/010/142000c

******************************************************************

4.イベント情報

******************************************************************
≪第10回2018年度日本自治創造学会研究大会が開催されます≫

〔大会テーマ〕
 人生100年時代の地域デザイン
 ~人口減少社会に向き合う地域社会~

 日時:平成30年5月10日(木)13:00~17:40
           11日(金) 9:30~14:55 
 場所:明治大学アカデミーコモン棟3階アカデミーホール
   (東京都千代田区神田駿河台1-1)
          
▼お申込み・プログラム等の詳細はこちら▼
 http://jsozo.org/

お問合わせ・事務局 TEL03-5623-0472

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■このメールの受信の停止を希望される方は、
こちらからどうぞ。

http://jsozo.org/?page_id=6

--