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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第23号

< 2017/11/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第23号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
1.リレートーク
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長・地方自立政策研究所理事長)
2.ニュース/情報ピックアップ
3.イベント情報

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1.リレートーク

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 ”2025年の国難を乗り越える”

    穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長・地方自立政策研究所理事長)

○2025年の危機は目前

 総選挙は自民党の勝利により一強多弱の政治環境は維持される結果となった。政府は少子高齢化の加速を戦後最大の危機と捉えていたが、国(中央政府)と地方(広域地方政府・地方政府)の役割分担の明確化は、今回も一顧だにされなかった。
 わずか4年、オリンピック・パラリンピックが終わると首都圏でも人口が減少し、同時に団塊世代700万人の全てが後期高齢者となる。かつて我が国が経験したことのない2025年問題である。医療・介護費の急増は大波となって国家財政を直撃する。しかしながら、我が国の財政環境は現在でも極めて厳しい。プライマリーバランスは悪化し続けているうえ、国債残高も1000兆円と膨大である。一方では教育費の無償化や北朝鮮のミサイル対応など歳出圧力は高い。
 これらの厳しい財政環境を乗り越えるためにはどうすればよいのか。単一的な大増税や公共サービスのカットは格差が拡大する現状から社会的弱者を直撃し、社会不安を増大させる。いまこそ、国民の痛みを伴わない行政経費の削減を図る事が多くの国民の期待に応える政治の力ではないだろうか。

○明確化研究会の概要と検証結果”財政危機への対応と地方の再生”

 NPO法人地方自立政策研究所は、やがて来るであろう財政危機と地方の衰退を乗り越えるため「国と地方の役割分担を明確にする研究会」を設置し、延べ4年間に渡って行政の実務者を中心に検証を行った。国と都道府県と市町村における現行の事務・事業を極めて単純に実務的に検証し、役割分担を明確化した効果を算定する研究会である。
 研究結果は驚くべきもので、国と地方における行政経費の削減は18.9兆円にのぼることが判明した。18.9兆円にのぼる行政経費の削減は消費税の約9%にあたる。
 研究会は国会議員、地方議員、民間シンクタンク職員、国家公務員、地方公務員(第一次49名、第二次45名)で構成され、分析の手法は現在実施されている国と都道府県と市町村の普遍的な事務・事業を対象にクリアテストを設定し(1)税金を投じて行政が関与すべきでない事業(廃止すべき事業)(2)民間に任せられる民間開放対象事業(コスト削減率は30%)(3)国・都道府県・市町村で重複する多重行政の排除事業及び地方への移管事業(コスト削減率は20%)(4)地方に対する廃止すべき国の国庫補助事業に分類して、それぞれの事業を精査し、削減額を算出した。この結果、削減可能額は国4.8兆円、地方(都道府県及び市町村)14.1兆円で、国と地方における行政経費削減額は18.9兆円にのぼった。研究期間は2006年から2009年の4年間である。(詳細は地方自治・自立へのシナリオ:東洋経済新報社を参照)
 さらに役割分担の明確化は地方の自立と再生にも直結する。自己責任が確立すると共に受益と負担が明確になり、住民の関心が高まる。地方を衰退させる最大の原因は国が地方自治体に「全国一律護送船団方式」を求め、いわば統制と保護を繰り返していることである。統制・保護行政の代表格とも言えたかつての銀行は自由化とともに破綻し、農業は多額の助成を受けながら衰退している。自己責任の確立は行政はもとより全ての職種に求められているのである。

○簡単に出来る「事務・事業における役割分担明確化」が実現出来ない理由

 明確化の作業は容易に出来るものの、実施されない現実がある。第1の原因は国と地方の連動システムが複雑であるうえ、建前と実態が真逆で実務家でなければ理解出来ない仕組みになっていること。第2は国会議員はもとより中央省庁にとって、出先機関の廃止や補助金や交付金事業等の改廃によって国政はもとより地方全体に対する権限が縮小することになる。権限の大きさが議員や官僚のステータスになることを考えると、避けて通りたい改革になる。
 第3は都道府県にとって極めて厳しい結果の恐れがある。言うまでもなく都道府県は広域地方団体で、国と市町村の補完的事業が本来の業務と言える。明確化は道州制に向かう恐れがあり、都道府県の存立の危機にも結び付く。
 明治維新は我が国の行政運営システムを根底から変えた。革命に近い大改革は内戦を引き起こし多数の犠牲者を生んだ。私達が挑戦した国と地方の業務における役割分担の明確化は明治維新の比ではなく、この検証は国会議員や地方の政治家、マスコミ、有識者の理解だけで十分に実現する。特に政治家は自らの権限を手放してでも、国民の要求や財政危機の回避に向って努力することが選良としての責務ではないだろうか。
 私達に残された時間は極めて少ない。
 
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2.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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~総選挙を終えて~
10月22日に行われた総選挙は、公示直前の野党の再編が奏功して地滑り的に結果をひっくり返すのではないかとも言われながら、ふたを開けてみれば与党の圧勝という結果に終わりました。
この与野党の攻防の裏では、18歳選挙権がスタートして初めての総選挙とシルバーデモクラシーの行方、ワイドショーから政治を見ている中高年とネットで政治を見る若者、ガラスか鉄かでできているらしい女性議員を阻む天井、秋まつりと台風シーズンに重なってしまった「秋の選挙」の悲劇など、様々な論点を見ることができます。

★新党 離合集散の歴史 自民党へ対抗

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23185790X01C17A1905E00/

★10代の投票率41・51%、参院選を下回る

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20171025-OYT1T50066.html

★強まる「シルバーデモクラシー」 若者も積極投票を

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22183150S7A011C1CC1000/

★衆院選とテレビ 放送時間増えたが争点「深掘りなし」

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171109/ddm/004/010/026000c

★ネットの書き込みに触発?選管に根拠なき抗議殺到 愛知

http://www.asahi.com/articles/ASKBT4VHLKBTOIPE011.html

★女性議員1割「増やさないと」 「まとまった声に」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201711/CK2017110202000128.html

★女性当選1割の「天井」 与党候補少なく世界でも低水準

http://www.asahi.com/articles/ASKBS5WJCKBSUTIL03C.html

★自身の一票を生かすために ゲーム理論の専門家に聞く

http://www.asahi.com/articles/ASKBN562SKBNUTIL03N.html

★衆院選で1か月以上休みなし、市選管職員が事故

http://www.yomiuri.co.jp/national/20171027-OYT1T50000.html

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3.イベント情報

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イベント情報をお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)ま
で御一報ください。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

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