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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第16号

< 2017/4/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第16号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  荒田 英知(PHP総研主席研究員・日本自治創造学会幹事)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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     穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 地方に対する国の関与が強まっている。ふるさと納税に対する強い指導、医療・介護費を抑制するため、都道府県を司令塔とした市町村への指導強化、地方の事業における外部化の勧めなど多方面に渡っている。
 地方自治体はこれらを甘んじて受け取っているのだろうか。
 国のリーダーシップのもとに実施している地方創生事業はもとより、被災地の再興など成功しているとは言い難い。
 地方に関する様々な諸課題を解決していくためには、地方自身の主体性がいまこそ求められている。
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2.リレートーク

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「買い物難民」という演習問題

     荒田 英知(PHP総研主席研究員・日本自治創造学会幹事)

 日本の総人口が2053年に1億人を割り込むとする新たな将来人口推計が公表された。前回よりも出生率がわずかに上がったものの、人口減少の流れは止まらない。その結果、地域の流通や交通網が弱体化して、食料品などの日常生活物資の買い物が困難になった「買い物難民」が各地で発生している。2015年には全国で700万人を超えたと推計される。

 すでにいろいろな対策が講じられている。
 人口が減って既存の商店を維持できなくなった場合に、地元住民が出資する共同売店として存続させたり、それを自治体が支援する例が増加している。ちなみに沖縄の離島では共同売店は島民生活の常識である。

 移動の足をどう確保するかも大問題で、自治体が買い物バスや福祉バスを走らせる取り組みも各地に出てきた。住民に対する十分な輸送サービスが確保できないと認められる地域では、営利にならない範囲で自家用車を使用する過疎地有償運送も制度化された。今後シェアリングエコノミーが広がれば、地域住民間のライドシェアが普及していく可能性もある。

 大手コンビニや外食チェーンによる宅配も始まるなか、急伸しているのが移動販売である。生活に欠かせない物資をセレクトし、保冷もできる小型トラックに積んで地域を巡回販売する仕組みだ。当初は社会福祉法人などが手掛けたが、最近ではビジネス参入が目立つようになっている。

 徳島市に本拠をおく「とくし丸」は、移動店舗を営む個人事業主と各地の地
元スーパーをマッチングして全国38都府県に展開している。昨秋には東京都板橋区の高島平団地にも進出した。いまや買い物難民は過疎地だけの問題ではなくなった。だからこそビジネスに立脚した解決には大いに意味がある。

 買い物難民というこれから全国に拡大することが必至の課題にどう向き合うか。もちろん税金による「公助」で対応することもできるが、「自助」の観点で民間ビジネスとして成り立つ例もあることを忘れてはならない。第三の道ともいうべき「共助」によるお互い様、助け合いの世界も、シェアリングエコノミーの活用次第では大きく化ける可能性を秘めており、自治体が率先してチャレンジすべきだろう。

 このように考えると、買い物難民対策は、これから地方自治体に突きつけられる課題を、いかなる思想と手法で解決するかの絶好の演習問題に思えてくる。実際に直面する事態に先んじて、議員間で検討してみてはどうだろうか。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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急激に利用が膨らむ「ふるさと納税」。その中で進む返礼品競争。
地方の特産品開発など地方創生のメリットがある半面、富裕者が高額の返礼品を受け取れる「納税のモラルハザード」などへの批判も高まり、政府は、返礼品の上限基準を示しました。
一方、政府がふるさと納税制度の拡充を進める理由の一つにあるといわれるのが「地方税収の格差是正」。つまり、富裕者が多い豊かな自治体の税源を他の自治体に移し、少しでも地方間の税収格差を埋めようという思惑があるとも言われていますが、これに対して「自治体間の税財源の格差是正こそ肝心」という主張も目立つようになってきました。
実際、地方税収の格差は、現行の地方交付税制度では到底埋めきれないレベルに広がり、それが福祉や教育・子育てなどのサービス格差にもつながっていると指摘されています。
今回のニューストピックでは、ふるさと納税を巡る動き、地方税収格差是正への動きをお知らせします。

★ふるさと納税返礼、家電も自粛要請 総務省「上限3割」基準
(2017年3月31日 日本経済新聞)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H4W_R30C17A3EA4000/

★ふるさと納税-自治体の危機が問題だ
(2017年4月8日 東京新聞【社説】)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017040802000169.html

★ふるさと納税 税金争奪やめ財源移せ(2017年3月20日 信濃毎日新聞)

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170320/KT170317ETI090001000.php

★税収の5割、人口で配分方法へ 地方消費税、格差を是正(2017年1月14日 沖縄タイムズ)

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170320/KT170317ETI090001000.php

★消費税の配分の地域的な偏りについて~地方消費税配分額の東京都偏重は本当か~(2016年12月14日 ZUU Online)

http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20161214/zuuonline_132287.html

★「ふるさと納税」で大幅減収 東京23区長らが総務相に見直し要望~(2017年3月16日 ZUU Online)

https://zuuonline.com/archives/143169

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4.イベント情報

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≪第9回2017年度日本自治創造学会研究大会≫

〔大会テーマ〕
 人口減・高齢化を乗り越える~前例から創造へ~

 日時:平成29年5月18日(木)13:00~17:35
           19日(金) 9:30~14:55 
 場所:明治大学アカデミーコモン棟3階アカデミーホール
   (東京都千代田区神田駿河台1-1)
 参加費:会員 13,000円(年会費2,000円、2日間大会参加費・資料代含む)
     非会員15,000円(2日間大会参加費・資料代含む)
 ※大学院生会員参加費2,000円、大学院生非会員参加費3,000円
  改革発表会兼交流会(参加費1,500円)

▼お申込み・詳細はこちら▼
 http://jsozo.org/

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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