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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第34号

< 2018/10/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第34号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  田中 秀明(元財務省・明治大学公共政策大学院教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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「直言」

 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 企業が生き残りを果たすためにはドラッカーが指摘した不断の「マーケティング」と「イノベーション」が求められるが、自治体も同様です。ステークホルダーの真の願いを実現することにあるからです。
 首長はもとより議員、職員が自治体の組織、事業の選択、各事業の運営方法などについて、人口減・少子高齢社会に適応する視点でゼロからの見直しを図り、改革を断行することが必要です。

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2.リレートーク

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地方自治体の内部統制~地方議会はどう関わるのか?

 田中秀明(元財務省・明治大学公共政策大学院教授)

昨年、地方自治法が改正され、地方自治体の内部統制が強化されることになった。大きな前進と思うが、果たして自治体のガバナンスが真に改善されるのだろうか。

いわゆる「内部統制」とは、英語で、”Internal control”と言い、 主に民間企業で発達してきた。オリンパスや東芝など、巨額な金額の不正会計が明るみになった事件は記憶に新しい。こうした不正を防止するための様々な取組みが世界中で行われ、それが1つの概念としてまとまったのが内部統制である。

内部統制とは、一般に、経営上のリスクを抑え、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的を達成するための仕組みである。

地方自治体については、「首長が地方公共団体の事務の処理の適正さを確保する上でのリスクを評価して、自らコントロールする仕組み」と定義されている(「地方公共団体における内部統制制度の導入関する報告書」総務省2014年)。そして、今般の地方自治法改正で、都道府県知事・指定都市の市長は、内部統制の方針を定め体制を整備するとともに、毎会計年度内部統制報告書を作成し議会に提出することになった。

内部統制というと、全く新しい概念のように聞こえるが、言い方を変えれば、「内部管理」であり、不正を防ぐための会計の仕組みは、当然、これまでの自治体にも存在した。しかし、従来と違うのは、リスクを事前に分析しそれを抑制する取組みを行うことにある。

しかし、行政では、一部を除き、リスクは存在しない、間違えないという前提になっているので(無謬性の原則)、リスクの分析・評価は組織文化として馴染むか懸念がある。もちろん、実際には、役所にもリスクは無数にある。情報漏洩、旅費の不正受給、生活保護等の算定誤りなどなど。

内部統制を本気で進めるためには、自治体の各部署において業務プロセスとリスクを分析することが必要であり、一言で言えば、業務の「見える化」だ。内部統制を実際に行うのは自治体内部部局だが、そのアカウンタビリティを担保する議会の役割も欠かせない。
英国では、省庁の事務次官は、「会計官」として、財務諸表や内部統制報告書などに署名し、予算の効率的効果的執行について、議会に対して個人的に責任を負っている。不祥事が起これば、組織のトップとして国会で説明を求められる。

要するに、内部統制の最終的なチェック機能は議会の責任である。今般の新しい取組みは2020年4月から始まるが、地方議会は、知事や市長から提出された内部統制報告書を審査し、改善に向けた提案ができるだろか。

田中 秀明(たなか ひであき)明治大学公共政策大学院教授
1960年生まれ、東京工業大学卒。ロンドン・スルール・オブ・エコノミックス修士・政策研究大学院大学博士。財務省・外務省・内閣府、一橋大学等を経て、2012年より現職。専門は、財政・予算・会計・社会保障政策など。主な著書に、『日本の財政』(中公新書)、『財政と民主主義』(共著、日本経済新聞出版社)。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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どう向き合う「財政破たん」問題

2012年の暮れ、第2次安部政権の発足とともにスタートした「アベノミックス」。政権の長期化とともにこの政策も丸6年続いています。この間、低迷していた日本の株価が急上昇するなど、表立っては経済面での成果が評価されてきました。

一方で、アベノミックスの「今後」を心配する声も少なくありません。アベノミックスの大きな柱である「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」が長引くことで、今後、その副作用や後遺症が深刻化するのではないかという懸念です。

2012年度に700兆円だった国の借金(国債残高)は、2018年には890兆円に。6年で約200兆円増えました。この間、政府と日銀は「マイナス金利政策」を続けて増発する国債の返済負担を少なくし、さらに日銀は、民間が国債を買わなくても困らないよう、大量の国債を買い続けてきました。
とはいえ日銀がいつまでも国債を買い続けられるわけではありません。早晩、政府は、高い金利負担を覚悟して別の買い手を見つけるか、国債の増発を止めるかなど、アベノミックスの「出口」を用意しなければなりません。

その時、日本の経済や国・自治体の財政、そして国民生活に何が訪れるのか…。そして、それが悪い方向に向かわないように、今何をすべきなのか…。また「その時」にはどう対処するべきなのか…。

この問題に地方はどう向き合っているのでしょうか。
今から15年前、地方は、全国知事会ほか地方六団体の総意として、地方への国庫支出金を9兆円減額する提案を行いました。それは、徹底した地方分権を通じて税・財源面での地方の自立化と国の財政健全化を進め、少子高齢社会を乗り越えて行ける国づくり・地方づくりを進めようという理念・目標に支えられていたように見えます。

しかし、今や地方もすっかり様変わり。例えば、幼児保育・教育などの無償化を進めるため、政府に地方への支出拡大を求める活動を強めるなど、国に依存する姿勢が目立ってきました。

国・地方合わせて1,100兆円。乳児から高齢者まで、国民1人あたり900万円という未曾有の超巨額債務を抱える日本。
現在と将来の国民に責任を負える政治とは、そもそもどうあるべきなのでしょうか。
今回のニューストピックは、この問題を特集します。

以下は、記事で紹介する民間人の言葉です。
「私は、日本の政治家は改革を遂行できないと踏んでいます。なぜなら、長年にわたり、大きな改革を何一つ成し遂げられなかったからです。改革が進まない以上、破綻は必至です。本当に日本を変える政治家が現れるのは、破綻の後になるでしょう。この国は、行くところまで行かないと決して変わらないと思います。このままでは、2021年までに日本の国債は信用を失い、暴落します。」

★2022年までに日本経済は破綻する。アベノミクス成功でも終焉でも未来は同じ
高島康司氏
2018年9月9日 MONEY BOICE

https://www.mag2.com/p/money/525141

★アベノミクスの巻き戻し、影響は数世代に
アンドリュー・ピープル氏
2018 年9月22日 THA WALL STREET JOURNAL

https://jp.wsj.com/articles/SB11409259661987013647204584486360884535256

★2030年になる前に日本は財政破綻するでしょう
渡邊正裕氏 株式会社My News Japan 代表取締役社長 
2013年12月 RECRUT OPINION

https://www.recruit-ms.co.jp/research/2030/opinion/detail7.html

★財政破綻という最悪の事態に備えを 
小林慶一郎氏 東京財団研究主幹/慶應義塾大学経済学部教授
2018年9月14日 東京財団政策研究所 研究報告

https://www.tkfd.or.jp/research/research_other/zg2h59

★財政破綻は避けられるのか 
増税と再分配をめぐって、経済学者座談会
小黒一正氏 小野善康氏 田中秀明氏 原真人氏=司会
2017年12月26日 WEBRONZA(ウェブロンザ) 

https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2017121500002.html

★アベノミクスとは、戦時経済と同じ“出口のないネズミ講”
金子 勝氏 立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授
2018年9月18日 ダイアモンドオンライン

https://diamond.jp/articles/-/179874

★子どもたちのための無償化実現に向けた緊急アピール
2018年7月10日 全国市長会

http://www.mayors.or.jp/p_action/documents/300710kodomo_appeal.pdf

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4.イベント情報

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地方行政に関連するイベント情報を中心にお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)まで御一報
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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

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