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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第32号

< 2018/8/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第32号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  大塚 寿昭(元総務省CIO補佐官・(一財)国際平和協会評議員)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 首長と議会にとって人口減少国家に適応する自治体を創ることが、住民に対する新たな責務ではないだろうか。
 特に執行権に拘束されない地方議会は首長に先んじて、人口が減少する地域の実態を住民に提示し、個性を
生かした新たな地域の指針づくりに取組むことが求められる。

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2.リレートーク

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「スマホ依存・ゲーム障害は社会問題へ」

  大塚 寿昭(元総務省CIO補佐官・(一財)国際平和協会評議員)

アップルコンピューターは、今年の6月4日にスマホ依存症対策の新機能を発表した。子どもや十
代の若者がスマホを長時間使うと心の健康を害するという指摘などを踏まえて、保護者が子ども
のスマホの使用時間をより簡単に制限できる機能を発表した。
米国内においてもスマホ依存症は社会の大きな問題になってきており、年金基金などアップルの
大株主からも対策をとるよう求められていたことを受けての新機能発表である。

グーグルなどアンドロイド系スマホには既にスマホ長時間使用や特定アプリの使用制限をアプリ
で行うことが出来るようになっており、これで殆どのスマホに依存症対策の機能が設定できるよう
になった。

一方、WHO(世界保健機構)はこの6月18日に「ゲーム障害」を正式に疾病として認めることを発表
した。また、日本小児保健協会学術集会(6月14日~16日開催)においてもこの問題に関するシ
ンポジウムが持たれ、大きな反響を呼んだ。

昨今はスマホやゲームの依存症が、家庭生活、学校生活、社会生活を破壊する事態が増えてき
ており、海外ではスマホのメーカーや公的機関が社会の大きな問題として認識し、対策を採り始め
てきたといえる。

我が国では10年ほど前から、ゲーム依存、ネット中毒で家庭が崩壊状態になっている青少年とそ
の家族を支援し様々な対策を採ってきた民間の活動家たちがいるが、発生している問題の多さに
対しその活動は細々としたものである。また医療機関では唯一、独立行政法人国立病院機構久
里浜医療センターがゲーム障害の診療科目を持っているだけである。

この依存症による障害が特に若年層の脳の発達に大きな影響を与え、前頭前野など理性を司る
脳の分野が萎縮している状態を脳画像で捉えた研究が発表されてもいる。(上記久里浜医療セン
ター院長の樋口進氏など)が、社会全体としては未だ認識不足、あるいは意図的に過小評価され
ているような状態である。

依存症の有効な対策の一つとして、スマホなどデジタル機器を遮断してキャンプ生活を送るツアー
などが上記久里浜医療センターや民間NPOなどが主催して行われているが、発生している問題の
ごく一部にしか対応できていない。米国ではシアトル郊外にIT事業者などが資金を出し合って専用
の入院治療施設が開設されているし、韓国にも同様な施設が作られているが我が国にはそのよう
な専用施設はなにもないのが現状である。

スマホは既に我が国の総人口の過半数に普及しており、スマホ依存症やゲーム障害の潜在患者
数は相当なものになっていることが想定できる。筆者はこのことが引き起こす問題が、いずれは日
本社会の崩壊に繋がるのではないかと危惧している。

しかしながらこの問題に対しIT事業者、ゲームソフト提供事業者(売上高1千億円を超える事業者
が9社を越えている)などはいずれも問題を過小評価して、対策については冷ややかな対応でしか
ない。

今からでもこの問題に真剣に取り組むためには、こうした事業者たちが資金を出し合い、依存症、
ゲーム障害の及ぼす脳障害などの研究、治療機関、治療施設、治療の為の人材育成、予防のた
めのプロパガンダ、自制機能の開発などを行うための資金供給源となるような基金を設置し対策
の具体化を始めるべきと考える。

<参考文献など>
「スマホゲーム依存症」 樋口 進(著) 内外出版社
「もしかしてうちの子も?」 山中千枝子(著)女子パウロ会(著・発行)
「スマホが学力を破壊する」 川島隆太(著)集英社
「インターネット・ゲーム依存症ネトゲからスマホまで」 岡田尊司(著)文春新書
シアトル郊外の入院治療施設「Restart」https://netaddictionrecovery.com/
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターhttp://www.kurihama-med.jp/
WHOゲーム障害を疾病認定へ http://www.who.int/features/qa/gaming-disorder/en/

大塚寿昭 略歴
1949年生れ、慶大卒
日本アイ・ビー・エム(株)にてシステムエンジニアとしてメガバンクのオンラインシステム設計など
を担当。大学講師などを経て総務省CIO補佐官を務める。現在は一般財団法人国際平和協会評
議員。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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―「圏域」は衰退する地方への特効薬となるか-

 この先、高齢化と人口減少が進んだ結果、現在担っている役割を果たせなくなる基礎自治体が
続出することは間違いありません。とは言え、合併には抵抗あるということで、医療や介護、教育
機関の確保など、小さな自治体では抱えきれない施策は近くの体力のある市に音頭を取っても
らって広域的に取り組みましょうという仕組みが検討されることになりました。
 しかしながら、基礎自治体としての役割を果たせないような町村の近所に、カネと体力が有り
余っているような都市がそうあるはずもなく、「弱者連合」を組んだからといって解決できるような問
題ではないように思われ、上手くフィットするケースは少ないのではないでしょうか。
 対策を検討することはもちろん大事ですが、大切なのは、改めて「基礎自治体の役割は何か」を
きちんと議論することです。現状の枠組みを残したまま、綻んだ部分だけ取り繕うような弥縫策に
陥らないことを祈るばかりです。
 今回のニューストピックでは、この問題を取り上げます。

★有識者研究会 市町村連携の法制化を提言 人口減対策
2018年7月3日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20180704/k00/00m/040/061000c

★地方の大規模都市に施設や病院を集中、法整備へ
2018年07月4日 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20180704-OYT1T50018.html

★市町村連携 法制化探る 「圏域」で行政サービス維持
2018年7月6日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32663380V00C18A7EA1000/

★総務省研究会/2040年ごろの行政課題で最終報告/圏域単位で行政サービスを
2018年7月6日 日刊建設工業新聞

https://www.decn.co.jp/?p=101008

★地方制度調査会 「圏域」の法制化へ 議論始める
2018年7月31日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20180801/k00/00m/010/099000c

★圏域 地方、法制化に反発 自治体の廃止危惧 政府検討
2018年8月19日 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20180819/ddm/003/010/061000c

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4.イベント情報

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9月8日「日本財団ソーシャルイノベーターフォーラム」10:00からは小泉進次郎氏の講演で、午後
の分科会では日本自治創造学会幹事の西田陽光氏の企画「生きづらさの正体」14:00~16:00が
あります。ゲストは12歳で失明した全盲の弁護士大胡田誠さん、今注目の起業家支援で東北に起
業家をどんどん排出している竹井智宏さん、「夢は逃げない逃げるのはいつも自分だ」と毎日が冒
険の人生を実践するベストセラー作家の高橋歩さん。世の中を変える世論形成のプロで長年政策
人材育成家の西田陽光さんです。
詳細・申込はこちらからご覧ください。

https://www.social-innovation.jp/events/event/%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A5%E3%82%89%E3%81%95%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都千代田区神田佐久間町2-24-301

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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