地方から未来を真剣に考える。

メールニュース

メールニュース一覧

--

【 from JSLD】日本自治創造学会メールマガジン第4号

< 2016/4/15 >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第4号 ■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.第8回 2016年度 日本自治創造学会研究大会 最新情報
3.リレートーク
  牛山 久仁彦(明治大学教授・日本自治創造学会理事)
  中村 卓(草加市副市長・日本自治創造学会幹事)
4.ニュース/情報ピックアップ
5.イベント情報

************************************************************************

1.巻頭寸言

************************************************************************
 “地方議会の提案力に期待する”

              穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

社会環境の大変化は地方から都会を直撃する。地方の再生を国がいくら自治体に
指示しても成功しない。千差万別の個性を持つ地方に一律的な振興策を与えても
無理があるからだ。
首長は様々な制約の中で国には弱い。今こそ地方議会が地方再生策の積極的な提
案を行ってほしいものです。

************************************************************************

2.第8回 2016年度 日本自治創造学会研究大会 最新情報

************************************************************************

〔大会テーマ〕
 地方が創る日本の未来 ~議会・住民・自治~

 日時:平成28年5月12日(木)13:00~17:30
           13日(金) 9:30~15:00
 
 場所:明治大学アカデミーコモン棟3階アカデミーホール
   (東京都千代田区神田駿河台1-1)

 ▼お申込み・詳細はこちら▼

  http://jsozo.org/

************************************************************************

3.リレートーク

************************************************************************
「自治体の知恵と能力の結集を」                  

        牛山 久仁彦(明治大学教授・日本自治創造学会理事)

九州地方では初めて計測されたという震度7の巨大地震が熊本県、大分県など、九州
地方に甚大な被害をもたらしている。気象庁によって「平成28年(2016年)
熊本地震」と命名されたこの地震は、多くの尊い人命を奪い、負傷者を出した。さら
に、家屋の損壊や土砂崩れなどによる交通の寸断によって、住民の生活基盤を破壊し
ている。中央政府は、東日本大震災の教訓もふまえた被災地支援に取り組んでいるが、
余震が続く中、困難な状況が続いている。

中央政府の取り組みの重要性もさることながら、阪神淡路大地震以来、大規模地震が
繰り返し住民生活を襲い、自然災害が頻発する日本の地域社会において、自治体行政
が果たす役割が極めて重要であることは論を待たないであろう。毎年訪れる台風など
の風水害は全国各地で被害をもたらし、2014年の御嶽山噴火では多くの人命が失
われた。昨年には、関東・東北地方の豪雨災害で、家屋などに大きな被害が生じたこ
とも記憶に新しい。こうした激甚災害が生じた際に問われるのが、自治体行政の対応
である。もちろん、中央政府がどのように災害に対応し、被災者の救出や支援を行っ
ていくのかは重要である。しかし、災害の現場はいつの場合であっても地域であり、
地域住民の命が救われるかどうかも、第一には、災害の現場に存在する自治体行政の
対応いかんにかかっている。

災害の被害状況や時間的な経過によって、中央政府、地方政府の役割分担は異なるが、
問われるのは、自治体行政が被災状況に的確に対応し、どのような決断に基づいて災
害対応の政策を実行していくのかということである。刻々と変わる被災地の状況を把
握し、地域住民をどのように救援するかを現場の判断で決定していかねばなるまい。
今回の災害でも、現地自治体行政の決定と運営が、地域住民の救援や、その後の復旧
・復興対策に大きな影響を与えることとなろう。

また、個別自治体の対応の重要性はさることながら、重層的で広域的な連携が求めら
れることも、あらためて問われている。国・県・市町村の連携によってこそ、有機的
な災害対策が行われるのであり、それに加え、東日本大震災などで問われたような自
治体の広域連携が求められる。不足する食糧や物資の供給、それらの的確な送付・配
布拠点の確保、さらには、長引く避難所生活への対応としての遠地避難など、検討す
べき課題は多い。熊本・大分など九州の自治体の必死の取り組みが続く中、全国の自
治体の総力をあげてこの困難な状況を乗り越える知恵と努力が求められている。

************************************************************************
「自助・共助の防災体制づくりと議会の役割」

         中村 卓(草加市副市長・日本自治創造学会幹事)

4月14日21時26分、熊本地方に発生した地震は、その28時間後、さらに大規模な地
震につながった。今なお頻繁に余震が続く中、被災地では、救出、ライフラインの復
旧、被災者・避難者対応など、不眠不休の活動が続けられている。被災された方々に
心からお見舞いを申し上げ、現地で活動される皆さんのご健闘をお祈り申し上げる。

九州地方での地震に対し、遠く埼玉県にある草加市は、市民とともに被災地への支援
をする側にあるが、もとより「よそ事」ではない。地震列島日本のどこに、いつ起き
てもおかしくないという宿命を負っている以上、それを「自分事」として真剣に受け
止め、市民とともに、備えの強化を進めていかなければならない。

地震などの災害に備えた「地域防災計画」は、災害対策基本法に基づいて、全国の自
治体が策定している。大規模災害が起きる都度、各自治体の防災計画も見直されて今
日に至っているが、これまでの地域防災計画は、ともすると行政主導のものになりが
ちという指摘を受けてきた。

例えば草加市の場合、災害時、市内32箇所の小中学校に設置する一時避難所の開設
と運営は、市職員が行うことを前提としてきたが、東日本大震災後、いざという時に
それで対処できるのかという指摘を、市民と市議会からいただくようになった。災害
の発生状況などで職員の行動も制約を受ける。職員が不眠不休で対応するにしても、
できることは限られる。公助も大事だが、自助・共助にもっと焦点を当てて防災対策
全体を組みなおすべきではないか、という指摘である。

さらに、指摘だけでなく、避難所の開設や運営などを市民自身が仕切るような実践が
伴うようになったきた。職員にとって、こんなに有難いことはない。行政としてなか
なか言いだしにくいことを市民、そして議会が政治的に、実践的にリードしてくれる
からである。

草加市では、こうした市民、市議会との連携を基礎に、自助・共助領域の拡充を柱と
する地域防災体制の再構築を進めているが、この視点は、防災対策にとどまらない。
まちづくりから地域福祉まで、行政(職員)主導では、とかく行政が「請け負う」
領域に目が行きがちな地方公共サービスを、市民とどう連携し、担いあうかという視
点につながるからだ。

私は、草加市議会が、こうした視点に立ち、自治の担い手としての市民の代表者とし
て活動し、問題提起していただいていることに感謝している。

行政だけでできることは限られている。それぞれの地方自治体で、市民力・地域力を
どう引き出していくか、それこそが国のお仕着せでない地方創生であり、そこに市民
代表として関わる議会の大きな存在意義があると感じている。

************************************************************************

4.ニュース/情報ピックアップ

************************************************************************
地方自治に関する気になるニュースをピックアップします。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H23_U6A310C1PP8000/

公務員の働き方見直し、有識者懇談会が初会合

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB31HOW_R30C16A3MM0000/

自治体、女性活躍へ働き方改革 東京都や佐賀県

「働き方」の改革は、職員にラクをさせるために進められているわけではなく、自分
たちの仕事の進め方など、これまで「当たり前」だと思ってきた常識をもう一度疑っ
てみて、より生産性を高めるためには何をする必要があるのかを自問自答する、まさ
しく「経営」に関わる問題です。
職員全員が同じ時間、同じ場所に集まらなければ仕事はできないものなのか。
時間をずらすフレックスタイム制や場所をずらすテレワークなどを進めることは、平
時のみならず、災害時に職員が揃わない中でも業務をストップさせない強靭性のある
組織をつくりあげる上でも重要な視点です。

★片山善博氏が語る「機能不全の地方議会」

自立的・創造的な地方自治推進のカギを握るのは「地方議会」。片山善博慶應大学教
授(元総務大臣・鳥取県知事)が、斉藤史郎・日本経済研究センター主幹との対談で、
国主導で進む「地方創生」を例に、地方議会の奮起を促しています。

http://www.jcer.or.jp/column/s-saito/index718.html

★民間議員が「6百兆円経済の実現」に向け提言(経済財政諮問会議)

4月4日、政府の経済財政諮問会議で、民間有識者議員4名による共同提案がありま
した。「6百兆円経済の実現に向けて」と題する提案は、経済再生と財政健全化を
一体として実現することを目標に、取り組むべき重点政策を掲げています。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0404/shiryo_01.pdf

************************************************************************

5.イベント情報

地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで御一報
ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■このメールの受信の停止を希望される方は、
こちらからどうぞ。

http://jsozo.org/?page_id=6

--