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【fromJSLD】日本自治創造学会メールマガジン第21号

< 2017/9/15>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■【 The JSLD News 】日本自治創造学会メールマガジン第21号 ■■

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【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.巻頭寸言
  穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)
2.リレートーク
  戸崎 将宏(日本自治創造学会幹事・千葉県職員)
3.ニュース/情報ピックアップ
4.イベント情報

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1.巻頭寸言

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「直言」
          穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長)

 国の重要施策である地方創生は地方自身が自らの問題として取組むべき課題であった。
 人口減少と高齢化の加速に立ち向かい、地方の再生を果たすためには、国に依存することなく、首長と地方議会が多様な視点から基礎的自治体の本旨を見つめ直し、前例主義を転換した時にはじめて、新たな道が開かれると確信している。

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2.リレートーク

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 PTAの「自動加入問題」はコミュニティを映す鏡

          戸崎 将宏(日本自治創造学会幹事・千葉県職員)

 地方議員を務められている皆様には、PTAや保護者会などの役員、おそらくは会長を経験されている方が多いのではないかと思いますが、近年、PTAの「自動加入問題」がマスコミ等で報じられる機会が増えています。
 PTAへの加入はあくまでも任意であるにもかかわらず、入会が任意であることの説明がなかった、入会時に申込の手続きをしていない、退会させてもらえない、などです。また、同意なくPTAに入会させられたので会費を返還してほしい、保護者会を退会したことで子どもが卒業式でおそろいのコサージュを用意してもらえなかったなど、訴訟にまで発展したケースも報じられています。

 これらPTAへの入会をめぐるトラブルの背景にあるのは、会費の問題よりも役員の選任に関する問題なのではないかと考えられます。役員の立候補者がいないために、年度初めのクラス懇談会での、誰かが引き受けるまでの根比べやくじ引きなどをめぐる悲喜こもごもは全国の保護者を毎年憂鬱にさせています。

 そこで注目されているのが、PTAへの加入は任意なのだから加入さえしなければ、または退会すれば役員を引き受けなくていい、という考え方です。マスコミで「自動加入問題」が話題に上がる背景はこの辺りにあるのではないでしょうか。

 では、PTAの加入が任意であることがきちんと説明され、入退会に関する規定が整備されれば、PTAに入会せずに済むのでしょうか、役員を引き受けずに済むのでしょうか。

 おそらく何も変わらないでしょう。もちろん、PTAに入会しないという人が出てきやすくなるとは思います。しかし、多くの保護者がクラス懇談会で居心地の悪い思いをするのは、PTAの制度が原因なのではなく、保護者のコミュニティが抱えている問題なのではないでしょうか。これでは、「あの人は一度も役員を引き受けずにずるい」という非難の言葉が、「あの人はPTAに加入すらしなくてずるい」という言葉に変わるだけです。

 さらに問題をややこしくしているのは、PTAは会員相互の学習や親睦を行う社会教育関係団体という「タテマエ」ばかりがクローズアップされる部分です。確かに学習や親睦だけを行う団体であれば、そういうのが好きな人だけが入ればいい、加入も退会も任意ということが自然な姿です。

 しかしながら、「実際」のPTAの活動の中心は、度重なる会議や登下校時のパトロールなどのボランティア、そして寄付金集め。多くの保護者が「タテマエ」ではなく「実際」のPTAの活動についての認識を共有しているからこそ、役員を引き受けないのは「ずるい」という言葉が重みを持ち、保護者を憂鬱にさせるのです。

 もちろん、PTAへの入会や退会が任意であることの説明や意思確認が行われることは望ましいことでありますが、保護者の憂鬱を取り除く決定打にはならないでしょう。なぜなら、クラス懇談会で感じる息苦しさの本質は、自分たち保護者のコミュニティ自身の姿を「PTA」という鏡に映して見ていることに他ならないからです。同様に、町内会など他の場においても、私たちは自分たちのコミュニティの姿を鏡に映して見ていることになります。

 PTAの役員をめぐるトラブルの解決の方向は、やりたくないと言えば他の人に責任を押し付けられるという方向ではなく、ICTを活用することなどにより、平日昼間に学校での会議に集まらなくても意見交換や意思決定ができる、資料作成など家でできる作業を分担するなど、生活のスタイルが多様化した中でも多くの人が参加しやすい活動のあり方を模索する方向で進んでほしいと思うところです。

 なお、筆者は、子どもが通う小学校でPTA会長を務めた縁で、千葉市PTA連絡協議会の「PTAあり方委員会」の一員として、PTAの任意加入や会費の問題などについての議論を、『本当に聞きたかったPTAの悩みごと』という冊子にまとめました(冊子のダウンロードは→ http://chiba-city-pta.jp/about/pta-qa%E9%9B%86)。こうすればいいという正解を示したものではありませんが、加入などの問題についての論点を示すことはできたと思います。この冊子を参考に各PTAにおいて入会時に説明がきちんと行われるようになれば幸いです。

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3.ニュース/情報ピックアップ

地方自治に関係する気になるニュースをピックアップします。

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~地方と大学、そのあり方を考える~
獣医科大学新設に用地を無償譲渡し、建設費も64億円負担することとした今治市。国会でのやりとりは別に置いて、今治市にとっては、そこまでしてでも誘致したかった「大学」。
同市に限らず、地方が高額な財政負担をしても大学誘致をしようとする背景は、東京への一極集中。「先進国では日本だけ」という過度な首都一極集中のトレンドが大学に押し寄せ、それが地方から首都への人材流出、地方の衰退を加速させているという危機感があります。
一方で、大学はあっても地方との連携の濃淡はまちまち。大学を地方に根付かせ、また進出を促す決め手の一つは、自治体・地域社会と大学との連携を深めて、双方のメリットを拡げる地道な取り組みではないでしょうか。
「地方と大学」を巡る最近の動きを紹介します。

★獣医学部は、やはり「砂上の楼閣」か―問題山積なのに来年4月開校と強弁する理由(毎日新聞)

https://mainichi.jp/sunday/articles/20170911/org/00m/030/002000d

★さようなら「松原団地駅」、こんにちは「獨協大学前駅」(文春オンライン)

http://bunshun.jp/articles/-/1876

★特集:地方大学の振興と都市自治体の連携(全国市長会「市政」2017年9月号)

http://www.toshikaikan.or.jp/shisei/2017/pdf/201709/2017_09_special.pdf

★都内23区の大学定員、政府が規制方針―人口集中で対策(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H6N_Z20C17A5PP8000/

★地方創生に資する大学改革に向けた中間報告(案)―まち ひと しごと創生本部「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/daigaku_yuushikishakaigi/h29-05-11-siryou1.pdf

★同上(参考資料)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/daigaku_yuushikishakaigi/h29-05-11-siryou2.pdf

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4.イベント情報

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イベント情報をお知らせするコーナーです。
掲載希望のイベントがありましたら、編集委員(info@jsozo.org)ま
で御一報ください。

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発行:日本自治創造学会
編集:日本自治創造学会メールマガジン編集委員

東京都中央区日本橋馬喰町1-12-2タック馬喰町707

お問い合わせ: info@jsozo.org

ホームページ: http://jsozo.org
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