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【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールニュース第13号

< 2012/6/1 >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールニュース第13号 ■■

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 「日本自治創造学会会長に就任してー自治創造の課題」
  
              日本自治創造学会会長 
              明治大学名誉教授
                        中邨 章

 2011年暮、佐々木信夫前会長から、思いもよらず日本自治創造学会の会長
就任について打診があった。穂坂理事長にもお目にかかって、2012年初頭か
ら当学会で会長という重責を担うことになった。この学会が創設された当時、
「自治創造」という名称になるほどと思った印象がある。自治は待つもので
はなく、とりに行くものだという感想を受けるネーミングであった。その会
長に就任するにあたって自治や分権について、大学の学生に講義してきた話
しを簡単に紹介できればと思う。

 自治や分権を重視する国アメリカでは、日本では考えられない自治・分権
の具体的事例に出くわすことがある。カリフォルニアに隣接してネバダ州と
呼ばれるところがある。砂漠と自然のほかなにもない場所である。この州で
も、自主財源を確保しなければならない。そこでネバダ州は1931年、2つの
産業を創出した。ギャンブルと結婚産業である。ラスベガスが有名であるが、
ここではギャンブルは24時間、離婚も自由である。

 この州に隣接してユタ州がある。州都ソルトレイクは、冬期オリンピック
の開催地として知られる。州人口は200万人。8割がモルモン教徒である。宗
教上の理由にもよるが、この州は「ドライ州」と呼ばれてきた。オリンピッ
クまで、「ドライ」、酒を売らない地域であった。酒を買うことはできる。
そのためにはABC(アルコール・飲料販売委員会)という州政府直営の酒屋
を探さなければならない。ほとんどの住民は、たばこもコーヒーとも無縁で
ある。

 酒、ギャンブル、それに最近まで公娼が許され、3B(Betting, Booze,
Brothel)が自由な地域ネバダの隣に人間ドックのようなユタ州がある。ソ
ルトレイク市から高速道路80号を西に向かうと、ネバダとの州境にさしかか
る。道路沿いに「ネバダ州へようこそ」という巨大立て看板が見える。同時
にカシノが軒を並べる。州境が俗世界と人間ドックとに寸断していることに
おどろく。およそ日本では想像できない風景である。

 このアメリカの経験から2つ学ぶべきかも知れない。ひとつは、自治や分権
に宗教が関わってきた例が多いことである。イギリスでも自治は、パリッシュ
と呼ばれるキリスト教の教区をはじまりにしている。もうひとつは、自治や分
権には覚悟が必要である。ネバダ州はギャンブルの収益で財源は潤沢である。
一方、ユタ州は子沢山のモルモン教徒が多いため、教育や福祉に資金がかかる。
豊でない資金不足の州である。それら性格の異なる地域が、肩を並べて並存す
る様子は、集権と平等が基本である日本人の目には奇異に映る。しかし、それ
が自治であり、分権なのかも知れない。その点を今後、学会でも引きつづき検
討できればと思う。

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発行:財団法人日本自治創造学会

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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