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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第29号

< 2018/5/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第29号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  佐々木 信夫(中央大学名誉教授)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 市長在任時に自治体を「基本特性(弱者と強者の共生)+非営利独占的サービス事業体」と位置づけたことがある。
 今、社会環境は激変している。生き残っている企業は、変化する社会のニーズに応えるため、マーケティングとイノベーションを繰り返し行っている。
 首長も議会も職員も自治体の運営を大胆に変えて、新たな事業体を創造しなければならない。サービス事業体として自治体をとらえ、行政運営システムの転換など、真正面から取り組む必要がある。
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2.リレートーク

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「学会10周年を区切りに次への飛躍を!」
  佐々木 信夫(創設の仕掛け人・中央大学名誉教授)

 先日、自治創造学会の10回目の研究大会が東京で開催され、580名余の参加者を得て盛会裏に終わりました。9年前、250名ほどの参加者で始まったこの学会ですが、今や参加者も倍増し、会場の明治大学という学術の地のよさもあり、議員の方々の知的拠り所のひとつとなっています。学会創設の仕掛け人として、これほど嬉しいことはありません。

この学会は普通のモノではないことを狙いました。平成22年3月、理事長の穂坂さんと私は総務省の記者クラブに出向き、「この学会は既存の学会と異なり、地方政治に携わる地方議員、首長らを対象に学術と実践の知的交流を通じて日本の再生を図る、地方自治の新たな創造をめざそうとする画期的な試みです」と記者諸兄に高らかに宣言しました。
2000年の分権改革が始まって一呼吸した頃の話ですが、地方議員が「議会は首長らの執行活動をチェックする機関だ」と確信していてはダメ、決定・監視・提案・集約の4つの役割を持つ立法機関へ脱皮することが分権改革を成功させる必要条件だと考えたからです。

以前、自治体の仕事の多くは、各省大臣が知事、市町村長らに通達で委任した機関委任事務の執行でした。それについて地方議会には審議権も条例制定権も予算の減額修正権も与えられませんでした。首長に委任したので自治体に委任した訳ではないとの理由からです。

しかし2000年以降、国と自治体を上下主従関係に固定してきた機関委任事務制度は全廃され、現在は約8割が自治事務(固有事務)になっています。こうなった以上、仕事の統合、廃止、拡大は地域の事情に合わせて裁量で決める。であるなら、地方議会は国会に代わって地域の立法機関の役割を果たさなければならない。脇役から主役に躍り出た。
そうしたパラダイム転換を受けて、地方議員の交差点、政策の交差点の役割を果たせればと考えたのがこの学会です。学者らの業界内交流の性格が強いふつうの学会とは違う。

ただ、ひとつ気になるのは、回を重ねるに従い、この学会も狙いとする「政策交流」「知的交流」の場というより、やや議員セミナーの色彩を強めている感じがします。国会や各省の動きをキャッチする機会も大事ですが、この学会は、国の政策の説明会でもなければ、各省の事業案内の場でもない「知的交流の場」なのです。もっと地方、地域の事情を反映した政策争点、課題について様々に掘り下げる場であったらどうか。

分科会方式を増やすのも、地方大会を行うのも相当のエネルギーが要りますが、工夫すればできます。参加者に常連もいますから、分科会執行委員とか地方大会執行委員を時限理事としてお願いし、2~3年掛けて内容を詰める。東京大会でも4つの分科会があり、毎年どこかで地方大会が行われる。「与えられる学会」から「自ら獲る学会」へと変わって欲しい。

私は創設から8年間理事を務めましたので、この辺で退任させて戴きます。
新しい方々の手で次への飛躍を!この国は“地方議会が変われば、必ず地方自治は変わります”から。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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「限界都市」に挑む

日本経済新聞の「限界都市」シリーズが読み応えがあって面白い展開になっています。テーマに取り上げられているのは、コンパクトシティーや再開発タワーマンション、老朽マンションなどですが、共通する問題意識としては、これから人口が減って、インフラの集約が必要となる中、これまで進めてきた既存のまちづくりを踏襲して市街地の集約を進めたいという行政側の思惑に反し、デベロッパー側としては地価が高く権利関係も入り組んだ中心部よりも周縁部を開発したいだとか、せっかく中心部を再開発するなら人気の高い街に戸数の多いタワマンを作りたいだとかという気持ちはわからないでもないだけに悩ましいです。

★コンパクトシティー「優等生」富山市の苦悩
2018年4月26日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29860010W8A420C1SHA000/

★和歌山市の衝撃 郊外開発の規制強化再び
2018年4月27日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29924470X20C18A4SHA000/

★コンパクトシティーに逆行 周辺開発、自治体が黙認
2018年4月20日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29624670Q8A420C1SHA000/

★タワマン集中、消えぬ住民の溝 武蔵小杉の試み道険し
2018年5月9日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30158040X00C18A5EA8000/

★タワマン乱立、児童あふれ小学校悲鳴 東京湾岸地区
2018年3月31日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28849320R30C18A3EA2000/

★再開発の5割にタワマン、住宅供給過剰に懸念
2018年3月20日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27903530Z00C18A3EA8000/

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4.イベント情報

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第10回研究大会、盛況裏に終了。
ご参加いただいた皆様、有難うございました。

5月10、11日の2日間にわたり、日本自治創造学会の研究大会が明治大学アカデミーホールで開催され、全国から県・市町村議員や職員、研究者など約580名の皆様にご参加いただきました。

10回目を迎える今大会のメインテーマは「人生百年時代の地域デザイン ~人口減少社会に向き合う地域社会~」。高齢化と人口減少が同時に進みつつある現実、またその中で首都への一極集中が進む現実。これに地方はどう向き合って行くかというテーマに即して、国としての戦略や地域での若者などの実践、また地方創生に不可欠な議会の役割など、多面的な講演やディスカッションが行われました。

また、初日講演後の「改革発表会兼交流会」では、3グループと個人4名による発表があり、参加者全員の投票により“川西市議会・明日のかわにし”による「日本初?マイナスの会派予算提案書」がベストワンに選ばれました。

地方の現場での創意と熱意による実践、つまり「自治の創造」こそが高齢化と人口減少に立ち向かう“決め手”という実感が深まった今回の研究大会。また、その実践に自治体議会が持つ役割の大きさへの理解も広がったのではないでしょうか。
ご多忙の中、講演、発表をいただいた皆様、またご参加いただいた皆様、大変有難うございました。当学会では、これからもこうした「自治創造」の実践の輪を広げる取り組みを進めて行きたいと考えています。

なお、研究大会の講演録などは、後日「学会誌」として取りまとめ、会員・大会参加者の皆さんに送付させていただきます。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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